2025年3月22日土曜日

「一撃で世界王者に」オリバー・マッコール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界ヘビー級王者。デビッド・ジャコ戦、マーカス・マッキンタイアー戦、シナン・シャミル・サム戦を紹介します。


オリバー・マッコール(アメリカ)

身長188cm:オーソドックス(右構え)


オリバー・マッコール 10R 判定 デビッド・ジャコ

(ヘビー級戦、1988年)

「一撃で世界王者に」オリバー・マッコール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右ボディでジャコがダウン

3R:右フック、連打で2度、ジャコがダウン

(感想:シカゴ出身の黒人、マッコール。ニックネームは「The Atomic Bull」(「原子の牛」?)。アマチュアではシカゴの大会で優勝したことも。1985年にプロ入り。プロ二戦目で判定負け。連勝後、マイク・ハンター(後、全米王座獲得)に判定負けで二敗目。ジャコ戦はその再起戦。これまで11勝(7KO)2敗。ジャコはオハイオ州トレド出身の白人。身長198cm。コチラもデビューから連勝だったが、カール・ウィリアムスに2RでTKO負け。後の世界ランカー、ドノバン・ラドックに勝利。しかし、トニー・タッカー、マイク・タイソン、ジェームス・ダグラスに敗北。このところ負けが込み、直前の試合はTKO負けで22勝(18KO)12敗。バージニア州バージニア・ビーチでの一戦(レフェリーはアル・ローゼンバーグ)。実に荒いボクシングのマッコール。ジャブはそこそこに野球のオーバースローのような大きなフックで相手を襲う。ボクサータイプのジャコはジャブ、ワンツーなどで応戦するが、早くも右ボディでダウン。3Rには二度のダウン。早い回のKOになりそう、と思ったら、マッコールの雑な攻めにジャコはクリンチで対応。パワフルだが雑に攻めるマッコール、時折反撃するジャコ、のパターンで10R終了。判定は3-0。「オリバー・マッコール」という選手の特徴がよく出ていた試合。ケン・ノートンのようなパワーはあるが、それを効果的に使えない。それはキャリアを通じて変わらなかった。ジャコはパワー不足。長身の選手は非力であることが多い(ような気がする)。その後もジャコはジョージ・フォアマン、トミー・モリソンらトップクラスに敗北。)


その後のマッコール

実力者と苦闘。後の世界王者ジェームス・ダグラス、オーリン・ノリスに敗北。ところが後の世界王者ブルース・セルドンを仕留めるサプライズ。ジェシー・ファーガソンにも勝利。トニー・タッカーには敗れたが(北米王座戦)、フランチェスコ・ダミアニらに連勝。そしてレノックス・ルイスのWBC王座に挑戦。一発でKO勝ち、新王者に。ラリー・ホームズ相手に初防衛。フランク・ブルーノに敗れて王座陥落。ルイスとの再戦は不可解な負け方(情緒不安定。麻薬がらみらしい)。その後は中堅どころとの試合が続く。


オリバー・マッコール 3R KO マーカス・マッキンタイアー

(ヘビー級戦、2000年)

「一撃で世界王者に」オリバー・マッコール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:左フックでマッキンタイアーがダウン

(感想:35歳になったマッコール。これまで35勝(26KO)7敗。マッキンタイアー(29歳)はインディアナ州インディアナポリス出身の黒人で、18勝(8KO)2敗。ローカル王座、IBA王座を獲得しているが、ウラジミール・クリチコには3RでKO負け(WBCインター王座決定戦)。このところ4回戦と6回戦で三連勝中。ミシシッピ州トゥーニカでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。気難しそうな表情でマッコールがリングイン。昔と比べると丸っこい身体になった。共にゴツい身体の二人。しかし、マッキンタイアーは残念な男。開始早々、クリンチ連発。そして左のガードを下げた構えからジャブを出し、意表を突くかのようにフック。トリッキーなスタイルで、攻撃の正確さに欠ける。マッコールは大きなフック、接近してアッパー気味のフック。攻めるマッコール、応戦するマッキンタイアー。3R、左フックが「ゴチン!」といった感じでヒットしてマッキンタイアーがダウン。右目を痛めたらしく、10カウント。マッコールがパワーで勝利。ただ、スピード・パンチのキレなど世界戦ができるような動きではなかった。マッキンタイアーはその後、中堅どころを相手に連勝でキャリア終了。)


オリバー・マッコール 12R 判定 シナン・シャミル・サム

(WBCインター・ヘビー級タイトル戦、2007年)

「一撃で世界王者に」オリバー・マッコール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マッコールがタイトル獲得。マッキンタイアー戦後のマッコール。ヘンリー・アキンワンデに勝利したり、ブランクを作りながら中堅どころと試合したり。WBCの地域王座獲得も。これまで50勝(36KO)8敗で、42歳。王者サム(32歳)はドイツ出身で、国籍はトルコ。アマチュアで実績。ドイツを主戦場に連勝、欧州王座獲得。しかし、初のアメリカでの試合で判定負け、初黒星(ファン・カルロス・ゴメス戦。ゴメスはWBC世界クルーザ級王座を連続防衛し、ヘビー級に転向した頃だった)。続く欧州王座戦にも敗れて連敗。WBCインター王座獲得。一度は王座を失ったが、奪回して防衛中。27勝(15KO)3敗。トルコ・アンカラでの一戦。ズングリした身体のサム(あまり強そうに見えない)。背中とトランクスに「GAZI」の宣伝文字(会社名?)。左のガードを下げた構えからジャブ、そしてストレート、接近してフック連打。マッコールはスッカリ豪快さが消えた。ジャブを丹念に打ってストレート、ショートフック。共に器用なタイプではない。3R、マッコールが背後から攻撃。6R、ジャブを食うサムが左目の腫れをドクターチェック。その後もジャブ、ストレートを打ってはクリンチ、をひたすら繰り返す両者。レフェリーはブレイクに大忙し。マッコールがディフェンス&ジャブでやや優勢なまま12R終了。判定は3-0。マッコールがジャブで凡戦を制して王座獲得。共にもう引退した方がいい、と思うような動きだった。その後の二人。サムは負け無し。WBCの地域王座、欧州王座を獲得したが、世界挑戦は一度も無かった。ラストファイトは2008年。そして2015年、肝不全と腎不全で死去(41歳)。マッコールはその後も多くの試合。勝ったり負けたりだったが、IBFのインターコンティネンタル王座を獲得する活躍も。ただ、世界戦はルイスとの再戦が最後となった。)

 

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