世界ライト級王者。世界王者になる前の試合。イサック・ウラシャワヤ戦、マット・ゼガン戦ほかを紹介します。
ネート・キャンベル(アメリカ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)
①ネート・キャンベル 5R KO レノール・ロハス・クラウレ
(ライト級戦、2002年)
(ダウンシーン)
5R:右フックでクラウレがダウン
(感想:キャンベルはフロリダ州ジャクソンビル出身の黒人。ニックネームは「The Galaxy Warrior」。デビュー以来、連戦連勝でNABAスーパーフェザー級王座を獲得。NABF王者ダニエル・アリセアとラスベガスで統一戦を行い、KO勝ち。これまで22連勝(20KO)、30歳。クラウレとノンタイトル戦。16勝(7KO)13敗1分のクラウレ(34歳)はボリビア・タカタ出身。地元やアルゼンチンで試合。ボリビア王座(バンタム級、フェザー級)獲得。NABAフェザー級王座に挑戦してTKO負けするなどこのところアメリカで三連敗中。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ。キャンベルのセコンドに元世界王者バディ・マクガート)。左のガードを下げた構えから鋭いジャブを出し、積極的に手数を出すキャンベル(シャープなワンツーからの左ボディ打ち、右ボディ打ち、右アッパーからの左ボディ打ち)。クラウレはブロックしながらショートフックで何とか反撃するが、押され気味。5R、ロープ際での右フックでクラウレがついにダウン。ギブアップするような形で10カウントを聞いた。キャンベルがコンビネーションで勝利。ただ、パンチにはキレがあったが、一発で相手を倒すような「倒し屋」ではない印象。クラウレは終始押され気味で、結局、そのまま負けてしまった。これが最後の試合となり、ローカルな実力者としてキャリアを終えた。)
その後のキャンベル
なかなか厳しい状況に。クラウレ戦の次の試合でホエール・カサマヨールに判定負け、初黒星。ロビー・ピーデンとの全米王座戦(スーパーフェザー級)にKO負け。ピーデンとIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦を行ったが、TKOで敗北。さらにフランシスコ・ロレンツォに2-1で敗北。重要な試合を落として勝ったり負けたりに。
②イサック・ウラシャワヤ 12R判定 ネート・キャンベル
(IBOライト級タイトル戦、2006年)
(感想:ウラシャワヤがタイトル防衛。これまで28勝(24KO)4敗1分のキャンベルにマイナー王座挑戦のチャンス。王者フラツワヨは南アフリカ・マラムレレ出身の黒人。デビューから無敗で24勝(9KO)1NC。南アフリカ・ライト級王座を連続防衛後、決定戦でIBO王者に。これが二度目の防衛戦。フロリダ州タンパでの一戦(会場でWBO世界ライト級王者アセリノ・フレイタスが観戦)。共に派手なカラーのトランクス。互いにジャブ。右パンチ(ストレート、フック)にパワーを入れるキャンベル。ウラシャワヤは手数&ディフェンスの男で、ワンツーからの左フック、ワンツーからの左ジャブといったコンビネーション。左フックをボディからアゴへ連打したり、斜め下からの左右フックを振るったりするなど左のテクニックがある。2R終了後にちょっとしたハプニング。思わず打ってしまった、といった感じでウラシャワヤが終了のゴング後に一発。キャンベルがエキサイト(ボクサーというのは面白い。ラウンド中に激しく打ち合うが、ゴング後の攻撃にはちょっとしたパンチでもキレる。それだけラウンド中は緊張しているのだろう)。その後、互いにディフェンス。キャンベルがワンツー。ウラシャワヤは手数を出して行くがKOを狙うような攻めではない(南アフリカの選手によくあるパターン。優秀だが、エキサイティングではない)。手数に押されるキャンベル。「これではイカン」と思ったか、接近戦を仕掛けてしつこくボディ攻め。12R終了。共に自身の勝利をアピール。判定は2-1。実に悔しそうな表情のキャンベル。手数で負けた。その後のウラシャワヤ。ケンドール・ホルトとのNABO王座戦(スーパーライト級)で3-0の敗北(初黒星)。IBOウェルター級王座獲得、防衛後、決定戦でIBF世界ウェルター級王者に(2009年)。TKOで初防衛ならず。その後は負けが込むようになり、連敗で引退。)
