2025年5月3日土曜日

「全勝の英国サウスポー」ジョー・カルザゲ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界スーパーミドル級王者。世界王者になる前の試合。タイロン・ジャクソン戦、パット・ローラー戦ほかを紹介します。


ジョー・カルザゲ(イギリス)

身長180cm:サウスポー


ジョー・カルザゲ 2R TKO スペンサー・アルトン

(S・ミドル級戦、1993年)

「全勝の英国サウスポー」ジョー・カルザゲ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:連打でアルトンがダウン

(感想:ロンドン出身のカルザゲ(本名「ジョゼフ・ウィリアム・カルザゲ」)。ニックネームは「The Pride of Wales(ウェールズの誇り)」「The Italian Dragon(イタリアの龍)」(イタリア人とイギリス人のハーフであることが由来)。子供の頃からスポーツ万能。アマチュアで優秀な成績。プロ入り後はこれまで2連勝。アルトンは英国ダービー出身の白人。勝ったり負けたり連敗したりだが、試合数は多い。ウェールズ・ニューポートでの一戦。1R開始から実に積極的で手数が多いカルザゲ。右ジャブ、左右フック、ボディ打ち。サウスポーは右フックを武器とすることが多いが、カルザゲは左フックのボディ打ちに正確さ。アルトンは攻められて闇雲に応戦するが、回転の速い連打でダウン。2Rも攻めるカルザゲ。アルトンのコーナーからタオルが投入されたが、レフェリーはこれを認めず続行。しかし、アルトンが攻められたところでレフェリーストップ。カルザゲが精力的な連打で勝利。フックを当てる巧さがあった。アルトンは弱い選手ではなかったが、相手の勢いに飲み込まれた。その後のアルトン。リングに上がり続けたが、全敗でキャリア終了。)


ジョー・カルザゲ 1R TKO マーク・リー・ドーソン

(S・ミドル級戦、1994年)

「全勝の英国サウスポー」ジョー・カルザゲ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ボディ、左フックで2度、ドーソンがダウン

(感想:連勝のカルザゲ。ドーソンは英国バートン・アポン・トレント出身の白人。ロビン・リードに1Rで敗北したり、ローカル王座戦(J・ミドル級)で判定負けしたり。ウェールズ・カーディフでの一戦。身長差。小さいがガッチリした身体のドーソン。いきなり左フックをかますが、すぐに劣勢に。カルザゲが右ジャブ、フック連打、左ボディ打ち。アッパー気味の左ボディでドーソンがダウン。立ったが、勢いに飲まれる形で今度は左フックでダウン。今度も立ったが、連打されてレフェリーストップ。この試合もカルザゲが連打で勝利。やや攻めが強引な感じもしたが、相手の動きが見えていたのであればそれで良いのかも。ドーソンは相手の勢いについていけず、特に何もできなかった。その後も多くの試合をしたドーソン。しかし、負け続け。通算戦績14勝(4KO)48敗。KO負けは「17」で、少な目だった(粘るタイプ)。) 


ジョー・カルザゲ 4R TKO タイロン・ジャクソン

(S・ミドル級戦、1995年)

「全勝の英国サウスポー」ジョー・カルザゲ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:連勝のカルザゲ。ジャクソンはジョージア州アトランタ出身の黒人。勝ったり負けたり。直前の試合は初の10回戦で、判定負け。英国ヨークでの一戦。共に23歳。鍛えた身体のジャクソン。足でリズムを取り、ダッキングしながら力強い右ストレート、フック。身長で上回るカルザゲはワンツー、フック、斜め下からの左フックなどを使うが、手打ち気味。時折強いパンチを当てるジャクソンは「ニヤリ」と笑いながら前進。ところが4Rに一気に決着。連打をまとめるカルザゲ。ロープ際でジャクソンがボカボカ打たれたところでレフェリーストップ。カルザゲが回転の速い連打で勝利。しかし、パンチが軽めで、打たれた(今後の課題)。ジャクソンは強いパンチ。しかし、ヘンに余裕をかまして敗北。強いけど、何か残念な男だった。そんなジャクソン。次の試合は日本・横浜で、寺地永に判定負け。以後、ルペ・アキノらを相手に多くの敗北。通算戦績8勝(5KO)41敗。KO負けは「10」。マーク・リー・ドーソン同様、粘るタイプだった。)


ジョー・カルザゲ 2R TKO パット・ローラー

(ライトヘビー級戦、1996年)

「全勝の英国サウスポー」ジョー・カルザゲ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:これまで18連勝(17KO)のカルザゲ(24歳)。決定戦で英国S・ミドル級王座獲得。初防衛にも成功してローラー戦。ローラー(32歳)はカリフォルニアの白人で、かつて話題になった元ホープ。ピークを過ぎたウィルフレド・ベニテス、ロベルト・デュランに連勝したが、ジョン・デビッド・ジャクソンのWBO世界J・ミドル級王座に挑戦してTKO負け。その後は上山仁、テリー・ノリス、ヘクター・カマチョらに敗北し、21勝(6KO)8敗。ウェールズ・カーディフでの一戦。上体でリズムを取りながら右ストレート、左フックのローラー(階級を上げて丸っこい身体になった)。カルザゲはいつものように手数。やや手打ち気味なパンチも入れながらストレート、フック連打、ボディ打ち。時折左フックを当てるローラーだが、2Rに追い込まれる。連打でレフェリーストップ。映像で見た感じではまだ続行できそうだったが、カルザゲが一気に手数を出してストップに持ち込んだ(ダメージはそれほどなくても打たれっぱなしだと止められてしまう)。ローラーは左フックに意外な強さ。だが、ライトヘビー級のウェイトで活躍できるレベルではなかった。その後の二人。ローラーはデュランとの再戦、ビニー・パジェンザ戦に敗れるなど負けが込んで引退。カルザゲは元王者クリス・ユーバンクとの決定戦に勝利してWBO世界S・ミドル級王座獲得(1997年)。その後、IBF、WBA&WBCの順に王座獲得。結局、46戦全勝(32KO)で引退。「イギリス史上最強選手の1人」と呼ばれている。) 

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