2025年4月20日日曜日

「オーストラリアの人気者」ジェフ・ハーディング「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界L・ヘビー級王者。トム・コリンズ戦、ネストール・ジョバニーニ戦(再戦)ほかを紹介します。


ジェフ・ハーディング(オーストラリア)

身長182cm:オーソドックス(右構え)


ジェフ・ハーディング 9R KO カルロス・アンタネス

(L・ヘビー級戦、1988年)

「オーストラリアの人気者」ジェフ・ハーディング「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

9R:左フックでアンタネスがダウン

(感想:オーストラリア期待のハーディングは端正な顔立ちで同門ジェフ・フェネックに並ぶ人気者(当時)。ニックネームは「ヒットマン」(アマチュア時代にそのハードパンチから付けられたようだ)。プロ入り後はオーストラリア王座、東洋太平洋王座(いずれもL・ヘビー級)を獲得し、これまで11連勝(10KO)、23歳。アンタネス(30歳)はブラジルの黒人。1980年のモスクワ・オリンピックにミドル級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではブラジル王座(ミドル級)を獲得するなどこれまで20連勝(13KO)。ただ、地元での試合が多い。オーストラリアのトゥイード・ヘッズでの一戦。正統派のハーディング。丹念にジャブを連打してワンツー、左右フックボディ打ち。アンタネスは距離を取りながらジャブ、フック。左フックをボディからアゴへコンビネーションするなどテクニックを持っているが、打った後に隙ができる欠点。接近戦。互いにフック。ハーディングはブロック&地道なジャブ攻撃、回転の速いボディ連打。アンタネスはアッパーも入れていこうとする。9R、右ストレートが効いたアンタネス。右フックからの左フックでダウン。これまで隙を突かれるような形で打たれてきたアンタネスは立てず、KO。ハーディングがジャブで勝利。ジャブで試合の主導権を取り、重いパンチで隙を突くスタイル。手数の多さ、ブロッキングに良さ。アンタネスは思い切りのいいフックを当てるシーンもあったが、相手のタフネスを崩すことはできなかった。その後のアンタネス。クリストフ・ティオーゾ、ジョン・ムガビ(元WBC世界J・ミドル級王者)に二連敗(ティオーゾはアンタネス戦の次の試合で白仁鉄をKOしてWBA世界スーパーミドル級王者に)。ブランク後、ブラジルで連勝だったが、大きな試合は無かった。)


ジェフ・ハーディング 3R TKO トム・コリンズ

(WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、1989年)

「オーストラリアの人気者」ジェフ・ハーディング「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:ワンツーでコリンズがダウン

(感想:ハーディングがタイトル初防衛。アンタネス戦後も連勝のハーディング。ベテランのデニス・アンドリュースを逆転KOで下してWBC世界L・ヘビー級王座奪取。そして初防衛戦。挑戦者コリンズはオランダ王国・キュラソー島出身の黒人。ニックネームは「The Bomb」(凄い爆発力の持ち主なのだろう)。国籍は英国で、主戦場も英国。1977年、デビュー。デニス・アンドリュースに連敗だったが、アンドリュースとの決定戦で英国L・ヘビー級王座獲得。しかし、英国王座を懸けてアンドリュースに連敗。英国王座奪回、欧州L・ヘビー級王座獲得・陥落。直前の試合は英国王座防衛戦で、2RでのTKO勝ち。オーストラリア・ブーンダルでの一戦(レフェリーはルー・フィリポ)。スタイルが完成しているハーディング。ジャブ連打で前進。コリンズはジャブ、フックで応戦。斜め下からの左フックに良さ。しかし、ワンツーで早くもダウン。ワンツー、ボディ打ちで攻めるハーディングだが、右を食う。2R、またしても右カウンターを食って足に来たハーディング。さらに左フックも食ったが、タフネスで打ち返す。2R終了後、コリンズが棄権。2Rに良いパンチを当てたにもかかわらず不可解なギブアップ。試合後のコメントによると、1Rのワンツーが効いたらしい。重量級らしい結末。ハーディングが強気の攻めで勝利。しかし、ブロックしているにもかかわらず打たれた。そのあたりが今後の課題。その後のコリンズ。欧州王座奪回。しかし、リーオンザー・バーバーとのWBO世界L・ヘビー級王座決定戦、ヘンリー・マスケ戦、ジョニー・ネルソンとのWBFクルーザー級王座戦に敗北。ヨーロッパの実力者にとどまった。)


ジェフ・ハーディング 11R TKO ネストール・ジョバニーニ

(WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、1990年)

「オーストラリアの人気者」ジェフ・ハーディング「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:左フックでジョバニーニがダウン

10R:左フックでジョバニーニがダウン

11R:左フックでジョバニーニがダウン

(感想:ハーディングがタイトル防衛。二度目の防衛戦。挑戦者ジョバニーニはアルゼンチン・サンタフェ出身。アルゼンチン王座、南米王座(L・ヘビー級)獲得。イタリアでWBCインター王座(L・ヘビー級)獲得、防衛。ハーディングに判定負け。再起戦に勝利して、この初の世界挑戦。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはジョー・コルテス)。似た戦い方の二人。ジャブ、ワンツーを基本とする。ジョバニーニがコンビネーション(ワンツーからの左フック、ほか)、パワーを込めた右フック。ハーディングはディフェンスが向上したか、相手の攻撃をブロックして左フックを当てる。3R、右ストレートからの左フックでジョバニーニがダウン。その後も手数を出すジョバニーニだが、ブロックされたうえにボディ打ち、左フックで追い込まれる。10R、左フックでジョバニーニがダウン。11Rにも強烈な左フックでダウン。痛烈なダウンにレフェリーは直ちに試合を止めた。ハーディングがブロック&左フックで勝利。ジョバニーニは力強さがあったが、攻撃の時に隙があったようだ。その後、ジョバニーニはアルゼンチン王座戦(L・ヘビー級、クルーザー級)で敗北したが、マルクス・ボットからWBO王座(クルーザー級)奪取。ボット相手に一度だけ防衛成功。)


ジェフ・ハーディング 3R TKO ステイシー・マクスワイン

(L・ヘビー級戦、1990年)

「オーストラリアの人気者」ジェフ・ハーディング「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:左フックでマクスワインがダウン

(感想:三度目の防衛戦でアンドリュースにKOされて王座を奪回されてしまったハーディング(初黒星)。再起戦。マクスワインはサウスカロライナ州の黒人で、勝ったり負けたりのベテラン。ただ、負けてはいるがスンブ・カランベイ、マイケル・オラジデ、ウィルフレド・ベニテス、ロビー・シムズ、アイラン・バークレー、ジェームス・キンチェンといった実力者と戦ってきた。シドニーでの一戦。相手を警戒しながらジャブ、右ストレート、ショート連打のマクスワイン。攻められると引けた感じに。ハーディングはKO負けの影響があるのか、慎重にジャブ連打。3R、大きなフックを振るうマクスワインだが、ラウンド終了直前の左フックでゆっくりうつぶせにダウン。立ち上がりゴングに救われたが、レフェリーストップ。ハーディングがジャブ中心に攻め、最後は得意の左フックで勝利。パンチの重さに差があったようだ。その後の二人。マクスワインは数試合やって引退。ハーディングはアンドリュースとの三度目の対戦を制し、王座奪回。クリストフ・ティオーゾ、デビッド・ベダー相手に二度の防衛後、古豪マイク・マッカラムのテクニックにしてやられて王座陥落、引退。ニックネームは「ヒットマン」だったが、テクニシャン・タイプだったハーディング。よりテクニックがあるマッカラムには敵わなかった。) 

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