2025年5月24日土曜日

「英国のウェルター級」ゲーリー・ジェイコブス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

ウェルター級。ノンタイトル戦のロリン・ウィリアムス戦、マイク・ダーバン戦、ホーレス・フリーリー戦を紹介します。


ゲーリー・ジェイコブス(イギリス)

身長170cm:サウスポー


ゲーリー・ジェイコブス 1R TKO ロリン・ウィリアムス

(J・ミドル級戦、1989年)

「英国のウェルター級」ゲーリー・ジェイコブス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ストレート、右フックで2度、ウィリアムスがダウン

(感想:スコットランド・グラスゴー出身のジェイコブス。アマチュアからプロ入り。これまで一つの敗北を除いて好調。英連邦王座、次いでWBCインター王座(いずれもウェルター級)を獲得、防衛。ウィリアムスはアリゾナ州フェニックス出身の黒人で、ニックネームは「Chiller」(どういう意味なのだろう? 「冷却装置」転じて「相手を凍らせるほどの怖いパンチの持ち主」ということだろうか?)。アリゾナ州王座(J・ウェルター級)を獲得後、全米ウェルター級王者に。後のWBO王者マニング・ギャロウェイに敗れて全米王座陥落。その次のアリゾナ州王座戦は何と1RでTKO負け。二連敗の状況でジェイコブス戦。英国ケンジントンでの一戦。スリムなウィリアムス。足を使って距離を取ってシャープなジャブ、右ストレート。追うジェイコブスは左ストレート、フック。しかし、ジャブが少ない。受け身のウィリアムス。左右フック、右カウンターで応戦するが、左ストレートで痛烈なダウン。立ったが、左ストレートからの右フックで二度目。今度も立ったが、レフェリーストップ。それに不満のウィリアムスはレフェリーに抗議し、なぜかジェイコブスをハグ。困惑するジェイコブスであった。試合自体は微妙。ジェイコブスは攻めが強引。ウィリアムスは良いパンチを持っているが受け身で、打たれ弱さ。その後、ウィリアムスはカリフォルニア州王座(J・ミドル級)を獲得したが、ロイ・ジョーンズ・ジュニアに4RでKO負け、フランキー・ライルズ、ダーリン・バン・ホーンに判定負け。ローカルな実力者としてキャリアを終えた。)


ゲーリー・ジェイコブス 1R KO マイク・ダーバン

(J・ミドル級戦、1990年)

「英国のウェルター級」ゲーリー・ジェイコブス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ボディでダーバンがダウン

(感想:ウィリアムス戦後、ジェイコブスに試練。実力者バディ・マクガート、ドノバン・ブーシェ(英連邦王座戦)に二連敗。再起戦にTKO勝ちして、ダーバン戦。ダーバンはロンドン出身(映像ではロイド・ハニガンに似た感じの顔立ち)。英国のローカル王座(ライト級)を獲得、パット・カウデル(サルバドル・サンチェス、アズマー・ネルソンのWBC世界フェザー級王座に挑戦して敗北)に判定負け。直前の試合はTKO勝ち。ケンジントンでの一戦(レフェリーはラリー・オコーネル)。攻めるダーバン。ジャブ、右ストレート、ショートフック。ジェイコブスは右ジャブを使いながら左ストレート、右フック。実にタイミングのいい左ボディでダーバンがダウン。立てず、10カウント。ジェイコブスが良い勝ち方。トップどころに負けてジャブを使うようになったのが勝因か? ダーバンは積極的で悪くなかったが、いいパンチを食った。次の試合でアンディ・ホリガン(後、フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ウェルター級王座に挑戦してTKO負け)にも1RでKOされて引退。)


ゲーリー・ジェイコブス 5R TKO ホーレス・フリーリー

(J・ミドル級戦、1993年)

「英国のウェルター級」ゲーリー・ジェイコブス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ダーバン戦の次の試合でKO負けしたジェイコブス。再起して英国王座(ウェルター級)を獲得するなど連勝後、ルドビック・プロトと欧州ウェルター級王座決定戦を行ったが、判定負け。プロトとの再戦にTKO勝利して欧州王座獲得。フリーリーはトリニダード・トバゴ出身の黒人サウスポー。ドイツ在住でイギリス国籍。勝ったり負けたり連敗したりで戦績はよろしくないが、ドイツ王座(スーパーミドル級)を獲得したことがある(二度)。このところ二連敗中だが、いずれも判定によるもの。英国サンダーランドでのサウスポー同士の一戦。ボクサータイプのフリーリー。足で距離を取って右ジャブ。左ストレートに良さがあるが、倒しに行くような打ち方ではない。ジェイコブスは動きが良い。ダッキングしながら左ストレート、右フック。ボディ打ち、アッパー気味のフックなど手数が多い。連打するジェイコブス。受け身のフリーリーは4R終了後に棄権(大きなダメージがあったようには見えなかった。「勝てない」と判断してのギブアップなのだろう)。ジェイコブスが精力的な攻めで勝利。ただ、ダウンを奪えなかったのは残念。その後のフリーリー。多くの負け。しかし、ドイツ王座戦(スーパーミドル級)に勝利するなど意外な活躍。タイトルが懸かると気合いが入るタイプなのかもしれない。)


その後のジェイコブス

欧州王座を連続防衛するなど好調。WBC1位にランク。しかし、パーネル・ウィテカーのWBC世界ウェルター級王座に挑戦して判定負け(1995年)。ダウンを奪われたうえに全体的につまらない試合をやってしまった(それほどパワーが無いサウスポー同士の試合。ある程度予想できたことだが)。その後も地域王座といったタイトル戦に出場したが、勝ったり負けたりで二度目の世界挑戦ならず。引退後はボクシングのコーチになった。 

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