WBO世界J・ライト級王者。世界王者になる前のロベルト・ピネイロ戦、ロベルト・カスタノン戦を紹介します。
カメル・ブ・アリ(チュニジア)
身長168cm:オーソドックス(右構え)
①カメル・ブ・アリ 6R TKO ロベルト・ピネイロ
(J・ライト級戦、1984年)
(ダウンシーン)
6R:左フックでピネイロがダウン
(感想:チュニジアのブ・アリ。イタリア在住で、イタリアでプロデビュー。二連敗したこともあったが、その後は連勝中。年齢は25。ピネイロ(23歳)はプエルトリカン。勝ったり負けたりで、タイロン・ダウンズに判定負けしたことがある(ダウンズはバルバドスの黒人で、後、ジェフ・フェネックのWBC世界フェザー級王座に挑戦してTKO負け)。イタリア・ミラノでの一戦。似た体格の二人。足でリズムを取ってジャブ。左フックに巧さがあるブ・アリは右ストレートからの左フックなど。ピネイロは大振りの右フックを振るったり、突き刺すような打ち方で左フックを伸ばしたり。どうやら大きなパンチで意表を突く作戦。粗い攻めのピネイロ。ブ・アリは正確なパンチで攻めたり、応戦したり。6R、攻めるピネイロだが、強烈な左フックで痛烈なダウン。立ったが、ダメージ。レフェリーストップ。ブ・アリが得意の左フックで快勝。右ストレートを当てる巧さもあった。ピネイロは思い切ったボクシング。しかし、隙を突かれた。次の試合もKO負けで引退。)
②カメル・ブ・アリ 2R TKO ロベルト・カスタノン
(J・ライト級戦、1984年)
(ダウンシーン)
2R:連打でカスタノンがスタンディングダウン
(感想:これまで15勝(12KO)2敗1分のブ・アリが経験者と勝負。カスタノンはスペインの選手で、52勝(26KO)4敗1分。スペイン王座、欧州王座(フェザー級、J・ライト級)を獲得した実績。ただ、ダニー・ロペス、サルバドル・サンチェスのWBC世界フェザー級王座への挑戦はいずれもKO負け。直前の試合は実力者マリオ・マルチネスにTKO負け(マルチネスは後、数度の世界挑戦)。ミラノでの一戦。ヒゲのカスタノンはアップライトなボクシング。ジャブ、ストレートは良いが、左フックは腕の力で打っているような打ち方。ブ・アリは慎重に距離を取って右ストレートからの左ジャブといったテクニック。2R、左フックを連打するブ・アリ。カスタノンは攻められると弱いタイプらしく、連打されてスタンディングカウントを聞く。再開直後に右パンチを食ってレフェリーストップ。ブ・アリが楽勝。得意の左フックをスムーズかつパワフルに叩き込んだ。カスタノンは地域王座戦で活躍してきた実績がウソのような負けっぷり。全盛を過ぎたのだろう。次の試合はパット・カウデルとの欧州J・ライト級王座戦で、TKO負け。それが最後の王座戦に。)
その後のブ・アリ
ロッキー・ロックリッジのWBA世界J・ライト級王座に挑戦してTKO負け(1985年)。イタリアを主戦場に好調。アントニオ・リベラを決定戦でKOしてWBO世界J・ライト級王者に(1989年)。初防衛に成功したが、実力者ダニエル・ロンダに2-1で敗れて王座陥落。結果的にそれが最後の世界戦に。ヨーロッパが主戦場であったこと、獲得した王座が当時マイナーだったWBOだったことで「地味な世界王者」のイメージ。しかし、リズミカルにコンビネーションを使う強い男だった。
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