S・ウェルター級。サイード・ベナジェム戦、アレクサンドル・ペレボチコフ戦、オーハン・デリバス戦を紹介します。
ママドゥ・チャム(フランス)
身長175cm:オーソドックス(右構え)
①ママドゥ・チャム 2R TKO サイード・ベナジェム
(EBU スーパーウェルター級王座決定戦、1998年)
(ダウンシーン)
1R:連打でベナジェムがダウン
2R:右フック、左フックで2度、ベナジェムがダウン
(感想:チャムがタイトル獲得。セネガル生まれでフランス国籍の黒人チャム。デビュー以来、一つのTKO負けを除いて快調。フランス王座(S・ウェルター級)を獲得、防衛。次のターゲットは欧州王座。ベナジェムはパリの黒人。アマチュアで活躍。国内王者になったが、1992年のバルセロナ・オリンピック(ウェルター級)ではメダル獲得ならず。プロではフランス王座(S・ウェルター級)を獲得したが、欧州王座戦(S・ウェルター級)でTKO負け。これが同王座への二度目のチャレンジとなる。パリでの一戦。1R、ダッキングしながらジャブを出すチャム。パンチのキレはそこそこ。ベナジェムはボクサータイプで、足でリズムを取りながらジャブ、左フックからの右ストレート。相手を追うチャム。パワフルなフック連打でベナジェムが早くもダウン。2R、右フックでベナジェムがダウン。立ったが、劣勢。左フックが入ったところでレフェリーが止めようとしたが、二度目のダウン。それと同時に試合ストップ。チャムがパワーで圧勝。比較的ゆっくりした動きだったが、ラッシュするときのストレート、フックにパワーと勢い。自然に強打できる「ナチュラルパワー」の持ち主。ベナジェムは悪い選手ではないが、チャムと比べるとパワー不足。再起戦でフランス王座を防衛したが、その次の防衛戦でKO負けして引退。)
②ママドゥ・チャム 2R TKO アレクサンドル・ペレボチコフ
(スーパーウェルター級戦、1999年)
(ダウンシーン)
2R:左フックで2度、ペレボチコフがダウン
(感想:ベナジェム戦の次の試合はノンタイトル戦。ペレボチコフはロシア人。WBCの地域王座(ウェルター級)に挑戦して判定負け。このところ連敗中。パリでの一戦。ジャブを出すが、動きとパンチにスピードが無いペレボチコフ。ただ、踏み込んで打つ右ストレートはそれなりに威力。チャムも動きのスピードは同じくらいだが、攻めるときの迫力は段違い。2R、左フックでペレボチコフがダウン。立ったが、今度は見事なコンビネーション(ワンツーからの左フック)で二度目。立ったが、戦意喪失気味でレフェリーストップ。チャムがスピードの無い相手に圧勝。ミスマッチだった。ペレボチコフは連敗中、かつ敵地での試合でコンディションが良くなかったのかもしれない。その後、「WBB」なる団体のミドル級王座、ロシア・ウェルター級王座獲得。ローカルな活躍を見せた。)
③ママドゥ・チャム 7R TKO オーハン・デリバス
(EBU スーパーウェルター級タイトル戦、1999年)
(ダウンシーン)
1R:左フックでデリバスがダウン
(感想:チャムがタイトル防衛。二度目の防衛戦。挑戦者デリバスはトルコ・カイセリ出身。アマチュアで大変な実績。バルセロナ・オリンピックでは「オランダ代表」として出場し、ライトミドル級で銀メダル。プロデビューはオランダ。アメリカでも試合。地域王座(スーパーウェルター級)獲得。このところドイツで試合をしているが、直前の試合はオランダ・ロッテルダムで判定勝ち。これまで全勝。満を持しての欧州王座挑戦。フランス・ルヴァロワ=ペレでの一戦。1R、ガードを固めてジャブ、右ストレート、左フックのデリバス。パンチにはまずまずのスピード。チャムはいつものようにジリジリを前進して相手にプレッシャーを掛ける。そして強打。右ストレート、アッパー気味の左右フック連打、インサイドからカチ上げるようなフックで猛攻。左フックでデリバスがうつぶせにダウン。2R、激しい攻防。早い回で終わるかと思われたが、デリバスはディフェンスしながら反撃。チャムはマイク・タイソン式「右ボディからの右アッパー」など。そして、7R。デリバスが左フック、右ストレートで攻められたところでレフェリーストップ。デリバスは「続行可能」をアピールするが、裁定は変わらない。チャムが猛打で全勝のチャレンジャーを一蹴。デリバスは間違いなく実力者だったが、パワーで及ばず。その後、デリバスは空位になったこの王座に再び挑戦したが、棄権負け。それが事実上のラストファイトとなった。)
その後のチャム
三度目の欧州王座防衛後、フェリックス・トリニダードのWBA世界S・ウェルター級王座に挑戦したが、強打で目をやられて何と3RでTKO負け(世界は広い)。決定戦で再び欧州王者に。WBAインター王者マイケル・ラスクをTKOで下して王座獲得。
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