2025年4月16日水曜日

「L・ヘビー級の有望株」アンドリュー・メイナード「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

ソウル・オリンピック金メダリスト。好調だった頃の試合。カール・ウィリアムス戦、マイク・デビート戦ほかを紹介します。


アンドリュー・メイナード(アメリカ)

身長185cm:オーソドックス(右構え)


アンドリュー・メイナード 6R TKO カール・ウィリアムス

(クルーザー級戦、1989年)

「L・ヘビー級の有望株」アンドリュー・メイナード「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:左フックでウィリアムスがダウン

(感想:メイナードはコロラド州出身の黒人。少年時代はバスケットボール。陸軍に入隊し、ボクシングを始める。1988年のソウル・オリンピックでL・ヘビー級金メダル。プロ入り後はシュガー・レイ・レナードのボクシングチームに加入。長いリーチから繰り出す左ジャブからの右ストレートが武器。これまで7連勝(7KO)。ウィリアムスは世界ランカーの「The Truth」カール・ウィリアムスとは別人(ややこしい)。ウィスコンシン州の黒人で、ニックネームは「Little Truth」。勝ったり負けたりで、7勝(6KO)5敗。後の世界王者マイケル・モーラーには1Rで敗れている。アトランチックシティ「Showboat Hotel & Casino」での一戦(トップランク・ボクシング。リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはルディ・バトル)。ジャブで前に出るメイナード。迫力の右フック、接近して右ストレートからの左ボディ。短いアフロヘアーで後ろ髪を少し伸ばしているウィリアムス(いかにも黒人、といったセンス)は右ストレート、ショートフックで応戦(ヘビー級のカール・ウィリアムスとは戦い方が違う)。攻めるメイナード。ウィリアムスは反撃する粘り強さはあるが、受け身の試合ぶり。5R終わり頃、右ストレートからの左フックでウィリアムスがダウン。立ったが足に来ており、このラウンド終了後に棄権。メイナードが積極的な姿勢で勝利。ただ、左フックを食うシーンも。その後、ウィリアムスは多くの試合。リーオンザー・バーバー(後のWBO王者)、バスター・マシス・ジュニアに敗北するなど一定の実力以上の相手には敵わなかった。)


アンドリュー・メイナード 8R 判定 マイク・デビート

(L・ヘビー級戦、1989年)

「L・ヘビー級の有望株」アンドリュー・メイナード「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ウィリアムス戦の次の試合(メイナード、25歳)。デビート(28歳)はオハイオ州の白人。これまで11勝(8KO)3敗2分。オハイオ州王座(L・ヘビー級)を獲得しているが、ボビー・チェズにはTKO負け。直前の試合はケンパー・モートンとドロー。ラスベガス「ミラージュ」での一戦(この日のメインは「シュガー・レイ・レナード vs. ロベルト・デュラン」の第三戦。メイナードの試合が始まった時点ではリングサイドはガラガラ。ベガスのリングサイドに座る上客は金メダリストには興味ないらしい。リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはトビー・ギブソン)。手数のメイナード。左のガードを下げた構えからテンポ良くジャブ、ワンツー、接近してボディ連打。大きく振るう右フックに迫力。デビートはディフェスしながら右ストレート、左フックを出すが攻めのリズムが悪く、単発。ただ、右ストレートからの左フックにキレとパワー。手数のメイナード、単発のデビート、といった感じで8R終了(この時点ではリングサイド席に大勢の観客)。判定は3-0。メイナードが手数で勝利。ただ、多くのパンチを出したにもかかわらずダウンを奪えず。しかし、右ストレートなどパンチ自体は良かった。デビートがタフだったということか。その後のデビート。アルフレド・コール、アナクレト・ワンバ、オリバー・マッコールらを相手に負けに負けて引退。)


アンドリュー・メイナード 3R TKO ケンパー・モートン

(L・ヘビー級戦、1990年)

「L・ヘビー級の有望株」アンドリュー・メイナード「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:デビート戦の次の試合。モートンはオハイオ出身の白人。プロデビューは1982年で、これまで13勝(8KO)3敗2分。プロ三戦目でチャールズ・ウィリアムス、四戦目でリッキー・パーキーに敗北(ウィリアムスとパーキーは後、世界王者に)。オハイオ州王座(L・ヘビー級)はドローで獲得できなかったが、このところ負け無し。ラスベガス「Bally's Las Vegas」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはカルロス・パディーリャ)。正統派のモートン。ダッキングしながらジャブ、ワンツー。メイナードは好調。足で相手から距離を取ってジャブ、右カウンター、接近戦ではインサイドからのアッパー。時折、左フックを当てる。モートンは打たれても食い下がるが、出血。3R、モートンの左マブタのキズで試合終了。メイナードが自在な動きで勝利。モートンはタフで打ち返してはいたが、メイナードを仕留めるような攻撃力に欠けていた印象。その後のモートン。オハイオ州王座(L・ヘビー級)獲得。全米王座(L・ヘビー級)は獲得ならず。トーマス・ハーンズに2RでKO負け。その再起戦に判定勝ちして引退。ローカルな実力者としてキャリアを終えた。)


その後のメイナード 

モートン戦の次の試合は空位の北米王座(L・ヘビー級)決定戦。これに2-0の勝利で、王座獲得。初防衛にも成功。しかし、元IBF王者ボビー・チェズに敗北、初黒星。北米王座連続防衛。元WBC世界L・ヘビー級王者マシュー・サァド・ムハマドにTKO勝ち。フランク・テートにTKO負けで北米王座陥落。初の世界戦はクルーザー級。アナクレト・ワンバのWBC世界クルーザー級王座に挑戦して判定負け(1992年)。以後はサッパリ。北米王座戦(L・ヘビー級)、全米王座戦(クルーザー級)に敗れたり、トーマス・ハーンズに1Rで倒されたり。振りが大きいパンチで攻める豪快さはあったが、打たれ弱さがあったのが残念。プロはタフな世界だ。

 

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