2025年3月17日月曜日

「世界を目指したヘビー級⑮」ルー・サバリース「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

長身アップライト。ナサニエル・フィッチ戦、デビッド・イゾンリティ戦、ランス・ウィテカー戦を紹介します。


ルー・サバリース(アメリカ)

身長195cm:オーソドックス(右構え)


ルー・サバリース 10R 判定 ナサニエル・フィッチ

(ヘビー級戦、1993年)

「世界を目指したヘビー級⑮」ルー・サバリース「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ニューヨーク・ブロンクス出身のサバリースは大型有望株。アマチュアではアレックス・スチュワートを下したことも。1989年、プロデビュー。ややアップライトなスタイルで、これまで25連勝(21KO)。ただし、相手は中堅どころばかり。フィッチはルイジアナ州バストロップ出身の黒人。コチラもアマチュアで活躍し、スーパーヘビー級で全米王者になったことも。プロでは苦戦。10勝(6KO)4敗。元IBF世界クルーザー級王者リッキー・パーキーに勝利しているが、中堅どころに敗北。直前の試合はリーバイ・ビラップスに判定負け。ペンシルベニア州ブッシュキルでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。1R開始から積極的なフィッチ。ジャブ、ストレート、左右フック連打。やや斜め上からの右フック、正確な左フックが印象的。サバリースもジャブ、ストレート、左右フック連打を基本とするタイプであるが、相手の攻めに受け身の姿勢。3Rから怪しい感じに。クリンチを離さないフィッチにサバリースがヒザ蹴り(のように見えた)。そして互いに連打で打ち合う。その後、フィッチはスタミナ切れが濃くなり、攻めてはクリンチ。サバリースはディフェンス&連打。5R、サバリースがワンツーからの左フック。しかし、左フックを食ってピンチ。7R、サバリースがローブロー。8R、両者にレフェリーがラフ行為を警告。右目をカットしたサバリースはドクターチェック。10R、フィッチがサバリースを持ち上げて落下させる(プロレスばり)。そしてサバリースが反則で減点。10R終了。判定は3-0。両者の欠点が出た試合。サバリースはパンチ力に欠けるうえディフェンスに甘さ。相手の前進を止めることができず、ラフ行為。フィッチはパンチの打ち方に良さがあったが、スタミナに問題。攻めるリズムが良くなかった印象。その後、フィッチはジェレミー・ウィリアムス、ブルース・セルドンに連敗。ティム・ウィザスプーン、カーク・ジョンソン、クリス・バード、ジョン・ルイスといった実力者にも敗北し、プロでは活躍できず。)


その後のサバリース 

中堅相手に連勝。バスター・マシス・ジュニアとの全米王座決定戦にTKO勝ち、王座獲得。その次の試合でジョージ・フォアマンに判定負け、初黒星(WBUヘビー級王座戦、1997年)。デビッド・イゾンリティと再起戦。


デビッド・イゾンリティ 5R TKO ルー・サバリース

(ヘビー級戦、1997年)

「世界を目指したヘビー級⑮」ルー・サバリース「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:右フック、左フックで2度、サバリースがダウン

(感想:イゾンリティはナイジェリア出身の黒人。1992年のバルセロナ・オリンピックではヘビー級で銀メダル。フランスでプロデビュー。連勝だったが、アメリカで判定負け(初黒星)。その再起戦でデビッド・トゥアにTKO負け(WBCインター王座戦)。再起戦にKO勝ちして、サバリース戦。ニューヨークでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはアーサー・マーカンテ・ジュニア)。ジャブ、ストレート、接近してフック連打。同じような戦い方をする両者だが、パワーの違いが。ゴツい腕をしたイゾンリティは重そうなパンチ。キレはそれほどではないが、左フックからの右ストレートなどフックにパワーを感じる。サバリースは悲しい。手数を出すがパンチが軽いため、相手の攻めを止められない。ディフェンスしながらの接近戦が続く。5R、強烈な右フックでサバリースがダウン。立ったが(立たない方がよかった)、右フックからの左フックでロープ外に落ちるダウン。それと同時にレフェリーは試合を止めた。イゾンリティが快勝。コブシの頑丈さがあった。サバリースはパンチが軽いうえに打たれる欠点。アレコレやらずにディフェンスとジャブ、ワンツーに専念すればよいと思うが。その後のイゾンリティ。中堅どころには強かったが、マイケル・グラント、ジョー・メシに敗北。マイク・タイソン、ハシム・ラクマン、ウラジミール・クリチコとの対戦も予定されていたが、これらの試合は最終的にキャンセル。大きなチャンスに恵まれなかった。)


ルー・サバリース 10R 判定 ランス・ウィテカー

(ヘビー級戦、1999年)

「世界を目指したヘビー級⑮」ルー・サバリース「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:連打でサバリースがダウン

(感想:ピークを過ぎたジェームズ・ダグラスを1RでKOしてIBA王座を獲得したサバリース。これまで38勝(32KO)2敗で、33歳。次の相手ウィテカー(26歳)はカリフォルニア州グラナダヒルズ出身の黒人。大柄で身長203cm、リーチ213cm。アマチュアではスーパーヘビー級で全米王者に。プロデビューから18連勝(16KO)。直前の試合はアレックス・スチュワートにTKO勝ち。どんな「怪物」なのか? アトランチックシティ「コンベンション・センター」での一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー)。デカいウィテカーだが、アップライトのボクサータイプ。ジャブ、ワンツーは良いが、フックが手打ち気味(腕力勝負)。サバリースもアップライトだが、ディフェンスしながらボディを攻める。ウィテカーは距離を取って戦いたいらしく、攻められてクリンチしたり、手打ちフックを連発したり。6R、「このままでは負ける」と考えたか、これまで受け身だったウィテカーが激しく連打。そして連打でサバリースがダウン。その後、接近戦。ウィテカーはスタミナが続かずクリンチ。そのままの流れで10R終了。判定は2-1。サバリースがディフェンス&積極さで勝利。ウィテカーは期待外れ。腰が入っていない手打ちフックを乱打してスタミナを消耗。大柄な選手はボクサータイプであることが多いが、上半身を柔軟に使えない「固さ」があるのかも。その後の二人。ウィテカーは再起戦でWBC米大陸王座獲得。防衛にも成功したが、ジャミール・マックラインに判定負けで王座陥落。北米王座獲得。しかし、世界戦のチャンスは得られず、勝ったり負けたりに。サバリースはマイケル・グラント、マイク・タイソンに敗北。ベテランのティム・ウィザスプーンに勝利したが、カーク・ジョンソンに敗北。ラストファイトの相手はイベンダー・ホリフィールドで、判定負け。引退後は格闘技大会に出場したり、映画出演したり(伝説の世界ヘビー級王者マックス・ベアを演じた)。ボクサーとしては中堅どころでキャリア終了だったが、フォアマン、タイソンといったボクシング史に残る選手と対戦できた。)

 

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