WBC世界クルーザー級王者。マルセロ・ファビアン・ドミンゲス戦(再戦)、ピエトロ・アウリノ戦ほかを紹介します。
ファン・カルロス・ゴメス(キューバ)
身長192cm:サウスポー
①ファン・カルロス・ゴメス 12R 判定 マルセロ・ファビアン・ドミンゲス
(WBC世界クルーザー級タイトル戦、1999年)
(感想:ゴメスがタイトル防衛。ゴメス(25歳)はキューバ・ハバナ出身の黒人。ニックネームは「Pantera Negra」(英語で言うところの「Black Panther(ブラックパンサー)」)。アマチュアで好成績。プロでの主戦場はドイツ。デビュー以来、連戦連勝でWBCインター王座を獲得、防衛。ドミンゲス(アルゼンチン)を判定で破り、世界王座獲得。3度の防衛に成功し、ドミンゲスと再戦。ドミンゲス(29歳)はゴメスに敗れた後、中堅相手に四連勝。ドイツ・リューベックでの一戦(ゴメスの防衛戦は結果的に全てドイツで行われた。レフェリーはマーティ・ジェンキン)。開始から攻めるドミンゲス。左を使って右ストレート、接近してフック連打、ボディ打ち。ゴメスは典型的なサウスポー。距離を取って右ジャブ、左ストレート(左ストレートからの右ジャブといったテクニックも使用)。接近戦にも応じてフック(斜め下からのフックが特に効果的)、ボディ打ちを出すが、また距離を取って長く打ち合わない。ディフェンス&連打のゴメス。ドミンゲスは何とか打ち合いに持ち込もうとするが、ブロックされる。7R、ドミンゲスの左フックがヒット。ゴメスは連打で反撃。共に力強さがあるが、終盤は疲れ。動きが落ちたが、ゴメスが当てるテクニックで優勢。11R、ゴメスがラビットパンチで減点。最後、ゴメスは足を使って流すような動きで12R終了。判定は大差の3-0(喜ぶ観客。ゴメスのボクシングはドイツ人好みなのかもしれないが、キューバ人が勝つところを見てドイツ人は嬉しいのだろうか?)。ゴメスがテクニックで勝利。打ち合いにも応じ、王者らしいパワーも見せた。ドミンゲスはタフだが、ワンパターンに見えた。その後、ドミンゲスはジョニー・ネルソンのWBO世界クルーザー級王座に挑戦して判定負け。エンゾ・マカリネリとWBO世界クルーザー級暫定王座を争ってTKO負け。南米ヘビー級王座などを獲得する活躍はあったが、世界王座に返り咲くことはできなかった。)
②ファン・カルロス・ゴメス 6R TKO ピエトロ・アウリノ
(WBC世界クルーザー級タイトル戦、2001年)
(ダウンシーン)
3R:左フックでアウリノがダウン
5R:左ボディ、右ボディで2度、アウリノがダウン
6R:右ボディでアウリノがダウン
(感想:ゴメスがタイトル防衛。イマム・メイフィールド、ホルヘ・カストロらをKOし、防衛を重ねるゴメス。ノンタイトル戦でアルフレド・コールをTKOし、次の試合は10度目の防衛戦。これまで33戦全勝(28KO)、28歳。WBC15位の挑戦者アウリノ(24歳)はイタリアのトッレ・アンヌンツィアータ出身の白人サウスポー。ニックネームは「The Killer」で、21勝(9KO)1敗。デビューから連勝でWBU王座、イタリア王座(いずれもクルーザー級)獲得。ジョニー・ネルソンにTKO負けでWBO世界クルーザー級王座奪取ならず。その後、連勝でゴメスに挑戦。ドイツ・リューベックでの一戦。共にサウスポーで、似た構え。連打で攻めるゴメス。アウリノは応戦するが、単発の右フック、左ストレート。二人にはパワーの差。3R、左フックでアウリノがダウン。ボディが効いたアウリノは5Rに左ボディ、右ボディで二度のダウン。6R、右ボディでダウンしたアウリノは立ったが、レフェリーストップ。ゴメスが積極的な攻めで勝利。アウリノは押され気味のまま負けてしまった。その後のアウリノ。欧州王座(クルーザー級)、WBCインター王座(ライトヘビー級)を獲得。好調だったが、マルコ・フックとの欧州連合王座戦(クルーザー級)でTKO負け。それが最後のタイトル戦となった。)
その後のゴメス
ヘビー級転向のため世界王座を返上。アウリノ戦後も連勝だったが、ヤンキ・ディアスにTKOで初黒星。ピークを過ぎたオリバー・マッコール、アディルソン・ロドリゲスらに勝利。2009年、WBC世界ヘビー級王者ビタリ・クリチコ(ウクライナ)に挑戦したが、TKO負けで二階級制覇ならず。再起。WBAのインター王座(ヘビー級)を獲得するなど連勝。
③ファン・カルロス・ゴメス 8R 判定 オスカン・セチンカヤ
(ヘビー級戦、2010年)
(感想:セチンカヤはトルコ・エルジンジャン出身。ゴメスと同様、ドイツが主戦場。ドイツのインター王座(ヘビー級)に挑戦して判定負け。このところ二連続KO勝ち。ドイツのハッタースハイム・アム・マインでの一戦。丸っこい顔と身体になったゴメス。動きのスピードは落ちたが、右ジャブ、左ストレート、フックにはそれなりにスピード。しかし、ヘビー級のトップには通用しない軽いボクシングで、左右フックは手打ち気味。ゴメスと同様にスピードが無いセチンカヤはどうやらサウスポーが苦手らしく、受け身の姿勢。たまに左ジャブ、右ストレート、左フックで反撃するが、単発で当たらない。ゴメスが手数(ジャブ連打からの左ストレート、左右フック連打)で優勢のまま8R終了。判定は3-0。まるでスパーリングのような意味のない試合。ゴメスは勝って喜んでいた。試合ができれば満足なのだろう。その後の二人。セチンカヤはマイナー王座、ローカル王座戦に多く出場したが、敗北多し。クルーザー級のローカル王座を何とか獲得できた。ゴメスはその後も戦い続けたが、二度目の世界ヘビー級王座への挑戦は無し。クルーザー級では強かったが、ヘビーとクルーザーは別世界だ。)
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