ミドル級。ノンタイトル戦のアル・キニー戦、ビト・アンツォフェルモ戦、デビッド・ラブ戦を紹介します。
ベニー・ブリスコ(アメリカ)
身長173cm:オーソドックス(右構え)
①ベニー・ブリスコ 2R KO アル・キニー
(ミドル級戦、1972年)
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでキニーがダウン
2R:右ストレート、右フック、右フックで3度、キニーがダウン
(感想:ジョージア州出身のブリスコはスキンヘッドがトレードマークの黒人強打者。身長は173cmでミドル級としては大きくないが、その分、パワーは十分。14人兄弟の貧しい家庭の出。16歳の時にフィラデルフィアへ。あのジョー・フレージャーと一緒にトレーニング。アマチュアで活躍(アメリカでの大会で銀メダルを獲得したことも)。1962年、デビュー。連勝だったが、連敗したことも(当時はレベルが非常に高かった)。ルイス・ロドリゲスに判定負け、世界王者になる前のカルロス・モンソン(アルゼンチン)とドロー(初戦)。敗北(KO負けは無し)を経験しながらもこのところ連勝中。キニーはニューヨークの黒人。1962年デビューだが、試合数は少な目(記録が抜け落ちているのかも)。コチラもこのところ連勝中。ペンシルベニア州フィラデルフィアでの一戦。モノクロ映像のため「白人」に見えるブリスコ。ゴツい身体と腕。強いジャブで前進。キニーは相手のパワーを警戒しているのか、そもそもそういうスタイルなのか、足で距離を取りながらジャブ、ワンツー、フックで相手の攻めに応戦。しゃくるようなフックに特徴があり、右ストレートには鋭さ、伸びがある。ジャブを当てるブリスコ。強烈な右ストレートでキニーをぶっ倒す。2R、右ストレートを当てたキニーだが、ブリスコは構わず前進。強烈な右でキニーが三度のダウン、失神KO。恐るべき強打でブリスコが快勝。打たれるシーンもあったが、タフネスでカバー。キニーも良い選手。ただ、相手の「ゴツさ」に吹っ飛ばされてしまった。その後、キニーはビリー・ダグラス(バスター・ダグラスの父)、ユージン・ハートに敗北。中堅どころでキャリアを終えた。)
その後のブリスコ
キニー戦後、世界ミドル級王者カルロス・モンソンと再戦したが、3-0で敗北(世界初挑戦)。再起して北米ミドル級王座獲得。ビリー・ダグラスをTKOして防衛。しかし、ロドリゴ・バルデスに敗北、王座陥落。空位のWBC世界ミドル級王座を懸けてバルデスを再戦したが、今度はTKO負け(1974年)。再起戦でエミール・グリフィスに判定負け。そこから連勝。後のWBA世界L・ヘビー級王者エディ・グレゴリーに2-1で勝利、ユージン・ハートをKO、グリフィスとドロー。当時のミドル級最強はモンソンで、剥奪されたWBC王座をロドリゴ・バルデスから奪回して再び「WBA・WBC統一王者」に。しかし、「もう戦う相手がいない」ということで両王座を返上。その決定戦にバルデス、ブリスコが出場。判定でバルデスが新王者に。ブリスコは結局バルデスには勝てず、それが最後の世界戦となった。
②ビト・アンツォフェルモ 10R 判定 ベニー・ブリスコ
(ミドル級戦、1978年)
(感想:これまで58勝(48KO)14敗5分のブリスコ。バルデスに敗れた再起戦。アンツォフェルモはイタリア人。主戦場はデビュー以来、アメリカで、40勝(19KO)3敗1分。デニー・モイヤー、エミール・グリフィスに勝利。エックハルト・ダッゲを下して欧州王座を獲得したが、モーリス・ホープに敗北で王座陥落。そこからユージン・ハートらを相手に連勝中。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。ダッキングしながら前進するブリスコ。ジャブには伸びがあり、右パンチにはパワー。アンツォフェルモはワンツー、右ストレートからの左ジャブ、斜め下からのフック、ショート連打。接近戦。手数を出しながら時にはヘディングも使うアンツォフェルモ。ブリスコは動きは良いが、相手の手数に押されるシーンも。パワーのブリスコ、手数のアンツォフェルモ。10R終了。判定は3-0。ブリスコが残念な負け方。相手の細かいパンチを食って敗北。パワフルな打ち方で、勝ったアンツォフェルモよりも魅力的なボクシングだったが全盛を過ぎたのだろう。空振りが目立った。アンツォフェルモはややぎこちなさがあり、インパクトに欠けるが、ショートパンチ&手数でカバー。その後、アンツォフェルモはウーゴ・コーロを破って世界ミドル級王者に。マービン・ハグラー相手に引き分けで王座防衛。)
③デビッド・ラブ 10R 判定 ベニー・ブリスコ
(ライトヘビー級戦、1979年)
(感想:アンツォフェルモ戦後、若きマービン・ハグラーにも判定負けしたブリスコ。復帰戦。ラブはカリフォルニア州サンディエゴ出身の黒人。デビュー当初は連敗。中堅相手に連勝後、カリフォルニア州ミドル級王座戦でKO負け。ウィリー・モンロー、ボビー・ワッツらに連勝後、三連敗でブリスコ戦。フィラデルフィアでの一戦。ラブは手数、当てるテクニックで勝負するタイプ。ガードを上げてディフェンスしながらジャブ、ショートのワンツー、左フック。パワーはそれほどない。ブリスコはガードを固めて前進。左右フックでボディ打ちなどを出すが、かつての勢いは無し。ただ、右パンチはそれなりに威力がありそうで、時折ヒットさせる。また、ジャブの正確さも健在。9Rに珍しいシーン。ブリスコのトランクスが緩んだらしく、グローブを巻く用のテープを腰回りに巻き付けて補強。10R終了。判定は3-0。ラブが手数で勝利。ブリスコは加速できないのが悲しい。それでもリングに上がるのは戦うのが好きなのだろう。その後の二人。ラブはアユブ・カルレ、カーチス・パーカーといった次世代の選手に敗れて引退。その後はジムのオーナーとして若手を指導しているとか。ブリスコは82年までリングへ。勝ったり負けたりだったが、TKO勝利も。そのタフネスでプロレスラーばりの長いリングキャリアだった。)
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