キャリア末期の試合。エリ・ディクソン戦、チャールス・シュフォード戦、パエア・ウルフグラム戦を紹介します。
ジミー・サンダー(ニュージーランド)
身長188cm:オーソドックス(右構え)
①ジミー・サンダー 3R TKO エリ・ディクソン
(ヘビー級戦、1999年)
(感想:強打者サンダー。中堅相手に連勝していたが、後のWBA王者ジョン・ルイスに2-1で判定負け(北米王座決定戦)。後のWBO・IBF王者クリス・バードにはTKO負け。元WBC・WBA王者ティム・ウィザスプーンに3-0で勝利。それから一年半後、ディクソン戦。ディクソンはオハイオ州クリーブランド出身の黒人。元WBA王者ジェームス・スミスに3RでTKO負け。ペレ・リード(WBOインターコンティネンタル王座戦)、アンドリュー・ゴロタ、ウラジミール・クリチコにもKO負け。二線級に勝ってきたが、実力者には及ばない男。カリフォルニア州コーチェラでの一戦。相撲取りみたいな身体のディクソン(腰回りが太い)。足を使ってジャブ、接近してくるサンダーに大振りの左右フック(パンチにスピードはあるが、正確さに欠ける印象)。クリンチで相手の攻めを阻止。サンダーは得意の右フック、コンビネーション(左フックからの右ストレート)。2R開始にハプニング。前に出るディクソンだが、そのままバランスを崩してキャンバスにヒザを着く。再開後、サンダーの攻めを何とかクリンチでしのぐ。このラウンド終了後にディクソンは棄権。コケた時に右ヒザを痛めたらしい。サンダーが久しぶりのリングで妙な勝ち方。ディクソンは太りすぎ。ボクシングを相撲と間違えてもらっては困る。クリンチしている姿はまさに「相撲」だった。これがディクソンの事実上のラストファイト。後、カムバックしたが、連敗だった。)
②チャールズ・シャフォード 9R TKO ジミー・サンダー
(ヘビー級戦、2000年)
(感想:ディクソン戦の次の試合でモンテ・バレットにTKO負けのサンダー(34歳)。これまで34勝(27KO)10敗。シャフォードと再起戦。シャフォード(27歳)はバージニア州マーティンズビル出身の黒人(後、2001年の映画『ALI アリ』にジョージ・フォアマン役で出演)で、14勝(7KO)1敗。デビューから連勝だったが、判定で初黒星。再起戦に判定勝ちしてサンダー戦。まだ王座戦の経験は無い。メリーランド州ボルチモアでの一戦。ジャブ、ストレート、踏み込んで左フックを打ち込むサンダー。接近戦では左右フック連打。シャフォードは慎重に相手を警戒するタイプ。ジャブ、クリンチ。動きのスピードに欠ける。いつものように攻めるサンダーだが、シャフォードはディフェンスしながら左ボディ打ち、右ストレートからの左フックなど正確なショートパンチ。6R、ジャブが右目に当たってシャフォードがピンチ。8R、シャフォードがショートパンチ。どうやらシャフォードは攻めるときは一気に攻めるタイプらしい。次々にパンチを当て、ストレート、フックで激しくサンダーを攻撃。このラウンド終了後、サンダーは棄権。シャフォードが意外な強さで勝利。動きのスピードはないが、ストレート、左フックを正確に当てる器用さ(筋のいいボクシング)。サンダーは勢いで勝てる相手には強いが、ディフェンスの巧さや当てる巧さのある相手には弱いところがある。その後のシャフォード。次の試合で後のWBO王者レイモン・ブリュースターに3-0で勝利。しかし、ウラジミール・クリチコのWBO王座への挑戦はTKO負け。その後はマイナー王座を獲得できたが、ローレンス・クレイ・ベイに敗れるなど負けが込むようになっていった。)
③パエア・ウルフグラム 8R TKO ジミー・サンダー
(ヘビー級戦、2001年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでウルフグラムがダウン
3R:左フックでサンダーがダウン
(感想:シャフォード戦の再起戦でTKO勝ちしたサンダーがオリンピアンと勝負。ウルフグラムはトンガ出身。身長194cmで、リーチ202cm。アマチュアで実績があり、1996年アトランタ・オリンピックではスーパーヘビー級で銀メダル。プロでの主戦場はアメリカ。デビューから連勝。判定で初黒星。ホルヘ・ルイス・ゴンザレス(キューバ)に勝利。ウラジミール・クリチコとのWBCインター王座決定戦では1RでKO負け。IBOインターコンティネンタル王座戦にも敗北。サンダー戦はその再起戦となる。ラスベガスでの一戦(レフェリーはジェイ・ネイディ)。1R、共にゴツい身体で左右フックを振るう。右フックがカウンター気味に入ってウルフグラムがダウン。動きのスピードはそれほどでもないウルフグラム。サンダーはパンチをヒットさせ、2Rには左フックを当てる。3R、ロープ際での左フックでサンダーがダウン。4Rにはウルフグラムの右ストレートがヒットし、バッティングでサンダーは出血するハンデ。その後もゴツゴツした打撃戦。左フックを当てるサンダーだが、タフネス&パワーでウルフグラムが上か? 体力で押されるサンダー。7R終了後に棄権。ウルフグラムがゴツいパワーで勝利。カムバック後のジョージ・フォアマンのような重厚なボクシングだった。サンダーはプロで戦いすぎた。元々試合運びはそれほど上手くないうえに打たれて失速した。その後の二人。ウルフグラムは次の試合でコーリー・サンダース(アメリカの黒人)に敗れて引退。サンダーは二連敗して引退。マイナー団体の世界王者になったが、メジャー団体の世界タイトル戦は無かったサンダー。引退後はトラブル。金銭的に苦労してホームレス状態になったり、モメごとを起こしたり。そして2020年に54歳で死去。脳の手術が失敗に終わったらしい。)
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