2025年6月15日日曜日

「日本で王座奪取」アルフレド・エスカレラ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界J・ライト級王者。キャリア終盤の試合。マルチン・ロハス戦、ジーン・ハッチャー戦(再戦)を紹介します。


アルフレド・エスカレラ(プエルトリコ)

身長173cm:オーソドックス(右構え)


アルフレド・エスカレラ 12R 判定 マルチン・ロハス

(WBC米大陸J・ウェルター級王座決定戦、1983年)

「日本で王座奪取」アルフレド・エスカレラ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:プエルトリコのエスカレラ。プロ入り後、連勝しては敗北といった不安定なキャリアだったが、柴田国明のWBC世界J・ライト級王座に挑戦するチャンス(1975年)。強烈な右パンチを柴田に叩き込み、一気に連打して王座強奪。日本でバズソー山辺の挑戦をしりぞけたり、アメリカでも防衛に成功したりで10度目の防衛。しかし、世界には上には上が。アレクシス・アルゲリョにKO負けで王座陥落。再戦(1979年)もTKO負けで王座奪回ならず。それが最後の世界戦に。以後は勝ったり負けたり。ロハスはコロンビア人。コロンビア王座(J・ウェルター級)を獲得しているが、このところアメリカで二連続判定負け。しぶとさはあるようだが、トップクラスに通じるレベルの選手ではない印象。フロリダ州マイアミでの一戦。共に赤のトランクス(白のライン)。左ジャブ、右ストレート。アップライトな姿勢で前に出るエスカレラ。ロハスは足でリズムを取って中間距離を保とうとする。動き、パンチのスピード、パワーは共にそこそこ。エスカレラは斜め下からの左フックなど当てる巧さを披露。3R、思い切って踏み込んだエスカレラの右ストレートがヒット(柴田戦を思い出させるような右パンチだった)。ロハスは接近戦でボディ連打などを使うが、受け身の試合ぶりで全体的にパワー不足。 中間距離での攻防が続く。10R、右ストレート、左フックで攻めるエスカレラ。12R終了。判定は3-0。エスカレラが往年のテクニックで勝利。階級を上げたこともあって昔のような鋭さは見られなかったが、右ストレートにはそれなりに威力。ロハスは軽いパンチ。もっと思い切った打ち方をして欲しかったところ。その後、ロハスはアメリカを主戦場にロニー・シールズ、ジョニー・バンフス、サイモン・ブラウンといった相手に連敗。ラストファイトの相手はフランキー・ランドールで、TKO負けだった。)


アルフレド・エスカレラ 10R 判定 ジーン・ハッチャー

(J・ウェルター級戦、1983年)

「日本で王座奪取」アルフレド・エスカレラ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:これまで49勝(30KO)13敗3分のエスカレラ(31歳)。ロハス戦の次の試合はハッチャーとの再戦。ハッチャー(23歳)はテキサス州フォートワース出身の白人で、ニックネームは「狂犬」。これまで17勝(15KO)1敗。エスカレラを3-0で下すなどデビューから連勝だったが、タイロン・クローリーに2-0で初黒星。そこからまた連勝中。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦(メインでロベルト・デュランがデビー・ムーアをKOして三階級制覇。デュランは生き残り、ムーアはその後、世界王座に返り咲くことはなかった)。互いにジャブ。エスカレラはディフェンス&コンビネーション(右ストレートからの左フック、ボディ連打、ほか)。ハッチャーは左フックを振るうが、かわされてしまう。3R、打ち合い。エスカレラが左フックからの右フックなどで精力的な攻撃。その最中、リングサイドがざわつく。モハメド・アリが観戦に入場し、観客はそっちの方に集中して盛り上がる。その後もハッチャーは左ボディ打ちなどに良さがあるが、単発。しかも、切り傷を負う。7R、エスカレラが激しい連打。10R終了。判定は3-0。エスカレラがコンビネーションで雪辱。攻めるシーンはなかなか迫力があった。ハッチャーは流れるような攻めができない欠点。後にWBA世界J・ウェルター級王者になったが、短命王者に終わった。その後のエスカレラ。TKO勝ち、判定負けで引退。何と驚くべきことに、キャリア終盤(1983年)は視力をほとんど失った状態でリングに上がっていたという(おそらく最後の試合の頃だろう)。引退後は所有する農場で暮らしているとのこと。) 

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