2025年3月23日日曜日

「長身のWBO王者」ヘンリー・アキンワンデ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

ロンドンの黒人ヘビー級。スティーブ・ガーバー戦、ジミー・サンダー戦、ケニー・クレーブン戦ほかを紹介します。


ヘンリー・アキンワンデ(イギリス)

身長201cm:オーソドックス(右構え)


ヘンリー・アキンワンデ 3R TKO スティーブ・ガーバー

(ヘビー級戦、1992年)

「長身のWBO王者」ヘンリー・アキンワンデ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:右ストレートでガーバーがダウン

(感想:ロンドン生まれの黒人アキンワンデ。両親はナイジェリア人。子供の頃はナイジェリアで暮らし、イギリスでアマチュア選手に。オリンピック(1988年)にも出場したが、メダルは獲得ならず。プロデビュー後はこれまで中堅相手に17戦全勝(12KO)で、26歳。英国、フランス、ドイツで戦ってきた。ガーバーは英国ヨークシャー出身の黒人で、身長198cm。1985年、デビュー。勝ったり負けたり。レノックス・ルイスには1RでKO負け。アクセル・シュルツにもKO負け。直前の試合は1RでTKO負け。タイトル戦の経験は無し。英国マンチェスターでの一戦。共に速いジャブ。ガーバーはリズムを取りながら思い切りのいいボクシングで右ストレート、大振りの左右フック。アキンワンデは慎重にジャブを丹念に使い、長い右ストレート。ワンツーからの左フックに速さ。2R、右ストレートでガーバーがダウン。立ったガーバーに連打で畳み掛けるアキンワンデ。フック、アッパーに正確さと迫力。2R終了後、ガーバーは棄権。右目のカットが原因。アキンワンデが良い勝ち方。離れては長いストレート、接近してはフック、アッパー。ガーバーの荒っぽいフックを巧くかわした。ガーバーはその後も連敗するなど多くの負け。ただ、負けても負けてもリングに上がる根性は立派だ。)


ヘンリー・アキンワンデ 12R 判定 ジミー・サンダー

(英連邦ヘビー級王座決定戦、1993年)

「長身のWBO王者」ヘンリー・アキンワンデ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:アキンワンデがタイトル獲得。アクセル・シュルツ(ドイツ)との欧州ヘビー級王座決定戦で引き分けたアキンワンデ。その次の相手は強豪。サンダーはサモアの首都アピア出身。強打を振るうタイプ。オーストラリアでプロデビュー。敗北を克服しながら東洋太平洋王座、WBCインター王座、IBFの地域王座を獲得してきた。ロンドン東部ルイシャムでの一戦(レフェリーはジョン・コイル)。身長差がある二人だが、サンダーはガッチリした体格。そのためハンデのようなものは感じられない。マイク・タイソンなサンダー。突進してフックを打ち込む。アキンワンデは基本的に距離を取って戦いたいらしく、ジャブ&クリンチでサンダーの粗い攻めを阻止する意向。接近戦。アキンワンデがワンツー、フック。サンダーの振りの大きいフックをディフェンス。サンダーは時折ジャブ、フックを当てるなど攻める意欲は凄いが、攻め方が単調な印象も。12R終了。レフェリーはアキンワンデの手を上げた(PTSによる判定)。アキンワンデがジャブ、ディフェンス、クリンチで勝利。パンチ自体は悪くはなかったが、タフなサンダーを仕留めるほどのパワーは無かった。サンダーはフックが大きすぎ、正確さに欠けた。その後のサンダー。WBF、IBO王座を獲得したり、名のある相手(トニー・タッブス、トレバー・バービック、ジョン・ルイス、クリス・バードら)と戦ったり。マイナー団体の王者にとどまったが、身体の強さがあった。)


その後のアキンワンデ

アクセル・シュルツを決定戦で下して欧州王座獲得。元IBF王者トニー・タッカーに勝利。ジェレミー・ウィリアムスとの王座決定戦でWBO王座獲得(1996年)。二度の防衛後、王座を返上。レノックス・ルイス(英国)のWBC王座に挑戦して失格負け(パワーで負けた)。オーリン・ノリスと「WBA世界ヘビー級王座挑戦権」を懸けて、勝利。しかし、世界戦のチャンスが来ず、中堅どころを相手に連勝中。 


ヘンリー・アキンワンデ 1R TKO ケニー・クレーブン

(WBC FECARBOXヘビー級王座決定戦、2000年)

「長身のWBO王者」ヘンリー・アキンワンデ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:連打でクレーブンがダウン

(感想:アキンワンデがタイトル獲得。34歳になったアキンワンデがWBCの地域王座戦。クレーブン(29歳)はアラスカ州アンカレジ出身の白人で、これまで16勝(14KO)6敗。ニックネームは「The Raven(大ガラス)」。身長187cm。ローカル試合が多く、あのバタービーンの「四回戦世界王座」に挑戦して2RでTKO負け。それ以来、四連勝でアキンワンデ戦。フロリダ州タラハシーでの一戦。体格差。ジャブ、長い右ストレートのアキンワンデは安定したボクシング。クレーブンは接近してストレート、左フックを狙うが、右ストレートが効いてしまう。連打で畳み掛けるアキンワンデ。ダウンしたクレーブンはダメージ深く、レフェリーに止められた。アキンワンデが接近戦での正確なフックで勝利。これだけ強いのに世界戦のチャンスが与えられないのは不当な気がするが、強いからチャンスを得られないのかも。クレーブンは攻撃の正確さに欠けていた。その後もクレーブンはローカル試合。ラストファイトはローカル王座戦(クルーザー級)でTKO勝利。パワーはあった。)


ヘンリー・アキンワンデ 2R TKO ティプトン・ウォーカー

(ヘビー級戦、2005年)

「長身のWBO王者」ヘンリー・アキンワンデ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フック、ワンツーで2度、ウォーカーがダウン

(感想:クレーブン戦後のアキンワンデ。WBCやIBFのインター王座を獲得したり、オリバー・マッコールにKO負けしたり。「IBFインター王者」としてウォーカーとノンタイトル戦。ウォーカーはミシガン州の黒人。イリノイ州王座戦(クルーザー級)で判定負け、ローカル王座(クルーザー級)獲得、IBA王座、NABA王座(いずれもクルーザー級)獲得失敗。直前の試合はマルコ・フック(後、WBO世界クルーザー級王者に)に2RでTKO負け。ヘビー級でも試合をしてきたが、基本的にクルーザー級の選手。アトランチックシティでの一戦(ウラジミール・クリチコ、ミゲル・コットらが出場した興行。アキンワンデ戦の時点では会場は閑散としていた)。太ってゴツくなったアキンワンデ。動きのスピードは落ちたが、ジャブ、ストレートに速さと重さ。ウォーカーはガードを上げてディフェンスを重視するあまり、手数が少ない。ワンツー、左ボディ打ちで攻めるアキンワンデ。2R、右ストレートが効いたウォーカー。左フックで反撃するが、左フックでダウン(手首が当たったようなパンチ。ダウンではないと思うが、レフェリーから見えにくい位置だった)。再開後、強烈なワンツー。ダウンしたウォーカーは立ったが、フラついてレフェリーストップ。アキンワンデが格下に圧勝。動きは鈍ったが、パワーは凄いものがあった。ウォーカーは単なる「いけにえ」だった印象。その後の二人。ウォーカーは勝ち星無し。アキンワンデは引き続きIBFのインター王座を防衛したが、世界挑戦ならず。「WBO王座返上」でキャリアが大きく変わってしまった。)

 

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