世界L・ヘビー級王者。世界王者になる前の試合&世界戦。ボイヤー・チュー戦、モンテル・グリフィン戦ほかを紹介します。
アントニオ・ターバー(アメリカ)
身長188cm:サウスポー
①アントニオ・ターバー 7R TKO ボイヤー・チュー
(ライトヘビー級戦、1998年)
(ダウンシーン)
3R:右フックでチューがダウン
5R:左ストレートでチューがダウン
7R:左ボディでチューがダウン
(感想:フロリダ州オーランド出身の黒人ターバー。ニックネームは「Magic Man」(元世界ウェルター級王者マーロン・スターリングと同じ。「マジシャンのように器用」という意味か?)。アマチュアで活躍。1995 年、ベルリンでの世界ボクシング選手権でライトヘビー級で優勝。1996年、アトランタ・オリンピックではライトヘビー級で銅メダル。プロ入り後はこれまで7連勝(6KO)。チューはメリーランド州ボルチモア出身の黒人で、5勝7敗(KO勝ちは無し)。このところ四連敗中。アトランチックシティ「コンベンションホール」での一戦。黒いコスチュームにシルクハット&サングラスで入場のターバー(「黒」がイメージカラーのようだ)。共にスキンヘッド。左右の構えの違いはあるが、共にジャブを基本とする。ガードを上げて前進するターバー。チューは細かくジャブを連打したり、振りが大きめのフックで攻めたり。しかし、攻められるとブロック&クリンチ。攻防が分離した戦い方(攻めるときは連打、守るときは防戦一方)。3R、左ボディからの右フックでチューがダウン。その後も左フックからの右ストレートなど時折良いパンチを見せるチューだが、ディフェンスされて劣勢。5R、コーナー付近での左ストレートでチューがダウン。倒されても右ストレートや連打で粘るチュー。ターバーはテクニシャンタイプであるため、粘るチューを仕留められない。7R、左ボディでチューがダウン。さすがに参ったらしく、ギブアップ。ターバーがテクニックで勝利。もう少しパワーが欲しいところ。チューは粘るタイプだが受け身の試合ぶりで、攻撃の正確さに欠ける打ち方が多かった。その後も勝ったり負けたりでキャリア終了。)
②アントニオ・ターバー 5R TKO ホセ・ルイス・リベラ
(ライトヘビー級戦、1998年)
(感想:連勝のターバー。リベラはオハイオ州クリーブランド出身で、これまで15勝(12KO)1敗。オハイオ州王座、IBA王座(いずれもL・ヘビー級)を獲得している。ペンシルベニア州フィラデルフィアでの一戦(リングアナはエド・デリアン)。気合いが入っているリベラ。1R開始から右ストレート、フック連打で攻撃。ターバーは冷静にディフェンスしながら右ジャブ、左ストレートなどで応戦。攻めるリベラだが、相手の長身と懐の深さにパンチを当てることができない。ターバーが当てる巧さでポイントを取っている印象。4R終わり頃、リベラが右マブタの負傷をドクターチェック。このラウンド終了後、キズにより試合ストップ。ターバーがテクニックで勝利。リベラは攻めるタイプでよく頑張ったが、ディフェンスされた。その後のリベラ。再起三連勝だったが、モンテル・グリフィン戦、IBAクルーザー級王座戦、北米クルーザー級王座戦などに連敗してキャリア終了。)
③アントニオ・ターバー 12R 判定 モンテル・グリフィン
(WBC・IBF世界ライトヘビー級王座決定戦、2003年)
(ダウンシーン)
1R:連打でグリフィンがダウン
12R:左ストレートでグリフィンがダウン
(感想:ターバーがタイトル獲得。リベラ戦後も連勝だったターバーだが、IBF世界ライトヘビー級挑戦者決定戦でエリック・ハーディングに判定負け、初黒星。レジー・ジョンソンに勝利し、北米ライトヘビー級王座、全米ライトヘビー級王座獲得。ハーディングとの再戦にTKO勝ち。その次の試合は待望の世界挑戦(ロイ・ジョーンズ・ジュニアがヘビー級進出のため返上した王座の決定戦)。これまで20勝(17KO)1敗。グリフィンはイリノイ州シカゴ出身の黒人で、44勝(19KO)3敗。1992年のバルセロナ・オリンピックにライトヘビー級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではジェームズ・トニーに勝利、北米王座、WBU王座(いずれもライトヘビー級)獲得。ロイ・ジョーンズに反則勝ちでWBC王座獲得(1997年)。しかし、再戦は何と1RでのKO負けで王座陥落。その後はエリック・ハーディングに判定負け(北米ライトヘビー級王座戦)、ダリウス・ミハエルゾウスキーにTKO負け(WBO世界ライトヘビー級王座戦)。北米王座、WBC米大陸王座(いずれもライトヘビー級)を獲得してターバーと対決。コネチカット州マシャンタケットでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。1R、半身に構えて右ジャブ、左ストレートのターバー。ディフェンスしながら慎重に隙を狙う。グリフィンはサウスポーが苦手なのか雑な攻め。右ストレートを空振りしてバランスを崩したところを連打されてダウン。その後も力んで攻撃が単発に終わるグリフィン。4R、ターバーが左ボディ打ち。グリフィンも左フック、左ボディ打ち。7R、両マブタをカットしたグリフィンがキズのドクターチェック。12R終わり頃、左ストレートがキレイに入ってグリフィンがダウン。足に来ていたが、最終ラウンド終了のゴング。判定は3-0。ターバーが相手を警戒しながらサウスポーのテクニックで勝利。グリフィンは期待外れ。右ストレート、左フックにはそれなりに力強いものがあったが、ディフェンスされた。その後の二人。グリフィンは全米ライトヘビー級王座を獲得したが、グレン・ジョンソンに敗れて世界挑戦ならず。ターバーはビッグマッチ路線。ロイ・ジョーンズと世界王座を懸けて対戦したり、IBO王座戦でバーナード・ホプキンスに判定負けしたり。その後はIBF王座を奪回したが初防衛戦で敗北したり、試合間隔が長くなっていったり、と安定感に欠けるキャリアに。相手が強いと緊張感のある試合をやるが、変に余裕があるとモタついた試合になってしまうこともあった。リング外では金銭問題、ドーピング、家庭内暴力などのトラブルも。『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006年)では「無敵の世界ヘビー級チャンピオン、メイソン・ディクソン」を好演。)
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