2025年4月10日木曜日

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBO世界クルーザー級王者。WBO王座戦のウィラード・ルイス戦、ピエトロ・アウリーノ戦ほかを紹介します。


ジョニー・ネルソン(イギリス)

身長189cm:スイッチヒッター(両構え)


マルクス・ボット戦後のネルソン

ボットをTKOで下して欧州クルーザー級王座を獲得したネルソン(1990年)。しかし、ここから苦難。欧州王座の初防衛に成功したが、次の試合まで一年以上間が空いた(91年はその一試合のみ)。92年、ジェームス・ワーリングのIBF世界クルーザー級王座に挑戦して判定負け(二度目の世界挑戦も実らず)。続くノーベルト・エカッシ戦、コリー・サンダース戦にも敗れて三連敗。決定戦でWBFクルーザー級王座獲得。反則負けで初防衛ならず。強打者 ジミー・サンダーに判定勝ちしてWBFヘビー級王座獲得。しかし、ヘビー級では厳しいネルソン。ヘンリー・アキワンデに判定負け、アディルソン・ロドリゲスに判定負けでWBF王座の初防衛に失敗。デニス・アンドリュース(元WBC世界ライトヘビー級王者)をTKOして英国クルーザー級王座奪回。決定戦で欧州クルーザー級王座も奪回(1997年)。すっかりベテランになった。


ジョニー・ネルソン 1R TKO ダーク・ワライン

(欧州クルーザー級タイトル戦、1997年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでワラインがダウン

(感想:ネルソンがタイトル初防衛。奪回した王座の初防衛戦(97年、最後の試合。10月)。挑戦者ワラインはベルギー出身の白人。ベルギー王座(クルーザー級)を獲得するなど地元では好調だったが、オランダでエディ・スマルダースに2RでKO負け(欧州ライトヘビー級王座戦)。そこから地元で連勝し、ネルソンに挑戦。英国シェフィールド(ネルソンの出身地)での一戦。ヒラヒラした白いトランクスのネルソン(そのトランクスは後、ネルソンのトレードマークに)。左のガードを下げる構えは以前と変わらないが、全体的にパワーアップした印象。フットワークは少な目で、振りの大きいパンチで攻める姿勢。そんなネルソンにワラインは圧倒されてジャブぐらいしか出せず、大きな右フックでダウン。立ったが、ネルソンの長い右ストレート、大振りフックの嵐にさらされてタオル投入、試合終了。ネルソンが73秒で勝利。ヘビー級でも戦ってきたネルソンにとってワラインは敵ではなかったようだ。その後のワライン。敗北もあったが、ローカル王座、マイナー王座を獲得したり、ヘビー級戦で勝利したり。ローカルスターとして活躍した。)


ジョニー・ネルソン 5R TKO ウィラード・ルイス

(WBO世界クルーザー級タイトル戦、1999年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ネルソンがタイトル防衛。ここ数年、試合数が少ないネルソン。94年から年間、二試合ほどだったが、98年はノンタイトル戦が一試合のみ(勝利)。99年3月、カール・トンプソンのWBO世界クルーザー級王座に挑戦のチャンス。TKO勝ちでついに世界王座に。判定で初防衛に成功。ルイス戦は2度目の防衛戦。これまで33勝(23KO)12敗1分で、32歳。王者になったというのもあってか、99年は精力的にリングへ。挑戦者ルイス(25歳)はカナダの白人。デビューから負け無しで、15勝(6KO)1分。カナダ王座(クルーザー級)獲得の実績。直前の試合はドロー。ロンドンのダゲナムでの一戦。身体もゴツくなり、パンチ力が増した印象のネルソン。パンチのキレも健在。ディフェンスしながら力強いジャブ、右ストレート。ルイスは右ストレート、左フックに良さがあるが、連打をかわされたり、攻めが単発に終わったり。4R、ネルソンがコンビネーション(右ストレート、左フック、右ストレート)。このラウンド終了後、ルイスが棄権、左マブタのキズが原因だろう。ネルソンが連打で勝利。パンチがゴツくなった分、パンチや動きのシャープさは落ちたが、それをパワーと手数でカバー。ルイスは攻めが単調だったか。ネルソンのディフェンスとジャブに攻撃を遮られた。その後のルイス。何と負けてばかり。カナダ王座戦(クルーザー級、スーパーミドル級)、ドニー・ラロンデ、ルシアン・ブーテ戦など。ネルソンに負けて自信を失ったのであろうが、それならキッパリ引退した方がよかったのではないかと思えるような連敗続きでキャリアを終えた。)


ジョニー・ネルソン 7R TKO ピエトロ・アウリーノ

(WBO世界クルーザー級タイトル戦、2000年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでアウリーノがダウン

(感想:ネルソンがタイトル防衛。99年は忙しかったネルソン(WBO王座獲得、四度の防衛)。アウリーノとの5度目の防衛戦は2000年、初試合(4月)。挑戦者アウリーノはイタリアのトッレ・アンヌンツィアータ出身の白人サウスポー。これまで17連勝(9KO)。ニックネームは「The Killer」(何とも物騒。キツい攻撃を相手に加えるのだろう)。これまでの試合は全てイタリアで、WBUインター王座、イタリア王座(いずれもクルーザー級)を獲得してきた。ロンドンのベスナル・グリーンでの一戦。1R、左ストレートを狙うアウリーノ。ネルソンはジャブ&連打。右フックがカウンターで入ってアウリーノがダウン。その後、ジャブで相手を追い込むネルソン。アウリーノは1Rのダウンもあってか手を出しにくそうに戦い、左パンチは空を切る。5R、オーソドックスにチェンジするアウリーノだが、特に効果無し。7Rにハプニング。バッティングでアウリーノがダメージ。そのまま試合終了。「負傷判定」ではなく「TKO」。どうやら「アウリーノの戦意喪失」ということらしい。ネルソンが不完全な勝利。ただ、力強いジャブ、ストレート。かつては「パンチのないトーマス・ハーンズ」といった試合ぶりだったが、この頃は「力強いハーンズ」といったイメージ。「文句無しの世界王者」になった印象。アウリーノは左パンチに強さがあったが、ネルソンの長いジャブ、ディフェンスに勢いを吸収されてしまった。その後のアウリーノ。再起して連勝後、ファン・カルロス・ゴメスのWBC世界クルーザー級王座に挑戦したが、TKO負け。欧州クルーザー級王座を獲得して連続防衛。WBCインター王座(ライトヘビー級)も獲得。しかし、三度目の世界挑戦は無し。ヨーロッパの実力者にとどまった。) 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