WBA世界ミドル級王者。ヘロール・グラハム戦(再戦)、クリス・ピアット戦(WBO戦)ほかを紹介します。
スンブ・カランベイ(イタリア)
身長175cm:オーソドックス(右構え)
①スンブ・カランベイ 4R TKO ミオドラグ・ペルノビック
(欧州ミドル級タイトル戦、1991年)
(感想:カランベイがタイトル防衛。35歳の王者カランベイが三度目の防衛戦。挑戦者ペルノビックはモンテネグロ・ツェティニエ出身。1980年モスクワ・オリンピックに「ユーゴスラビア代表」としてライトミドル級で出場(メダルは獲得ならず)。1981年のプロデビュー以来、ヨーロッパ各地を転戦。敗北(時には連敗)を喫しながらもIBFインターコンティネンタル王座(ミドル級)を獲得、防衛。このところ連勝中で勢いがある。イタリア・アンコーナでの一戦。共に良い動きでスピーディ。ダッキングしながらジャブ、ストレート、左フック。ペルノビックはややゴツいパンチを打つ男で、ワンツーなど右パンチにパワー。カランベイはパワー&キレ。力強い二人が手数を出し合う。2R、互いの右ストレートがヒット。しかしながら、やはりカランベイ。ディフェンスしながら速いパンチをヒットさせる。打ち返すペルノビックだが強いパンチを打たれ、4R終了間際あたりでレフェリーストップ。カランベイが速さで勝利。世界王者時代より強いのでは、と思わせるような力強い攻めだった。ペルノビックも思い切りのいいパンチを打つ良い選手だったが、「一瞬のスピード」でカランベイに及ばず。これが事実上のラストファイトに。ブランク後、中堅相手に連勝して引退。)
②スンブ・カランベイ 12R 判定 ヘロール・グラハム
(欧州ミドル級タイトル戦、1992年)
(ダウンシーン)
2R:右フックで2度、カランベイがダウン
(感想:カランベイがタイトル防衛。四度目の防衛戦は再戦。挑戦者グラハム(32歳)は英国の黒人サウスポー。パワーはサッパリだが、長いリーチ&動きのスピードが武器のアウトボクサー。初戦はカランベイが世界王者になる前に行われ、欧州王者グラハムから王座奪取。今回は逆の立場で再戦。グラハムはカランベイとの初戦後、マイク・マッカラムと空位のWBA世界ミドル級王座を争って判定負け。ジュリアン・ジャクソンと空位のWBC世界ミドル級王座を争ってKO負け。大きな試合を落としてきたが、経験は充分。イタリア・ペーザロでの一戦(レフェリーはフランスのアルマンド・クリーフ)。グラハムがいつものように足で距離を取って右ジャブ、左ストレート。スピードはあるが、「小手先のボクシング」といった印象。追うカランベイだが、2Rにハプニング。見えないほど速い右フックでカランベイがダウン。再開後、スピードがあるグラハムが相手の背後に回って攻撃してレフェリーから警告。そして同じような右フックでカランベイが二度目のダウン。3Rにはグラハムの左カウンターがヒット。その後もグラハムが速い動き&パンチで「当てる巧さ」を披露。カランベイは二度ダウンしたがダメージはさほどなく、前進して強打(特に右フック)。4R、グラハムが2Rに警告された動きを再びやって減点。11R、連打されてカランベイがダウンしたが、レフェリーはカウントせず(スリップ?)。12R、グラハムが減点(何がいけなかったのだろう? そんなに危険な行為があったようには見えなかったが)。12R終了。判定のアナウンス。レフェリーはグラハムの手を上げてグラハムを喜ばせたが、その後、ニコニコしながらカランベイの手を上げた。結果は小差の3-0でカランベイが防衛。ファイターとボクサーが持ち味を発揮し合った場合は判定が割れることがよくあるが、この試合は3-0。レフェリーやジャッジがカランベイ寄りだったような気もするが、カランベイにはパワーがあった。その後のグラハム。次の試合(英国ミドル級王座防衛戦)にTKO負け、引退。カムバックしてWBCインター王者に(スーパーミドル級)。ビニー・パジェンザとのインター王座防衛戦に勝利。チャールズ・ブルーワーのIBF世界スーパーミドル級王座に挑戦してTKO負け。やはりプロボクサーは「決定力(パワー)」がなければ。)
③クリス・ピアット 12R 判定 スンブ・カランベイ
(WBO世界ミドル級王座決定戦、1993年)
(感想:ピアットがタイトル獲得。欧州王座を守り続けたカランベイが世界挑戦。年齢的にもこれがおそらく最後のチャンス。ピアットはロンドン出身の黒人。アマチュア王者からプロに。デビューから好調。負傷TKOで初黒星を喫してしまったが、英国王座、次いで欧州王座獲得(いずれもJ・ミドル級)。しかし、欧州王座の初防衛戦でジャンフランコ・ロッシに判定負け。連勝後、ジョン・デビッド・ジャクソンのWBO世界J・ミドル級王座に挑戦して判定負け。英連邦王座(J・ミドル級)、WBCインター王座 (ミドル級)を獲得、それぞれ防衛。残すターゲットは世界王座のみ、といった状況。英国レスターでの一戦。似たタイプの二人(体型、打ち方など)。互いに速いジャブ、右ストレート、左フック。ピアットは左パンチが得意らしく、左フックダブル、左フックからの右ストレート、左ボディ打ち、右アッパーを使う。しかし、パンチのキレとパワーはややカランベイの方が上。豪快なフック連打に迫力。ピアットの攻めの意識が強い試合ぶり(どうしても勝ちたいようだ)により互いに譲らない一進一退の攻防が12Rに渡って続いて試合終了。判定は小差の3-0。攻めの姿勢でピアットが評価されたようだが、カランベイも負けてはいなかった。その後の二人。ピアットはWBO王座を二度防衛後、スティーブ・コリンズ(苦労人)に判定負けで王座陥落。英連邦王座を再び獲得できたが、敗北もあって世界戦は無し。カランベイはこれが最後の試合。強いイメージを残してリングを去った。引退後は若手の指導をしているらしい。)
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