③ネート・キャンベル 12R判定 マット・ゼガン
(IBF世界ライト級王座挑戦者決定戦、2006年)
(ダウンシーン)
1R:ワンツーでゼガンがダウン
6R:ワンツーでゼガンがダウン
(感想:ウラシャワヤ戦の次の試合。ゼガンはポーランド・ヴロツワフ出身。英国でデビュー後、ポーランドを主戦場に。地域王座を獲得するなど好調だったが、アルツール・グレゴリアンのWBO世界ライト級王座に挑戦して判定負け。その後はWBFライト級王座を獲得、防衛するなど連勝。イリノイ州ローズモントでの一戦。1R、サウスポーのゼガンは細かいボクシング。右ジャブ、ワンツー、ショートの右フック。アマチュアボクシングのようなやや単調な攻め。キャンベルは例によって長いパンチ。鋭いワンツーでゼガンが早くもダウン。その後もキャンベルが長いストレート、右ボディ打ち。接近戦でゼガンは左フックを連打するが、攻撃をディフェンスされるシーンが目立つ。6R、またしてもワンツーでゼガンがダウン。その後、キャンベルが長いパンチ&ディフェンス。ゼガンはワンツー。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピールするが、判定は大差の3-0。キャンベルが長く鋭いパンチで勝利。ゼガンは右フックからの左ストレートといったコンビネーションを使っていたが、全体的にパワーが感じられない戦い方。仮にこの試合に勝って世界挑戦していたとしてもあまり盛り上がらない試合になっていたのではないか? その後、ゼガンは連敗するなどスランプ状態に。復調し、WBOの欧州王座(ライト級)を獲得できたが、世界戦は無かった。)
④ネート・キャンベル 12R判定 リッキー・クワイルズ
(IBF世界ライト級王座挑戦者決定戦、2007年)
(ダウンシーン)
12R:フック連打でクワイルズがダウン
(感想:ゼガン戦の次の試合も挑戦者決定戦。クワイルズはプロキャリア18年のプエルトリカン。WBF王座、NABO王座(スーパーライト級)などを獲得してきたが、グレゴリオ・バルガスらに連敗するなど連戦連勝とはいかない。あのエロイ・ロハス(元WBA世界フェザー級王者)に2-0で勝利、NABAスーパーライト級王座を3-0で獲得などの後、フリオ・ディアズとIBF世界ライト級暫定王座を争ったが判定負け。その再起戦でキャンベルと勝負。フロリダ州タンパでの一戦(会場でロナルド・ライト、アントニオ・ターバーが観戦)。サウスポーのクワイルズ。右ジャブ、左ストレート。キャンベルが攻めの姿勢で前進してくるため打ち合いに応じる。得意の右パンチで攻めるキャンベル。クワイルズはクリンチしたり、距離を取ったりしようとするが、逃げられないため接近戦を選択。互いにフック、ボディ打ち。もみ合うシーンも多いが、キャンベルは攻めの姿勢を基本としながらカウンターを狙ったり。12R、右フックが効いたクワイルズ。フック連打でダウン。12R終了。判定は大差の3-0。キャンベルはよく攻めた。また、左を使いながら右パンチ、左ボディを上手く当てていた。相手がサウスポーでも問題ないようだ。 クワイルズはよく頑張ったが、これが最後の試合に。)
その後のキャンベル
二度目の世界王座戦。王者ファン・ディアスを判定で下してWBA・IBF・WBO世界ライト級王座獲得(最後まで熾烈な打撃戦が続いた好試合だった)。初防衛戦で大きなミス。体重オーバーで王座剥奪。試合には勝ったが、王座は無し。階級を上げてティモシー・ブラッドリー・ジュニアとWBO世界スーパーライト級王座を争ったが、負傷によりノーコンテスト。その後は負けが多くなり、世界戦は無し。引退後はトレーナー、TVショーのホストをしているとか。
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