WBO世界クルーザー級王者。ヤウェ・デービス戦、アレクセイ・イーリン戦、フレデリック・セラット戦ほかを紹介します。「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」
カール・トンプソン(イギリス)
身長183cm:オーソドックス(右構え)
①ヤウェ・デービス 2R TKO カール・トンプソン
(ライトヘビー級戦、1991年)
(ダウンシーン)
2R:右フック、右ストレートで2度、トンプソンがダウン
(感想:マンチェスター出身の黒人トンプソン。ニックネームは「The Cat(猫)」(どのへんがネコなのだろう? 後ろから見ると同じ英国のフランク・ブルーノに似ているゴツい身体だが)。ジャブ、ストレートを基本とする正統派。デビューから連勝だったが、英国のローカル王座戦でクロフォード・アシュレイにTKO負け、初黒星。再起戦のフランコ・ワンヤマ戦は判定負け。試合間隔が長くなってしまったが、カムバックして判定勝ち。そしてデービス戦。デービスはウガンダ・カンパラ出身の黒人サウスポー。主戦場はイタリア。1981年、デビュー。勝ったり負けたりだったが、タオウヒック・バルボーリ(後のWBA世界クルーザー級王者)に勝利するなど戦績が向上。「懐かしの選手」ケイブマン・リーに勝利したり、ガイ・ウォータースに判定負けしたり(英連邦ライトヘビー級王座戦)。このところ二連勝でトンプソン戦。モナコでの一戦。リズミカルにジャブ、ワンツーのトンプソン。右ストレートに良さ。デービスは右のガードを下げた構えからジャブ、接近して左ストレート、右フック。互いにストレートを狙う。2R、長い左ストレートで攻めるデービス。右フックでトンプソンがダウン。立ったが、今度は右ストレートで二度目のダウン。立ったが、レフェリーに止められた。デービスが長いパンチ、サウスポーのテクニックで勝利。トンプソンは動きは良かったが、サウスポー必殺の右フックをマトモに食ってしまった。その後のデービス。ヘンリー・マスケ、フランク・テートに連敗、欧州王座(ライトヘビー級)獲得ならず。ところが開眼。イタリア王座、次いでWBCインター王座(いずれもライトヘビー級)獲得、連続防衛。欧州王座(ライトヘビー級)も獲得。しかし、WBC王座挑戦者決定戦に敗れ、世界挑戦はできず。)
その後のトンプソン
決定戦で英国王座、WBCインター王座、欧州王座(全てクルーザー級)を獲得。しかし、ラルフ・ロッシジャーニとのWBO世界クルーザー級王座決定戦にTKO負け。連勝後、ロッシジャーニとWBO王座を懸けてドイツで再戦。2-1の判定でついに世界王座獲得。クリス・ユーバンクと防衛戦を二度行い、いずれも勝利(ダウンを食うピンチはあったが)。ジョニー・ネルソンとの「英国黒人対決」にTKO負けで王座陥落。再起戦は英国王座決定戦。これにKO勝ちして王座奪回。アライン・シモンと欧州王座決定戦。
②カール・トンプソン 6R TKO アライン・シモン
(欧州クルーザー級王座決定戦、2000年)
(感想:トンプソンがタイトル奪回。シモンはフランス人(コンピエーニュ出身)。フランス王座(ライトヘビー級)を獲得したが、ジャン=マルク・モルメクに2-1の判定負けで王座陥落。以後は連勝で、トンプソンと勝負。英国バーンズリーでの一戦。スキンヘッドのシモン。ダッキングしながら前進。トンプソンはジャブ連打、右ストレート。接近戦。ブロックしながらフックでの打ち合い。一進一退。当てるテクニックのトンプソン、フックがパワフルなシモン。5R終了間際、強烈な左フックでシモンがピンチ。6R、攻めるトンプソン。シモンが左眉のキズのドクターチェック。ドクターストップで試合終了。ブロックしながらの打撃戦は当てる巧さでトンプソンに軍配。シモンも悪くはなかったが、5Rの左フックが効いた。その後のシモン。フランス王座(クルーザー級)を獲得したが、WBCインター王座、欧州連合王座、WBF王座(全てクルーザー級)は獲得ならず。フランスの実力者にとどまった。)
③カール・トンプソン 2R TKO アレクセイ・イーリン
(欧州クルーザー級タイトル戦、2000年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでイーリンがダウン
(感想:トンプソンがタイトル初防衛。これまで26勝(19KO)5敗のトンプソン。シモン戦の次の試合は欧州王座の初防衛戦。25勝(23KO)3敗の挑戦者イーリンはロシア人(ペルミ出身)。デビューから連勝でマッシミリアノ・デュランとの決定戦に勝利してWBCインター王座(クルーザー級)獲得。しかし、アキム・タフェとの欧州王座決定戦にTKO負け、初黒星。連勝後、ファン・カルロス・ゴメスのWBC世界クルーザー級王座に挑戦してTKO負け。欧州王座を獲得したが、防衛ならず。王座奪回を目指してトンプソンに挑戦。英国バーンズリーでの一戦。似たタイプの二人。速いジャブ、右ストレート、インサイドからのフック。2R、強烈な左フックが効いたイーリン。連打からの右ストレートでダウン。立ったが、ストップされた。トンプソンがシモン戦と同じように左フックをキッカケに勝利。イーリンは良い選手だが、マトモに打たれた。コレが最後の試合に。)
④カール・トンプソン 10R 判定 フレデリック・セラット
(クルーザー級戦、2005年)
(感想:イーリン戦の次の試合でユーライア・グラントを下してIBO王座(クルーザー級)を獲得したトンプソン。しかし、初防衛戦でエズラ・セラーズにKO負けして引退(2001年)。2003年にカムバック。IBO王座を奪回し、デビッド・ヘイをTKOして防衛成功(ヘイは後に世界クルーザー級タイトルを統一し、WBA世界ヘビー級王者に)。それから一年以上経ってセラット戦。これまで23勝(9KO)4敗のセラットはフランス・グラース出身の白人。フランス王座(クルーザー級)を獲得しているが、欧州王座はルディガー・マイに敗れて獲得ならず。直前の試合はWBCインター王座決定戦で、2-0の敗北。コチラもそれから約一年後の試合。英国シェフィールドでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。似た体格、戦い方の二人。共にゴツいパンチでジャブ、ワンツー、接近戦でフック。トンプソンは動きとパンチにかつてのようなキレはないが、当てるテクニックは健在。攻めの姿勢のセラットは右ストレートからの左ボディ打ちなど。打撃戦が続く。攻めるセラット、応戦するトンプソン。セラットは右フック、トンプソンは右アッパーが印象的。10R終了。レフェリーはトンプソンの手を上げた(PTSによる判定)。トンプソンが押され気味ながらもインサイドからのパンチなどで勝利。パワフルなフックで押し気味だったセラットは負けにされて悔しかったのでは? 共にこれで引退。)
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