世界クルーザー級王者。フアン・カルロス・ビロリア戦、アントニオ・フェルナンド・カルダス・ジュニア戦ほかを紹介します。
ジャン=マルク・モルメク(フランス)
身長181cm:オーソドックス(右構え)
①ジャン=マルク・モルメク 10R TKO フアン・カルロス・ビロリア
(WBAインターコンチネンタル・ライトヘビー級タイトル戦、2001年)
(ダウンシーン)
10R:右ストレートでビロリアがダウン
(感想:モルメクがタイトル初防衛。好調のモルメク。WBAのインター王座(L・ヘビー級)を獲得し、初防衛戦。これまで21勝(14KO)2敗。挑戦者ビロリアはコロンビア・モンテリア出身で18勝(13KO)4敗2分。コロンビア王座(ミドル級)を獲得後、主戦場をアメリカに。エリック・ルーカスに敗れてWBCインター王座(スーパーミドル級)獲得ならず。マルクス・バイエルに敗れてIBFインターコンティネンタル王座(スーパーミドル級)獲得ならず。WBCの地域王座戦(L・ヘビー級)に敗れて以来、連敗中。パリでの一戦。前進してワンツーのモルメク。左フックを狙うが、動きが鈍いように見える。ビロリアはパンチのキレは無いが、タフネスとフック連打で積極的に攻めようとする。やはり動きにキレが無いモルメク。ビロリアの前進に受け身になるシーンが目立つ。手数のビロリア、強打&ブロックのモルメク。10R、右ストレートでビロリアがダウン。立ったが、再び右を浴びてレフェリーストップ。モルメクがパワーで勝利。しかし、かなりモタついた。筋肉が付きすぎると動きのシャープさが無くなるのだろう(イベンダー・ホリフィールドのように)。ビロリアはパンチがスロー。ディフェンスされた。その後もビロリアはリングに上がり続けたが、勝ち星無しでキャリア終了。)
②ジャン=マルク・モルメク 3R TKO アントニオ・フェルナンド・カルダス・ジュニア
(クルーザー級戦、2001年)
(ダウンシーン)
2R:連打でカルダスがスタンディングダウン
3R:右ストレートでカルダスがダウン
(感想:WBAインターコンチネンタル王座を返上したモルメク。カルダスはブラジル人。ブラジル王座(クルーザー級)を獲得、防衛するなどこのところ連勝中であるが、これまでの試合は全て地元で、負けは全てKOによるもの。パリでの一戦。共にガードを上げてジャブ。カルダスはワンツーからの左フックなどを出すがパンチのキレはそこそこで、打ち終わった後に隙がある。モルメクはパワフルなコンビネーション(左フックからの右ストレート)、アッパー気味の左右フック。左ボディ打ちが効果的。2R、連打されてカルダスがスタンディングカウントを聞く。3R、カルダスをロープ際に追い込んで攻めるモルメク。背後からの右ストレートでカルダスがダウン。立ったが、レフェリーストップ。最後はラビットパンチのようになったが、モルメクが「反則負け」ではなくTKO勝ち。地元での試合でよかった、といったところ。ただ、試合内容はモルメクが正確な強打で優勢。しかし、以前のようなキレが無くなったのが惜しい。カルダスはディフェンスに問題。これが最後の試合に。)
③ジャン=マルク・モルメク 2R TKO ビンソン・デュラハム
(クルーザー級戦、2001年)
(ダウンシーン)
2R:連打でデュラハムがスタンディングダウン
(感想:中堅相手に連勝のモルメク。デュラハムはイリノイ州シカゴの黒人。これまで19勝(4KO)21敗2分。ジェームス・トニーに判定負け、イリノイ州王座(ライトヘビー級)獲得、NABO王座(ライトヘビー級)はTKO負けで獲得ならず、モンテル・グリフィンに判定負け。負けが多い中堅どころではあるが、このところ二連勝(イリノイ州王座(クルーザー級)獲得、初防衛に成功)。フランス・マルセイユの屋外リングでの一戦。共にゴツい体格。デュラハムは左のガードを下げた構えからジャブ、ワンツー。集中力に欠けるようで、打っては間が空く。モルメクは強さを取り戻した印象。ブロックしながら右フックからの左ボディ打ちなどボディをパワフルに攻める。2Rにハプニング。接近戦の中、バッティングでデュラハムが負傷。バッティングを主張するデュラハムだが、相手に背を向けたことでスタンディングカウントを取られる。レフェリーのその処置に対してデュラハムは「やってられるか」といった態度。「戦意喪失」と見なされたらしく、TKO負け。モルメクが妙な勝ち方。ただ、実力では明らかに上だった。デュラハムは冷静さと集中力に欠けていた。負けが多いのはそういうところが原因なのだろう。その後、デュラハムは多くの試合を行ったが、マイケル・ナンに判定負けするなど多くの敗北。そのタフネスが認められたか、2020年にイリノイ州ボクシング殿堂入り。)
その後のモルメク
バージル・ヒルを破ってWBA世界クルーザー級王座獲得。三度の防衛後、WBC王座も獲得して王座統一。しかし、次の試合でIBF王者オニール・ベルと統一戦を行い、KO負け。ベルとの再戦に勝利して王座奪回。しかし、デビッド・ヘイにTKO負けで無冠に。ヘビー級で再起。二連続判定勝ちでWBAインター王座(ヘビー級)に挑戦。
④ジャン=マルク・モルメク 12R 判定 ティムール・イブラギモフ
(WBAインターナショナル・ヘビー級王座決定戦、2010年)
(感想:モルメクがタイトル獲得。イブラギモフはウズベキスタン出身。1996年のアトランタ・オリンピックに出場(メダルは獲得ならず)。ロシアでプロデビュー。以来、アメリカのリングにも上がるなど連勝。WBCの地域王座を獲得し、連続防衛。ところが防衛戦に敗れ、初黒星。続くWBC米大陸王座戦にも敗れて二連敗。そこから連勝。IBAインターコンティネンタル王座獲得。古豪オリバー・マッコールを破ってNABA王座も獲得。パリでの一戦。大柄(身長192cm)なイブラギモフ。中間距離からジャブ連打。接近戦ではワンツー、ショートフック。細かく手数を出すタイプだが、右ストレートからの左フック、右フックからの左フックに迫力。ただ、打ち合いは避けたいらしく、クリンチを使用。モルメクはダッキングしながら前へ。右ストレート、フックを振るうが、クリンチされてパッとしない。中盤以降、イブラギモフはクリンチがさらに増えていく(スタミナ切れらしい)。10Rにはクリンチしすぎてホールドで減点。その後も攻めるがもう一つのモルメク、連打してはクリンチのイブラギモフ。12R終了。共に手を上げて自身の勝利をアピール。判定は2-1。モルメクの攻める姿勢が評価されたか。イブラギモフは残念。良いコンビネーションを持っていたが、疲れが目に見えて表れていた。その後の二人。イブラギモフは一勝一敗で引退。モルメク戦が最後のタイトル戦に。モルメクの次の試合はWBA・IBF・WBO世界ヘビー級王者ウラジミール・クリチコへの挑戦。大きなクリチコとの体格差にビビってしまったのか、ほとんど何もできずに4RでKO負け。それが最後の世界戦に。その後、二試合やって引退。クルーザー級でパワフルかつシャープなパンチを打っていた頃がベスト。世界王者になる前の方が魅力的な試合をしていたような印象も。)
0 件のコメント:
コメントを投稿