2025年4月30日水曜日

「南アのダイナマイト」ウィリアム・ゲアー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBFスーパーミドル級王者。ジェイミー・ピットマン戦、ピーター・マシャマイテ戦、ロベルト・ステイグリッツ戦を紹介します。


ウィリアム・ゲアー(南アフリカ)

身長177cm:オーソドックス(右構え)


ジェイミー・ピットマン 8R 負傷判定 ウィリアム・ゲアー

(WBFスーパーミドル級王座決定戦、2006年)

「南アのダイナマイト」ウィリアム・ゲアー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ピットマンがタイトル獲得。南アフリカのゲアー(31歳)。ニックネームは「ダイナマイト」(さぞかし凄まじい爆発力なのだろう)。南アフリカ王座、WBCインター王座、WBU王座、WBF王座といったタイトル戦に数多く出場。残念ながら連戦連勝とはいかず勝ったり負けたりだが、地域王座戦の常連。南アフリカ王座(スーパーウェルター級)陥落後、この決定戦。ピットマン(25歳)はオーストラリア・ブリスベン出身の白人サウスポー。アマチュア王者からプロに。オーストラリア王座(スーパーミドル級)を獲得するなどこれまで全勝。オーストラリアのセントラル・コーストでの一戦。いかにもサウスポーのピットマン。相手から距離を取って右ジャブ、ワンツー。打っては距離を取り、打たれたらクリンチ、の安全運転。ゲアーは左のガードを下げたりしながらジャブ、右ストレート、右フック、左ボディ打ち。攻めようとするがクリンチされたり、1Rからバッティングになったり。全般的にディフェンシブなピットマン。ゲアーは相手のガードを崩すようなパワーや器用さが無い(少なくとも「ダイナマイト」ではない)。7R、ホールドでゲアーが減点。8Rにバッティングでピットマンが負傷。判定によりピットマンが新王者に。微妙だった試合。打ち合いを避けたいピットマン、それを崩せないゲアー。マイナー王座戦らしい内容。勝って喜んでいたピットマンだが、あまり魅力的な試合ぶりではなかった。その後、フェリックス・シュトルムのWBA世界ミドル級王座に挑戦して敗北。地域王座戦に出場するなどローカルな活躍にとどまった。)


ウィリアム・ゲアー 12R 判定 ピーター・マシャマイテ

(南アフリカ・スーパーミドル級タイトル戦、2007年)

「南アのダイナマイト」ウィリアム・ゲアー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ゲアーがタイトル獲得。ピットマンに敗れた次の試合で南アフリカ王座に挑戦のゲアー。王者マシャマイテは黒人サウスポー。ムプシュ・マカンビに判定負けで南アフリカ・ミドル級王座獲得ならず。ドイツでデニス・インキンに判定負け。決定戦で南アフリカ王座、次いでIBOインターコンティネンタル王座(いずれもスーパーミドル級)獲得。ゲアー戦は南アフリカ王座の初防衛戦となる。南アフリカ・ソウェトでの一戦。モヒカン風の髪型のマシャマイテ。右ジャブ、ワンツー。しかし、KOを狙って激しく攻めるタイプではない。ゲアーはサウスポーはあまり得意ではない様子。慎重な姿勢でディフェンスし、ワンツーなどで右ストレートを狙う。また、ワンツーからの左ジャブといった小技も使用。マシャマイテが右フック、ゲアーは左ボディ打ちを出すが、互いにディフェンス。時折ゲアーが右ストレート、左フックを当てる(2R、10Rほか)。最終ラウンド、勝利を確信しているゲアーは足を使って観客に優勢をアピール。12R終了。「頭脳作戦でオレが勝った」といった感じで自身の頭をグラブでポンポン叩くゲアー。判定は3-0。打たれるのを避けながらゲアーが当てるパンチで勝利。パワーはそれほどでもないため、そういう戦い方をせざるを得なかったのだろう。マシャマイテは単調。ワンツー、右フックで終わり。相手を追い込むような連打をして欲しかったところ。その後のマシャマイテ。南アフリカ王座、次いでWBOアフリカ王座(いずれもミドル級)獲得。ローカルな活躍だった。)


ロベルト・ステイグリッツ 10R 判定 ウィリアム・ゲアー

(スーパーミドル級戦、2007年)

「南アのダイナマイト」ウィリアム・ゲアー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マシャマイテ戦の次の試合。ステイグリッツはロシア人で、ドイツが主戦場。IBFのユース王座(ライトヘビー級)、インターコンティネンタル王座(スーパーミドル級)を獲得するなどデビューから好調。IBF世界スーパーミドル王座決定戦でTKO負け、初黒星。再起戦に勝利してゲアーと勝負。ドイツ・マクデブルクでの一戦。共に力強いパンチ。ステイグリッツはガードを上げてジャブ、ワンツー、接近して連打。ただ、力んでいるため攻撃がとぎれがち。ゲアーはロイ・ジョーンズを意識しているのか、左のガードを下げた構えからジャブ、ワンツーからの左フック。互いにディフェンスしながらテクニックを披露。一進一退。ステイグリッツが右目の下をカット。7R、ゲアーがコンビネーション(フック、ボディ打ち)。10R終了。判定は大差の3-0。実力的には大きな差は感じられなかったが、時折ステイグリッツが強いストレート、左フックを当ててポイントを積み重ねた。ただ、力んで連打するため打ち終わった後、クリンチになるパターンが多かった。その後の二人。ステイグリッツはWBO世界スーパーミドル級王座獲得。王座を奪われても奪回して防衛するなどスーパーミドルで活躍。ゲアーはWBF王座を再び決定戦で獲得したり、IBOのタイトル戦に出場したり。結局、メジャーな世界王座とは無縁だったが、左ボディ打ちが巧いなど一定の実力はあった。) 

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