2025年4月10日木曜日

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBO世界クルーザー級王者。世界王者になる前の試合。ルー・ジェント戦、アーサー・ウェザース戦、マルクス・ボット戦を紹介します。


ジョニー・ネルソン(イギリス)

身長189cm:スイッチヒッター(両構え)


ジョニー・ネルソン 4R TKO ルー・ジェント

(英国クルーザー級タイトル戦、1990年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

4R:左フックでジェントがダウン

(感想:ネルソンがタイトル防衛。イングランド・シェフィールド出身の黒人ネルソン。背が高く、リーチは206cmもある。ニックネームは「The Entertainer(エンターテイナー)」(観客を楽しませる男?)。アマチュアでは活躍できず。プロ入り後、三連敗。その後、敗北しながらも勝利が増え(後に世界挑戦するクロフォード・アシュレーに判定勝ち)、決定戦で英国クルーザー級王座を獲得。防衛にも成功して初の世界挑戦。WBC世界クルーザー級王者カルロス・デ・レオン相手に盛り上がらない試合をやって引き分け(共に大いに株を下げた)。そしてジェントと英国王座の二度目の防衛戦。これまで16勝(11KO)5敗1分で、23歳。16勝(7KO)5敗1分の挑戦者ジェント(24歳)はロンドン出身の白人。グレン・マクローリーの英国&英連邦王座に挑戦したときはTKO負け。ローカル王座を獲得してネルソンに挑戦。ロンドンのベスナル・グリーンでの一戦。相手から距離を取って左のガードを下げた構えから左ジャブを伸ばすネルソン(これが基本形。トーマス・ハーンズ風のボクシングで、キャリアを通じて変わらなかった)。ワンツー、左フックからの右ストレート、左フックカウンター。器用さがある。ジェントは前に出るがジャブが少ないため、右ストレート、左フックをかわされる。4R、右ストレートからの左フック(斜め下からのパンチ)でジェントがダウン。ダメージ深いと見て、レフェリーは直ちに試合を止めた。ネルソンが素晴らしい勝ち方。ハーンズのような強打者ではないが、パンチにキレ。このパンチをデ・レオン戦で発揮できなかったのが惜しい。ジェントはゴツい身体とパンチだったがジャブを使わない攻めで、当たらず。その後のジェント。何と身体を絞ってスーパーミドル級へ。WBCのインター王座(スーパーミドル級)獲得。ナイジェル・ベンのWBC王座に挑戦したが、TKO負けだった。)


ジョニー・ネルソン 2R TKO アーサー・ウェザース

(クルーザー級戦、1990年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでウェザースがダウン

2R:連打でウェザースがダウン

(感想:ジェント戦の次の試合はノンタイトル戦。ウェザース(28歳)はケンタッキー州ルイビル出身の黒人サウスポー(モハメド・アリと同郷)。アマチュアではイベンダー・ホリフィールドにKO負けしたことがあるとか。プロ入り後はこれまで15勝(13KO)4敗1分。デビューから中堅相手にまずまずだったが、WBA北米クルーザー級王座戦でTKO負け。ネルソン戦はその再起戦となる。英国ケンジントンでの一戦(レフェリーはラリー・オコーネル)。左右の構えは違うが、共にガードを下げた構えでジャブ。しかしながらウェザースは攻めるときのバランスに問題。ネルソンが連打で早くも優勢の中、左フックでウェザースがダウン。立ったが、ネルソンの奔放な攻め(サウスポーにスイッチしたり)に対応できない。2R、ロープ際での連打でウェザースがダウン。今度も立ったが、レフェリーに止められた。ネルソンが当てるテクニックで楽勝。ウェザースは攻めるときにつんのめったりするなどの欠点。パンチも迫力の無い打ち方で、パワーが乗っていなかった。その後、ウェザースは多くの敗北。カール・トンプソン(WBCインター・クルーザー級王座戦)、ヘビー級のジェレミー・ウィリアムス、ハシム・ラクマンらにKO負け。ウィリアムス戦は何と「10秒」でのKO負けだった。)


ジョニー・ネルソン 12R TKO マルクス・ボット

(欧州クルーザー級王座決定戦、1990年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左ショートカウンターでボットがダウン

12R:右ストレートでボットがダウン

(感想:ネルソンがタイトル獲得。好調のネルソンが敵地に乗り込んで重要な試合。ボット(28歳)はドイツ・プフォルツハイム出身。1984年のロサンゼルス、1988年のソウル・オリンピックに出場(メダルは獲得ならず)。プロではドイツ王座(ヘビー級)を獲得するなどこれまで10連勝(7KO)。ドイツ・カールスルーエでの一戦。足で距離を取るネルソン、強引に接近するボット、の展開。ネルソンがジャブ、右ストレート、左フックでカウンター、回転の速いフック連打。右ストレートが特に効果的。ボットは左フックに強さが感じられるが、攻めが強引でクリンチ・ホールドされてしまう。2R、左ショートがカウンターで入ってボットがダウン。4R、ネルソンが速い手打ち連打。ボットは左右フックでボディ連打。5R、右カウンターでボットがピンチ。チャンスのネルソンだが、ホールドで減点。その後もタフなボットは前に出るが、ネルソンが右カウンター&連打で優勢。11R終わり頃、右ストレートでボットがピンチ。12R、ボットが左目付近のキズをドクターチェック。再開できたが、右ストレートを連続で浴びてダウン。キズもあり、レフェリーにストップされた。ネルソンが力強い勝ち方。パンチにキレとパワーがあった。ボットはジャブが少な目で強引。相手の奔放な攻めに翻弄された。その後もボットはドイツで試合。1993年にWBO王座(クルーザー級)を獲得したが、初防衛に失敗。ラストファイトはフランスでTKO負け。プロではそれが唯一の海外試合となった。)

 

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