三度の世界挑戦経験。フリオ・バルデス戦、トニー・バルタザー戦、ダナ・ローゼンブラット戦(ラストファイト)を紹介します。
ハワード・デービス・ジュニア(アメリカ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①ハワード・デービス・ジュニア 10R 判定 フリオ・バルデス
(ライト級戦、1982年)
(ダウンシーン)
5R:右ストレートでバルデスがダウン
(感想:ジム・ワットのWBC世界ライト級王座に挑戦して判定負けしてから連勝のデービス。バルデスはドミニカの黒人。四回戦時代に後のWBA世界J・フェザー級王者レオ・クルスとドロー(その後、二連敗)。主戦場をアメリカに。アルフレド・エスカレラに判定勝ち。WBA世界J・ライト級王者サムエル・セラノに挑戦して判定負け。アーロン・プライアー、レイ・マンシーニらに敗北。直前の試合は全米J・ライト級王座への挑戦で、2-1の敗北。経験と一定の実力の持ち主。アトランチックシティでの一戦(リングアナはエド・デリアン、レフェリーはフランク・カプチーノ)。バルデスは自分から攻めない男。距離を取って右ストレート、左フックでカウンターを狙う。デービスはそんなバルデスの一発狙いをディフェンスし、速いジャブ、正確な右ストレート、左フック、回転の速い連打。5R、右ストレートでバルデスがダウン。しかし、バルデスはなかなかタフ。その後も一発狙いの雑な攻め。10R終了。判定は3-0。デービスが攻撃の正確さで勝利。KOできなかったが、パンチには鋭さがあった。バルデスはこれが最後の試合に。)
②ハワード・デービス・ジュニア 10R 判定 トニー・バルタザー
(ライト級戦、1983年)
(ダウンシーン)
5R:左フックでデービスがダウン
8R:左フックでデービスがダウン
(感想:バルデス戦後、クロード・ノエル(元WBA世界ライト級王者)らを相手に連勝のデービス(27歳)。これまで21勝(8KO)1敗。バルタザー(22歳)はカリフォルニア州ラ・プエンタ出身の強打者。左フックが特に強く、中堅相手に23勝(19KO)1分。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはフランク・カプチーノ。TV解説者はシュガー・レイ・レナード)。相手の強打を警戒してフットワーク&ジャブのデービス。バルタザーはガードを固めて前進し、強いジャブ。デービスがアウトボクシングでバルタザーのストレート、左フックをディフェンスし、ジャブ、ストレートでカウンター。慎重に戦うデービスだが、5Rに強烈な左フックでダウン。その後も慎重に距離を取るデービス。攻めるバルタザー。8R、またしても左フックでデービスがダウン。その後はより慎重にアウトボクシングのデービス。10R終了。髪の毛を整えながら判定のアナウンスを聞くデービス(余裕?)。判定は3-0。強烈なダウンを二度も食ったデービスだが、単発のパンチだったため何とか耐えることができた。バルタザーはパワーはあるが、追い込むのはあまり上手くないようだ。そのためか、その後も名のある相手に苦戦。ロジャー・メイウェザーに勝利できたが、バディ・マクガート、ヘクター・カマチョ(WBO世界J・ウェルター級王座戦)、カルロス・ゴンザレス(WBO世界J・ウェルター級王座戦)に敗北。世界王者にはなれなかった。)
その後のデービス
バルタザー戦後、連勝でエドウィン・ロサリオのWBC世界ライト級王座に挑戦したが、またしても判定で同王座獲得ならず(1984年)。試合間隔が長めになり、ジョー・マンリー(後のIBF世界J・ウェルター級王者)に判定負け、新鋭メルドリック・テーラー(後の世界二冠王)とドロー、ヘクター・カマチョに敗北、バディ・マクガートのIBF世界J・ウェルター級王座への挑戦は何と1RでのKO負け(1988年)。それが最後の世界戦に。
③ダナ・ローゼンブラット 2R KO ハワード・デービス・ジュニア
(WBUミドル級王座決定戦、1996年)
(ダウンシーン)
1R:左ストレートでデービスがダウン
2R:右フックでデービスがダウン
(感想:ローゼンブラットがタイトル獲得。マクガートに敗れて引退していたデービスだが、1994年にカムバック。中堅相手に連勝で、王座戦に出場。ローゼンブラットはマサチューセッツ州の白人サウスポー。ニックネームは「Dangerous」(どんな「危ない奴」なのだろう?)。これまで全勝。ローカル王座(ミドル級)獲得、ベテランのブレット・ラリーにTKO勝ち、WBC米大陸王座(ミドル級)獲得、といった実績。直前の試合はパット・ローラー(ウィルフレド・ベニテス、ロベルト・デュランを破った男)にKO勝ち。マサチューセッツ州ボストンでの一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー)。ゴツい身体のローゼンブラット。好戦的なサウスポーで、左ストレート、接近してフック連打。デービスはライト級時代と比べるとまるで別人。左のガードを下げた構えから左ジャブ、右ストレートを出す姿は以前と同じだが、動きのスピード、パンチのキレは昔とは全然違う。左ストレートであっけなくデービスがダウン。2Rには右フックでダウン、KO。ローゼンブラットが楽勝。パンチのキレはそれほどではないが、ゴツいパンチだった。デービスは遙かに全盛を過ぎていた。この敗北にはほとんど意味がないといってもよいだろう。その後の二人。ローゼンブラットは次の試合でビニー・パジェンザにTKO負け、初黒星。テリー・ノリスに判定勝ちでIBAミドル級王座獲得、パジェンザに2-1で雪辱してIBOスーパーミドル級王座獲得。ベテラン相手にマイナー王座戦をメインに出場したキャリアとなった。デービスはこれが最後の試合。引退後はプロボクサーになった息子をサポートしたり、総合格闘技の団体を興したり。しかし、2015年、肺癌のため59歳で死去。)
0 件のコメント:
コメントを投稿