WBA世界ミドル級王者。ロビー・シムズ戦(WBA戦)、レジー・ミラー戦、ジョン・アシュトン戦を紹介します。
スンブ・カランベイ(イタリア)
身長175cm:オーソドックス(右構え)
①スンブ・カランベイ 12R 判定 ロビー・シムズ
(WBA世界ミドル級タイトル戦、1988年)
(感想:カランベイがタイトル防衛。ベルギー領コンゴ出身の黒人カランベイ。国籍はイタリア。若い頃にイタリアに移住し、ボクシングを始める。アマチュアで優秀な成績。プロ三戦目で敗北、四戦目はドロー。その後は連勝し、バスター・ドレイトンに勝利。しかしデュアン・トーマスに敗北(ドレイトンとトーマスは後に世界J・ミドル級王者に)。元世界王者アユブ・カルレにも敗北。へロール・グラハムに勝利して欧州ミドル級王座獲得。アイラン・バークレーとの決定戦で判定勝ちしてWBA王者に。あのマイク・マッカラムを判定で下して初防衛。シムズ戦は二度目の防衛戦。挑戦者シムズはニュージャージー州ニューアーク出身の黒人で、あのマービン・ハグラーの弟。兄貴と同じサウスポーであるが、パワーはそれほどでもない。ただ、若手時代にアイラン・バークレーをKOしており、タフなロベルト・デュランからダウンを奪って判定勝ちしたこともある。イタリア・ラベンナでの一戦(レフェリーはジョン・コイル。シムズのセコンドにペトロネリ兄弟。会場ではハグラーが観戦)。フットワークを使いながら速いジャブを打つカランベイ。時折速い連打を見せたり、当てるテクニックを披露。ボクサータイプの戦い方だが、パワーを感じる打ち方(まるでシュガー・レイ・レナードのよう)。シムズは右ジャブ、ワンツーでカランベイを追うが、ディフェンスされて攻撃が単発に終わる。攻めるシムズ、隙を突くカランベイ、のパターンで12R終了。判定は3-0。カランベイがアウトボクシングで勝利。優秀な選手なのは間違いないが、安全運転。「プロの世界ミドル級王者」としてはいかがなものか? シムズはやはりパワー不足。「レナード vs. ハグラー」の雰囲気もあった試合。そのため、兄弟そろってレナードに負けたかのような印象。その後のシムズ。再起戦でダグ・デウィットと新設されたばかりのWBOの世界ミドル級初代王者決定戦を行ったが、判定負け。ナイジェル・ベンに7RでKO負け。世界王者にはなれなかった。)
その後のカランベイ
次の防衛戦で「タフ男」ダグ・デウィットをKO。当時は「ミドル級ウォーズ」の時代。ハグラー後のミドル級は「群雄割拠」といった状況。IBF王者マイケル・ナンと対戦したが、何と1RでアッサリKO負けで脱落。
②スンブ・カランベイ 2R TKO レジー・ミラー
(スーパーミドル級戦、1989年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでミラーがダウン
(感想:再起ロードのカランベイ。ミラーはルイジアナ州の黒人。1982年、デビュー。連勝だったが、判定で初黒星。後の世界王者ルイス・サンタナに判定勝ちしたが、デイビッド・ブラクストン、マーロン・スターリング、マーク・ブリーランド、ナイジェル・ベン、マイケル・ワトソンといった実力者に敗北。イタリア・ペーザロでの一戦。動きが良い両者。速いジャブ、ストレート、フック、左ボディ打ち。ミラーは気が強いタイプなのか、やられたら同じパンチで打ち返す。しかし、カランベイのパンチによりキレとパワー。オーバーライトハンドでミラーがダウン。立ったが、ロープ際での右ボディでダウン(しかし、レフェリーはこれをダウン扱いせず)。この時、足をくじいたらしく、ラウンド終了時に足を引きずりながらコーナーへ。そのままミラーが棄権して試合終了。カランベイが快勝。ナンにはやられたが、強さは健在。ミラーが棄権したのは足の負傷だけではなく、「このままでは勝てない」と思ったのもあったのではないだろうか? その後のミラー。ロイ・ジョーンズらにKO負け。ブランクがちにリングに上がったが、KO負けが増えていった(ダメージは大丈夫?)。)
その後のカランベイ
ミラー戦の次の試合で欧州ミドル級王座を獲得。初防衛に成功。しかし、WBA世界ミドル級王者になったマイク・マッカラムに挑戦して判定負けで、雪辱を許してしまった。再起戦でジョン・アシュトンと欧州王座の二度目の防衛戦。
③スンブ・カランベイ 7R TKO ジョン・アシュトン
(欧州ミドル級タイトル戦、1991年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでカランベイがダウン
4R:左ボディでアシュトンがダウン
6R:右ボディでアシュトンがダウン
(感想:カランベイがタイトル防衛。35歳の王者カランベイ。挑戦者アシュトン(30歳)は英国サマーコーツ出身の白人。デビューから勝ったり負けたりだが、ローカル王座(J・ミドル級、ミドル級)獲得。このところ連勝中。ただし、KO勝ちはデビュー戦のみ。ペーザロでの一戦(ゴング前、ジャンフランコ・ロッシがリング上であいさつ)。慎重姿勢のアシュトン。相手を警戒しながらジャブ、左フック。斜め上からの右フックでカランベイからダウンを奪う。勢いに乗ったアシュトンは右ストレートからの左フック、右アッパーで攻めの姿勢。左のテクニックを使いながら右強打を振るうのが、いつものパターンか? カランベイも右パンチにパワー。次第にアシュトンの攻撃に慣れ、ディフェンス。4R、ホールド(?)でアシュトンが減点。そして左ボディでダウン。5R、アシュトンが左目のキズのドクターチェック。6R、右ボディでアシュトンがダウン。立ったアシュトンにカランベイはフック攻め。このラウンド終了後、アシュトンがキズにより棄権。カランベイが攻めの姿勢で勝利。1Rにダウンを食ったが、コンディション自体は良かったように見えた。アシュトンは右にパワー。しかし、最後は空転。力みすぎるせいなのかもしれない。その後もアシュトンは地域王座戦。再起戦でヘロール・グラハムと英国王座(ミドル級)を争ったが、TKO負け。英連邦王座戦、英国王座戦(いずれもミドル級)に敗れて引退。)
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