世界ライト級王者。欧州王座戦のラチード・ラワル戦、オレグ・マーチェンコ戦、スティーブ・バルデス戦を紹介します。
ジャン・バチスト・メンディ(フランス)
身長177cm:サウスポー
①ジャン・バチスト・メンディ 9R TKO ラチード・ラワル
(欧州ライト級タイトル戦、1994年)
(ダウンシーン)
2R:ワンツー、左ストレートで2度、ラワルがダウン
4R:左フックでラワルがスタンディングダウン
6R:左ストレートでラワルがスタンディングダウン
(感想:メンディがタイトル奪回。セネガル生まれ(1963年)で、フランス国籍の黒人メンディ。デビュー以来、敗北を喫しながら経験。フランス王座、次いで欧州王座(いずれもライト級)を獲得。欧州王座を連続防衛後、ミゲル・アンヘル・ゴンザレスのWBC世界ライト級王座に挑戦したが5RでTKO負け(1994年)。再起戦は欧州王座奪回を目指す試合。王者ラワルはシエラレオネ出身の黒人。国籍・主戦場はデンマーク。デビューから連勝。欧州J・ライト級王座を連続防衛。TKOで王座陥落。連勝後、マニング・ギャロウェイのWBO世界ウェルター級王座に挑戦してTKO負け。続くパット・バレットとの欧州J・ウェルター級王座戦もTKO負け。決定戦でKO勝ちして空位の欧州ライト級王座獲得。メンディと初防衛戦。フランス・ティエでの一戦。足でリズムを取って右ジャブを連打するメンディ。左ストレート、右フックに威力。ラワルは1Rは静かに相手を観察していたが、2Rにフックでパワフルに連打。しかし、メンディはディフェンス&ワンツー、ボディ打ちなど隙を突く巧さ。ワンツー、左ストレートでラワルを二度ダウンさせる。4Rには左ボディ打ちからの左フックでラワルにスタンディングカウントを聞かせる。ジャブで試合をリードするメンディ。ラワルはバランスが良く、強いフックを振るうがジャブが少ないため空転。6R、左ストレートでラワルがスタンディングダウン。8Rもメンディがディフェンスで優勢。9R、左ボディが効いたラワルが連打されたところでレフェリーストップ。メンディが快勝。テクニック主体のボクシングだが、左ボディからの右フックなどコンビネーションにパワーがあった。ラワルは闇雲な連打。強さは確かにあったが、パンチを当てる工夫に欠けた。これが最後の試合に。1996年11月、30歳で死去。ディスコの用心棒の仕事中に刺殺されたという。)
②ジャン・バチスト・メンディ 12R 判定 オレグ・マーチェンコ
(欧州ライト級タイトル戦、1995年)
(ダウンシーン)
2R:ワンツーでマーチェンコがダウン
(感想:メンディがタイトル初防衛。奪回した王座の初防衛戦。挑戦者マーチェンコはロシア・モスクワ出身。ロシア王座(ライト級)を獲得しているが試合数が少なく、敗北が二つ。どんな選手なのか? ティエでの一戦。なかなか精力的かつパワフルなマーチェンコ。ジャブで距離を取るメンディをストレート、フックで追い掛ける。また、ストレートをボディに打ち込んだり、サウスポーにチェンジして連打したりといった器用さも披露。メンディはディフェンスしながらジャブ、左カウンターをヒットさせ、斜め下からのフックには威力がある。2R、ワンツーでマーチェンコがダウン。しかも右マブタをカットするハンデ。その後、激しい接近戦。実に力強いマーチェンコ。メンディはジャブが多く、カウンター作戦。手数が共に多く、互いにボディ打ち(豊富なスタミナ)。12R終了。両手を上げて自身の勝利をアピールするメンディ。判定は大差の3-0。世界戦レベルの好試合。メンディがディフェンス&ジャブで勝利。マーチェンコは惜しい。最後の最後まで攻めたが、当てるテクニックで及ばず。ジャブが軽めだったのが敗因か? その後、マーチェンコは試合間隔が長めながらPABA王座(ライト級)を獲得、ロシア王座戦に勝利。その二勝で引退。もっと活躍していてもおかしくない実力者だった。)
③ジャン・バチスト・メンディ 8R 判定 スティーブ・バルデス
(ライト級戦、1997年)
(感想:マーチェンコ戦後、ラマー・マーフィとの決定戦でWBC世界ライト級王者になったメンディだが、初防衛戦で同じサウスポーのスティーブ・ジョンストン(日本でもおなじみ)に2-1で敗北、王座陥落。再起戦でバルデスと対戦。バルデスはコロラド州の選手で、ニックネームは「Thunder」。中堅どころを相手に勝ったり連敗したり、のキャリア。コロラド州ライト級王座への挑戦はドローに終わったが、このところ三連勝中。ティエでの一戦(会場でカリー・ライルーが観戦)。共にサウスポー。右ジャブ連打。オーソドックスにチェンジするバルデス(どうやらオーソドックスが基本らしい)。接近して実に精力的に連打(メンディがクリンチするシーンも)。しかし、テクニックではメンディ。ブロックしながら左ストレートカウンター、フック、ボディ打ちで相手の隙を突く。7R、メンディが左フックでボディを執拗に攻撃。8R終了。判定はPTS。当てるテクニックでメンディ勝利。負けたがバルデスは積極的かつタフでよかった。強くても相手がより巧ければ勝てないこともある。そんなバルデス。次の試合でザブ・ジュダーに1RでTKO負け。その後も多くの試合をしたが、勝ったり負けたりで王座には縁がなかった。)
その後のメンディ
バルデス戦の次の試合でカリー・ライルーのWBA世界J・ウェルター級王座に挑戦したが、判定負け。これで終わったかと思われたが、その再起戦でオルズベック・ナザロフに判定勝ちでWBA世界ライト級王座獲得。初防衛に成功。二度目の防衛戦でジュリアン・ロルシーに敗北。後、数試合(ノンタイトル戦)やって引退。2020年、ガンにより死去。57 歳の若さだった。
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