2025年4月10日木曜日

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBO世界クルーザー級王者。WBO王座防衛戦。アダム・ワット戦、ジョージ・アリアス戦、エズラ・セラーズ戦を紹介します。


ジョニー・ネルソン(イギリス)

身長189cm:スイッチヒッター(両構え)


ジョニー・ネルソン 5R TKO アダム・ワット

(WBO世界クルーザー級タイトル戦、2000年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:右フックで2度、ワットがダウン

(感想:ネルソンがタイトル防衛。このところ力強い王者ネルソンが6度目の防衛戦。挑戦者ワットはオーストラリア・シドニーの白人。身長は193cmで、ネルソンより高い。東洋太平洋王座、英連邦王座といった地域王座を獲得して、この初の世界挑戦。勢いがある状態でどんな試合を見せるか? 英国ドンカスターでの一戦。ガードを上げて攻めの姿勢のワット。右パンチ、左フック。ネルソンは長いジャブを使い、攻められるとバックステップで退避。共にパンチの振りは大きめ。1Rに右カウンターをヒットさせるなどワットは右パンチに力を入れるが、ディフェンスされる。ネルソンはジャブ&ディフェンスで受け身の軽いボクシング。5R、右フックでワットが片ヒザをキャンバスに着くダウン。立ったが、今度は左フックからの右フックで二度目。ぶっ倒れたワットを見てレフェリーは直ちに試合ストップ。ワットは試合終了後もしばらく立てないほどのダメージを負った。ネルソンが快勝。KOで勝てるようなパワフルなボクシングには見えなかったが、一気に隙を突いて倒した。フィニッシュの右フックは何とも言えない斜め下から突き刺すようなもの。ワットは頑張って攻めていたが、そのパンチに意表を突かれてしまった。その後のワット。再起戦を南アフリカで行い、KO負け(WBU王座戦)。それが最後の試合となった。)


ジョニー・ネルソン 12R 判定 ジョージ・アリアス

(WBO世界クルーザー級タイトル戦、2001年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ネルソンがタイトル防衛。7度目の防衛戦。挑戦者アリアスはブラジル・サンパウロ出身。父がボクサーだった縁で17歳でボクシングを始める。アマチュア、キックボクシングも経験。プロではこれまで28勝(18KO)3敗。WBOラティノ王座(クルーザー級)、ブラジル王座(クルーザー級、ヘビー級)、南米王座(クルーザー級)を獲得。このところブラジル王座(ヘビー級)を連続防衛中。ただ、直前の試合はマルセロ・ファビアン・ドミンゲスにアルゼンチンで判定負け。ロンドンのベスナル・グリーンでの一戦(レフェリーはウィリアム・コナーズ)。ガードを上げて前進するアリアス。ネルソンは足で距離を取ってジャブ、連打(相手が攻めるタイプの場合はこのパターンが多い)。連打で攻めるアリアスだが、かわされたりで不発。ネルソンはこの試合ではパンチが軽め。アリアスは相手の連打をブロックし、前進。ネルソンがジャブでポイントを取っている印象のまま12R。試合残り時間わずかのところでアリアスのグローブのテープがはがれ、中断。しっかりとテープを巻いて試合再開。しばらくして12R終了。判定は大差の3-0。ネルソンが軽いアウトボクシングで勝利。WBO王者になった頃は力強かったネルソンだが、この試合では迫力のないパンチ。昔に戻ってしまったような印象。ただ、パンチのキレはあった。アリアスは頑張ったが、勢いをクリンチ、ジャブ、連打などで吸収されてしまった。その後のアリアス。再起戦でブラジル王座(ヘビー級)を改めて獲得。しかし、ファブリス・ティオーゾらに敗北し、世界王者にはなれず。「ブラジルの英雄」としてキャリアを全うした。)


ジョニー・ネルソン 8R KO エズラ・セラーズ

(WBO世界クルーザー級タイトル戦、2002年)

「英国のヒットマン」ジョニー・ネルソン③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

4R:左フックでネルソンがダウン

8R:右ストレートでセラーズがダウン

(感想:ネルソンがタイトル防衛。アリアス戦後、マルセロ・ドミンゲス相手に判定で8度目の防衛に成功したネルソン。アレキサンドル・ワシリーエフ(ロシア)を判定で下してWBUヘビー級王座獲得。これまで41勝(22KO)12敗1分、35歳。セラーズとWBO王座の9度目の防衛戦。挑戦者セラーズ(33歳)はフロリダ州の黒人サウスポーで、24勝(22KO)4敗。デビュー戦の相手は後のWBA世界ヘビー級王者ブルース・セルドンで、2RでTKO負け。中堅どころを相手に連勝後、元「KOマシーン」アレックス・スチュワートに3RでTKO負け。カール・トンプソン(元WBO世界クルーザー級王者。ネルソンにとっては「先輩」にあたる)をTKOで下してIBO王座獲得。その次の試合でネルソンに挑戦。デンマーク・コペンハーゲンでの一戦。右ジャブで前に出るセラーズ。左ストレートが武器のようだが、動きのスピード感に欠ける。ネルソンは例によって足のスタンスを広く取ってジャブ、ワンツー、左フックなどでカウンター狙い。4Rにハプニング。左フックでネルソンがダウン。しかし、ダメージはさほどなさそう。5R、互いに警戒して動きが「ピタッ」と止まったり、ネルソンが単発ながら左フック、右ストレートを当てたり。6Rにもハプニング。ネルソンがプロレスばりにセラーズを担ぎ上げる。7R、右フックを食ってネルソンがピンチ。8R、鋭い右ストレートでセラーズがダウン。目のあたりに当たったらしく、セラーズはダメージ。立ったが、カウントアウトされた。ネルソンが長いパンチで勝利。パワーは落ちたが、パンチにはキレ。セラーズは動きに乏しいボクシング。そのため狙い打ちされた。その後のセラーズ。IBF世界クルーザー級王座決定戦でTKO負けしてメジャー団体の世界王者にはなれず。ラストファイトは2008年(KO負け)。2013年、心臓の不調で死去(45歳)。フロリダ州のボクシング殿堂入り。)

 

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