IBF世界J・ミドル級王者。世界王者になる前の試合&ノンタイトル戦。フランキー・オーウェンス戦、ポール・ウィテカ戦を紹介します。
マシュー・ヒルトン(カナダ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)
①マシュー・ヒルトン 2R TKO フランキー・オーウェンス
(ミドル級戦、1986年)
(ダウンシーン)
2R:左フックでオーウェンスがダウン
(感想:カナダ・オンタリオ州出身の白人ヒルトン。ボクシング一家で「ヒルトン兄弟」の三男(父もボクサーだった)。6歳の時にボクシングを始め、アマチュアでは全勝だったという。プロ入り後、これまで全勝。全盛を過ぎたビト・アンツォフェルモ、ウィルフレド・ベニテスらを破ってきた。オーウェンスはオクラホマの黒人。直前の試合はルイジ・ミンキロに判定負け。ラスベガス「Hilton Hotel」での一戦。典型的なファイターのヒルトン。ジャブはそこそこに接近してパワーを込めた左フックを振るい、ボディ連打。オーウェンスはややアップライトな姿勢でジャブ、ワンツー。右ストレートに伸びがあるが、手打ち気味なところがある。2R、ロープ際での左フックでオーウェンスがダウン。立ったが、左目付近のカットもあってレフェリーストップ。ヒルトンが楽勝。攻め一辺倒な戦いぶりは欠点もあるが、迫力。オーウェンスはディフェンスに甘さがある二線級。その後、マイケル・ナン、マイケル・オラジデ、マイケル・ワトソンらに連敗でキャリア終了。)
②マシュー・ヒルトン 4R TKO ポール・ウィテカ
(スーパーミドル級戦、1988年)
(ダウンシーン)
3R:右ボディアッパー、左フックで2度、ウィテカがダウン
4R:右フックでウィテカがダウン
(感想:オーウェンス戦後、バスター・ドレイトンを判定で下してIBF世界J・ミドル級王者になったヒルトン。無敗の挑戦者ジャック・キャラハンを2Rで始末して初防衛に成功。それから間が空いて88年初試合(7月)。これまで28連勝(22KO)。ウィテカはルイジアナ州の白人で、22勝(17KO)1敗。唯一の敗北はベテランのウィルフレド・ベニテスに判定で喫したもの。そこから連勝でヒルトンとノンタイトル戦。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(レフェリーはリチャード・スティール。ゴング前、世界ミドル級王者アイラン・バークレーとマイケル・ナンがリング上であいさつ&選手激励)。正統派のウィテカ。ガードを固めてジャブ、ワンツー。パワーはそこそこ。ヒルトンはいつものようにフック中心の攻め。右フックからの左フックに迫力があるが、力んで空振りするシーンも。3R、ショート連打を見せるウィテカだが、右ボディアッパーでダウン。立ったが、今度は強烈な左フックで二度目。4R開始早々、右フックでウィテカがうつぶせにダウン。立ったが、足がフラついてレフェリーストップ。それに抗議するウィテカ。闘志は充分だが、自身のダメージに気付いていないほど効いている危険な状態だった。ヒルトンがパワーを見せつけて勝利。少な目だったが、良いジャブを使っていた。ただ、カウンターを食ったのはマイナス。ウィテカは悪くはないが、激戦区であるミドル級では普通の選手。ただ、一定の実力は確かにあり、その後、ドン・リーに反則勝ちで北米スーパーミドル級王座獲得。初防衛に成功したが、フランスで後の世界王者クリストフ・ティオーゾにTKO負け。北米王座をKO負けで失って引退。)
その後のヒルトン
ウィテカ戦の次の試合はロバート・ハインズとのIBF王座二度目の防衛戦。ダウンを奪ったが、挽回されて判定負け、王座陥落(当時「番狂わせ」と言われた)。パワフルであるが、パンチを振り回すスタイルで勝ち続けるのはムリがある。ダグ・デウィットのWBO世界ミドル級王座に挑戦してTKO負け。結局、世界王座返り咲きならず。その見た目、パワーで「スーパースター候補」だったが、あっけなく消えていった。
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