2025年6月28日土曜日

「常に戦闘態勢」テレンス・アリ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

全米・北米王者。ロベルト・メディナ戦、ミゲル・サンタナ戦(再戦)、ダリル・タイソン戦を紹介します。


テレンス・アリ(ガイアナ)

身長171cm:オーソドックス(右構え)


テレンス・アリ 10R 判定 ロベルト・メディナ

(ライト級戦、1987年)

「常に戦闘態勢」テレンス・アリ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:南米ガイアナ出身の黒人アリ(ウェズリー・スナイプスによく似ている)。ラウンド開始のゴングと同時に相手に突進していく気合いの入ったボクシング。本名は「アリ」ではなく「ハリー」。これまで29勝(11KO)4敗2分、26歳。プリモ・ラモス、メルビン・ポールに勝利したが、IBF世界ライト級王者ハリー・アローヨにTKO負け。カムバックして元WBC世界J・ライト級王者コーネリアス・ボサ・エドワースとドロー。決定戦で全米ライト級王座獲得。メディナとノンタイトル戦。メディナ(30歳)はユタ州プライス出身で、13勝(9KO)2敗1分。フロリダを主戦場に好調だったが、後の世界王者メルドリック・テーラーらに敗北。テーラー戦後、再起戦に勝利してアリ戦。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはフランク・カプチーノ)。1R、いきなり突進するアリ。しかし、戦い方はガードを上げて左ジャブ、右ストレート、左フックを使うオーソドックスなもの。ファイター型のメディナはサウスポースタイルで右ジャブ、左ストレート、フック。2R開始時にも突進したアリだが、カウンターを食って慎重な感じに。その後も左フック、回転の速い連打、インサイドからのフックに良さがあるアリ。メディナはしぶといタイプで、攻められても反撃。しかし、ブロックされてしまう。5R、アリが激しくジャブ連打(プロらしい見せ場を作る男)。7Rにはシャープなコンビネーション(右フックからの左フック)。10R、激しい打ち合い。最終ラウンド終了。判定は大差の3-0。アリは才能のある男。パンチはシャープでパワフル。気合いの入ったところを見せた。しかし、ダウンを一度も奪えず。パンチ自体は良いのにKO率が低いのはなぜだろう? メディナはタフで悪い選手ではなかった。上に行くには何かが少し足りないのだろう(パワー?)。その後のメディナ。次の試合でアンヘル・エルナンデス(後、フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ウェルター級王座に挑戦してTKO負け)にTKO負け。引退、カムバック。フランキー・ミッチェル、ダリル・タイソンに敗北、引退。世界ランカーレベルには敵わないキャリアだった。)


テレンス・アリ 10R 判定 ミゲル・サンタナ

(J・ウェルター級戦、1987年)

「常に戦闘態勢」テレンス・アリ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:メディナ戦後、ロドニー・ムーア(後、世界挑戦)に勝利したアリだが、ホセ・ルイス・ラミレスとのWBC世界ライト級王座決定戦で判定負け(1987年)。再起戦に勝利して、サンタナ戦。サンタナはプエルトリコ・カノバナス出身で、これまで20勝(12KO)2敗1分。プエルトリコ王座(ライト級)を連続防衛。ロドニー・ムーアに勝利。アリとの全米王座決定戦で3-0の判定負け。パーネル・ウィテカーにTKO負け。その再起戦でアリと再戦。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはルディ・バトル)。好戦的なサンタナ。ダッキングしながら左のガードをやや下げた構えからジャブ、大きく振るうフック、コンビネーション(左フックからの右ストレート)。アリはガードを上げて応戦。共に器用さと機敏さ。接近戦での気合いの入った打ち合い。サンタナは振りが大きめのフック、アリは回転の速いショート連打。一進一退の攻防のまま10R終了。判定は3-0。ジャッジの一人は僅差だったが、他の二人は差をつけた。おそらくディフェンスの差でアリが評価されたのだろう。攻撃力は互角だった印象。その後のサンタナ。二連敗の状況でグレグ・ホーゲンのIBF世界ライト級王座に挑戦して敗北。スッカリ「負け役」と化し、トレーシー・スパン、ムーア(再戦)、ジェームズ・マクガート、シャンバ・ミッチェルに敗れるなど多くの敗北を喫してリングを去った。)


テレンス・アリ 10R 判定 ダリル・タイソン

(J・ウェルター級戦、1988年)

「常に戦闘態勢」テレンス・アリ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:サンタナ戦の次の試合。タイソンはワシントンD.C.の黒人。1982年デビュー。これまで25勝(13KO)3敗。後のIBF世界ライト級王者ジミー・ポールに勝利。WBC米大陸王座(ライト級)獲得、連続防衛。しかし、IBF王座を懸けたポールとの再戦に敗北。再起戦を韓国で行い、判定負け。直前の試合はTKO勝ちだが、それから試合間隔が少し長め。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはトニー・オーランド)。共に黄色のトランクス(アリはガイアナの国旗をプリントしたもの。タイソンはクロンクジムのトレードカラー)。いきなり突進するアリ(サンタナ戦では警戒されて突進できなかった)。速いジャブ、右ストレート、踏み込んで左フック。タイソンは正統派。重そうなジャブを中心にワンツー。互いに機敏な動きでパワーを込めた攻撃。ディフェンスしながらの接近戦。互角の勝負だが、アリがインサイドからのパンチを入れる。10R、アリの右アッパーがカウンターでヒット。10R終了。判定は2-1。互いに譲らず、といった内容となったが、ディフェンス&隙を突くパンチでアリが勝利。タイソンはやや攻撃が正直すぎた。その後のタイソン。多くの試合。北米王座(ライト級)を獲得するなど中堅どころに手堅く勝利。しかし、ミゲル・アンヘル・ゴンザレスのWBC世界ライト級王座に挑戦して判定負け。ロジャー・メイウェザーを破って全米王座(J・ウェルター級)獲得、次いで北米王座(J・ウェルター級)も獲得。しかし、フレディ・ペンドルトンに敗北で全米王座陥落。オスカー・デラ・ホーヤ、ザブ・ジュダーにも敗れ、三度目の世界挑戦は無かった。)

 

0 件のコメント:

コメントを投稿