2025年6月8日日曜日

「脅威の左フック」トニー・バルタザー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

J・ウェルター級で世界挑戦経験。ロン・ジョンソン戦、ジェームス・マクガート戦ほかを紹介します。


トニー・バルタザー(アメリカ)

身長175cm:オーソドックス(右構え)


トニー・バルタザー 7R TKO ミゲル・アンヘル・ドミンゲス

(ウェルター級戦、1988年)

「脅威の左フック」トニー・バルタザー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

7R:右フックでドミンゲスがダウン

(感想:1983年にロビン・ブレイクにTKO負けしたバルタザー。その後、試合間隔が長めに。1984年、ロジャー・メイウェザーに勝利後、一年以上間を置いて復帰(2RでのKO勝利)。さらにブランク(「アルコール中毒だった」とのこと)。1988年、ドミンゲスと復帰戦。これまで27勝(21KO)2敗、27歳。ドミンゲス(24歳)はメキシコシティ出身で、20勝(10KO)4敗。後の世界王者マウリシオ・アセベス、ホルヘ・バカらに敗北、中堅どころには手堅く勝利してきた。「Bally's Las Vegas」での一戦(リングアナはチャック・ハル、レフェリーはリチャード・スティール)。似たような顔立ちの二人。バルタザーはいつものように攻めの姿勢で、まずは左フック。そして左ジャブ、右ストレート。一発一発にパワーを込める。体格的に少し大きいドミンゲスは足を使って距離を取り、ジャブ連打、右ストレート。バルタザーは得意の左フックを振るうが、ドミンゲスはディフェンス。接近戦。強引に連打するバルタザー。ドミンゲスは応戦するが、基本的に距離を取りたい様子。4R、バルタザーがローブローで減点。さらにジャブを食って右目が腫れるハンデ。ドミンゲスは器用。斜め下からのフックを使い、7Rに右ストレートで優勢。しかし、右フックでダウン。立ったが、ドクターチェック。顔の腫れによりTKO。バルタザーがパワーで何とか勝利。しかし、パワーを込めすぎるクセのため攻撃が単発で、打ち終わった後に隙ができる欠点。ドミンゲスはもうちょっとで勝てるところだったが、闘争本能で劣っていたか。その後のドミンゲス。メキシコ王座(ウェルター級)獲得。王座陥落後は負けが込むようになり、最後はオバ・カーらに連敗でキャリアを終えた。)


トニー・バルタザー 9R TKO ロン・ジョンソン

(ウェルター級戦、1988年)

「脅威の左フック」トニー・バルタザー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

9R:左フックでジョンソンがダウン

(感想:ドミンゲス戦から約一ヶ月後の試合。ジョンソンはオクラホマの白人。デビューは1983年だが、勝ったり負けたりの中堅どころ。ピークを過ぎたハワード・デービス・ジュニア(バルタザーにかつて判定勝ち)、元世界王者ジーン・ハッチャーに判定負けしたことがあるが、このところ無名を相手に三連続KO勝ち。ラスベガス「Showboat Hotel & Casino」での一戦(レフェリーはトビー・ギブソン)。ディフェンスしながら左フックを振るジョンソン。接近戦ではショートフックを使うが、やや細かいボクシングでパワー不足の印象。バルタザー(虎の皮をイメージしたトランクス)はジャブ、ワンツー、左フックを使うが、慎重な試合ぶり。ガードするジョンソンだがワンツーを食い、9Rに速い連打からの左フックでダウン。立ったが、フラついてレフェリーストップ。バルタザーが最後に豪快なシーンを見せて勝利。ジャブで相手を弱らせてから攻める作戦だったのだろうか? 以前は攻め一辺倒だったが、それだけベテランになったということか。ジョンソンは残念ながらローカルな選手。その後、タイロン・トライスにTKO負け。ラストファイトの相手はロイ・ジョーンズ・ジュニアで、2RでのKO負けだった。)


ジェームス・マクガート 10R 判定 トニー・バルタザー

(ウェルター級戦、1989年)

「脅威の左フック」トニー・バルタザー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フックでマクガートがダウン

(感想:カムバック以来、中堅相手に連勝のバルタザーが実力者と勝負。マクガート(25歳)はニューヨーク州ブレントウッド出身の黒人で、これまで42勝(35KO)2敗。IBF世界J・ウェルター級王者になったが、メルドリック・テーラーにTKO負けで王座陥落。その後、連勝中。ショートパンチに巧さがあるが、肩を痛めがちなのが弱点か? ニューヨーク州スワン・レイクでの一戦(リングアナはエド・デリアン、レフェリーはアーサー・マーカンテ・ジュニア。ジャッジの一人は元世界王者ビル・コステロ。会場ではマクガートの5歳の息子が観戦)。ジャブを使いながら前進するバルタザー。マクガートは相手のパワーを警戒。足を使いながら左のガードを下げた構えから左ジャブ。クリンチで接近戦を回避。「打ち合わない作戦」を実行するマクガートだが、2Rに強烈な左フックでダウン。その後も攻めるバルタザー。マクガートはディフェンスしながらアウトボクシング(ジャブカウンター、ワンツー)。ポイントで挽回していくマクガート。8Rにワンツーからの左フック。バルタザーは残念なことに狙いすぎるクセ、相手を見てしまって後手に回るクセ。10R終了。判定は3-0。惜しかったバルタザー。ダウンを奪ったが、一発で倒した場合はダメージは少な目。マクガートが冷静にポイントを重ねた。その後の二人。マクガートはさらに連勝で強打者サイモン・ブラウンからWBC世界ウェルター級王座奪取。ただ、同王座を懸けてパーネル・ウィテカーと二度対戦したが、いずれも判定負けだった。バルタザーは再起三連勝後、ヘクター・カマチョのWBO世界J・ウェルター級王座に挑戦したが、判定負け(1990年)。試合間隔が長くなった後、強打者カルロス・ゴンザレスの持つ同王座に再度挑戦して1RでKO負け(1993年)。それが最後の世界戦に。世界王者並みのパワーはあったが、試合運びに難が。勝負の世界は厳しい。)

 

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