2025年5月31日土曜日

「モントリオール金メダリスト」ハワード・デービス・ジュニア①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

三度の世界挑戦経験。ドミニク・モナコ戦、ノーマン・ゴインズ戦、ジョニー・リラ戦を紹介します。


ハワード・デービス・ジュニア(アメリカ)

身長178cm:オーソドックス(右構え)


ハワード・デービス・ジュニア 8R TKO ドミニク・モナコ

(ライト級8回戦、1977年)

「モントリオール金メダリスト」ハワード・デービス・ジュニア①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:左ジャブでモナコがダウン

(感想:ニューヨーク州出身の黒人デービス。モハメド・アリに憧れ、父(元ボクサー)からボクシングを習う。モントリオール・オリンピック(1976年)にライト級で出場し、金メダル(この大会ではシュガー・レイ・レナード、レオン&マイケル・スピンクス、レオ・ランドルフが金を獲得。後のプロボクシング界に大きな影響を与えた)。プロ入り後、3連勝中。モナコはイタリア・ナポリ出身で、主戦場はニューヨーク。アマチュアでは大会で優勝経験。1973年にプロ入り。中堅どころに勝利してきたが、このところ連敗中。フロリダ州マイアミ・ビーチでの一戦。開始早々、右フックをかますモナコ。左のガードを下げた個性的な構え(ウィリー・ペップに似ているような気がする)から踏み込んで左フックを打ち込む。勢いはあるが、バランスの悪い「粗いボクシング」。デービスもまた左のガードを下げた構え。ジャブ、右ストレート、左フック、斜め下からのパワフルな右フック。戦いぶり、パフォーマンスがレナードによく似ている(マネしているのか、それともデービスの方がオリジナルなのか、は不明)。3R、デービスが右ストレートをヒットさせ、4Rには右腕をぐるぐる回すアピール。5Rは一気に激しい連打を見せた後、モハメド・アリばりの「フットワーク&ジャブ」。8R、左ジャブ(とても速いパンチ。ジャブが当たったように見えたが、左フックかもしれない)でモナコがダウン。ダウンを奪って両手を上げるデービス(レナードがよくやるアピール)。再開後、一気に連打してレフェリーストップに持ち込んだ。デービスがスピードで勝利。力強いパンチを多く出していたが、モナコはタフだった。その後もモナコは多くの試合。ただ、ピークを過ぎて連敗続き。ホルヘ・パエスにTKO負けするなど完全に「かませ犬」化。1999年までリングに上がり続けた。)


ハワード・デービス・ジュニア 10R 判定 ノーマン・ゴインズ

(ライト級戦、1978年)

「モントリオール金メダリスト」ハワード・デービス・ジュニア①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでデービスがダウン

5R:左フックでデービスがダウン

9R:左フックでゴインズがダウン

(感想:7連勝のデービス。ゴインズはインディアナ州の黒人。米軍基地でトレーニングをした過去があり、アマチュア王者からプロ入り。デビューから好調だったが、初黒星はKO。このところ勝ったり負けたり。インディアナ州インディアナポリスでの一戦(会場で両選手の幼い子たちが観戦)。1R、共に速いジャブ。ゴインズはなかなか豪快なボクシングをやる男で、思い切りのいいフックを振るう。そして大きく振った右フックでデービスをぶっ倒す。その後も右フックを狙うゴインズ。デービスはディフェンスしながらフットワーク&ジャブ。時折ワンツー、フック連打。5R、強烈な左フックでデービスがダウン。立ち上がり、フットワーク&ジャブでしのぐ。9R、左フックが効いたゴインズ。左フックでダウン。10R、デービスは無理をせず、フットワーク&ジャブ。10R終了。判定は3-0。強烈なダウンを二度食ったデービス。よく挽回した。ゴインズはケン・ノートンばりの強さがあったが、狙いすぎ。相手を追い込むテクニックがあれば勝敗は逆だったかも。その後、ゴインズはソウル・マンビー、アーロン・プライアー、ロベルト・エリゾンド、ロドルフォ・ガト・ゴンザレス、レイ・マンシーニらに敗北するなど中堅どころとしてキャリアを終えた。)


ハワード・デービス・ジュニア 10R 判定 ジョニー・リラ

(ライト級戦、1980年)

「モントリオール金メダリスト」ハワード・デービス・ジュニア①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:連勝後、ジム・ワットのWBC世界ライト級王座に挑戦したデービスだが、相手の地味なスタイルを崩せず判定負け。リラと再起戦。リラ(28歳)はシカゴの白人。アマチュアで活躍。プロ入り後は好調で、強打者アンディ・ガニガンをKOして全米ライト級王者に。エルネスト・エスパーニャのWBA世界ライト級王座に挑戦してTKO負け(1979年)。再起三連勝でデービス戦。ネバダ州ステートラインでの一戦(レフェリーはミルズ・レーン。会場ではWBA世界ヘビー級王者マイク・ウィーバー、世界ヘビー級1位ゲーリー・クーニーが観戦。二人の対戦が期待されていたこともあったが、実現せず。クーニーはラリー・ホームズではなくウィーバーに挑戦していたら人生が違うものになっていたかもしれない)。24歳のデービス。フットワーク&ジャブ。リラも正統派。ジャブを使いながら相手との距離を詰め、ワンツー、左フック。良い選手だが、「普通の選手」といった感じで特別な強味に欠ける。そのためデービスがディフェンスのテクニック&当てる巧さでポイント。アウトボクシングしながら時折パワフルなフック連打(8Rほか)。10R終了。判定は3-0。デービスがスピードで勝利。リラの攻めを機敏な動きでかわした。その後のリラ。ウィリー・ロドリゲス(全米J・ウェルター級王座戦)、元世界王者アルフレド・エスカレラらに敗北。引退後、マネジメント、ジャッジ、レフェリー、プロモーターとしてボクシング界に貢献。ボクサーのための年金や組合の設立を主張したことも。2012年12月8日、イリノイ州シカゴで病死(享年61)。)

 

0 件のコメント:

コメントを投稿