2025年3月8日土曜日

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

円熟期の試合。アンソニー・ウェイド戦、ロッキー・ペペリ戦、デレク・ウィリアムス戦、ジョー・サベージ戦を紹介します。


バート・クーパー(アメリカ)

身長181cm:オーソドックス(右構え)


バート・クーパー 8R TKO アンソニー・ウェイド

(ヘビー級戦、1991年)

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:タフ男クーパー。クルーザー級からヘビー級に転向したが、上位陣(カール・ウィリアムス、ジョージ・フォアマン、レイ・マーサー、リディック・ボウ)に苦戦。ただ、中堅どころには強い。これまで24勝(21KO)7敗。ウェイドはインディアナ州の黒人で14勝(3KO)1敗3分。戦績はいいが「6回戦選手」。デビューして一年も経っておらず、経験ではクーパーに大きく劣る。また、KO数が少ないのも気になるところ。アトランチックシティでの一戦(レフェリーはアーサー・マーカンテ。TV解説席のブルース・セルドンは当時「アトランチックシティ超特急」と呼ばれた若手のホープで、後にWBA王者に)。相手を警戒して距離を取るウェイド。なかなか速いジャブ、パワーを感じるストレート、フック。クーパーもストレート、フック。共に良い動きで、パンチに勢い。ディフェンスではクーパーが上か? もみ合うような接近戦。互いにマイク・タイソン式「右ボディからの右アッパー」を使用。ウェイドは「ジャブ、ストレート、ジャブ」のテクニック。ところがウェイドがスタミナ切れ。打ってはクリンチ。6R、クーパーがローブローで減点。7R、右アッパーを決めたウェイドだが、全体的に押され気味。8R、打たれるウェイド。「クリンチ連発」を「戦意喪失」と見なされて、TKO負け。クーパーがスタミナとパワーで勝利。ウェイドは良いパンチを持っていたが、持続せず。ヘビー級はスタミナの消耗が激しい世界だが、3Rでスタミナ切れでは困る。その後のウェイド。中堅どころに勝利したり、ローカル王座を獲得したり。コーリー・サンダース、ドノバン・ラドックに敗北。トップどころには敵わなかった。)


バート・クーパー 8R TKO ロッキー・ペペリ

(ヘビー級戦、1992年)

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:右フック、連打で2度、ペペリがダウン

(感想:WBC11位のクーパー。ウェイド戦後、大きな試合。イベンダー・ホリフィールドのWBA・IBF世界ヘビー級王座に挑戦するチャンスを与えられ、ホリフィールドからダウンを奪う善戦(7RでTKO負け)。空位のWBO王座を懸けてマイケル・モーラーと歴史に残る激戦(5RでTKO負け)。敗れたが「クーパーは危険な男」というイメージを残した。再起戦で背が高いデビッド・ジャコに判定勝ち。そしてペペリ戦。ペペリはアイオワ州出身の白人で、いわゆる「ハンサム」。アマチュア時代にマイク・タイソンに敗れた経験。プロではこれまで16勝(14KO)4敗1分。中堅どころと試合をしてきており、タイトル戦の経験は無し。フロリダ州フォート・ローダデールでの一戦。ガードを上げてジャブ、ストレート、ショートフックのペペリ。正統派タイプで悪くはないが、スピード(パンチと動き)に欠ける。そのためガードをしているにもかかわらず打たれる。クーパーは以前と比較すると勢いは落ちたがパンチの伸び、ここぞというタイミングで打ち込むフックは健在。隙を突くパンチでクーパー優勢。ペペリは右ストレート、右アッパーからの左フックといった良いパンチを打っているが、ディフェンスされる。8R、連打からの右フックでペペリが間を置いてダウン。クーパーとしては絶好のKOチャンスだったが、マウスピースを落とすミス(ダウンの前に落としたか?)。連打で二度目のダウン。タフなペペリは今度も立ったが、クーパーの容赦ない連打でレフェリーストップ。クーパーが強打を正確に当てて勝利(ただ、マウスピースを落としたり、ペペリのグローブのテープが何度もはがれたりで試合に水を差す場面が目立った)。打たれたペペリは動きのキレに欠けた。その後もペペリはラリー・ホームズ、ジェシー・ファーガソン、アレクサンダー・ゾルキン(北米ヘビー級王座決定戦)、ジェームス・ダグラス(タイソンをKOした男。ペペリ戦の時点では遙かに全盛を過ぎていたが)に敗北。最後はカーク・ジョンソンに1RでTKO負けして引退。実力者には勝てなかったが、名のある選手と対戦できた。)


バート・クーパー 10R 判定 デレク・ウィリアムス

(ヘビー級戦、1993年)

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペペリ戦後、中国・北京で試合したクーパー。ピークをとっくに過ぎた元WBA王者マイク・ウィーバーに判定負け。再起戦でウィリアムスと対戦。ウィリアムスはロンドン出身の黒人で、これまで19勝(14KO)5敗。身長が196cmもある。ニックネームは「Sweet D」(素晴らしい動きをするのだろう)。英連邦王座獲得、マーク・ウィリスに敗北、欧州王座獲得失敗、強打者ジミー・サンダーにTKO勝利、レノックス・ルイスとのライバル戦にKO負け。ルイスに敗れた再起戦でクーパーと勝負。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはトニー・オーランド)。互いにジャブ。ウィリアムスはワンツー、フック連打。当てる巧さで勝負するボクサータイプ。クーパーはいつものように1Rから接近戦を仕掛け、フックを当てる巧さを披露。左ボディからの右ストレートといったコンビネーションも見事。しかし、身長差にてこずり、ボディ打ちで攻める。ボディが効いてきたのかウィリアムスはスタミナ切れの様相。元々スピード感に欠けているがさらにスピードが落ち、クリンチ。クーパー優勢のまま10R終了。判定は3-0。クーパーがボディ攻めで勝利。しかし、全盛を過ぎた印象。クルーザー級時代のような精力的な動きは最早見られない。ウィリアムスは期待外れ。ヘビー級にしては細かい打ち方で、スタミナ不足。接近戦でフック、アッパーを当てる巧さがあるだけにもったいない。その後、ウィリアムスはホセ・リバルタらに連敗。英国の実力者にとどまった。)


バート・クーパー 1R KO ジョー・サベージ

(ヘビー級戦、1994年)

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー③「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フック、連打で2度、サベージがダウン

(感想:ウィリアムス戦後のクーパー。コーリー・サンダース、ラリー・ドナルド(WBC米大陸ヘビー級王座戦)らに敗北。衰えていっている状況。サベージは英国の白人のようだが、記録に乏しい。カナダ・ナナイモでの一戦。思い切った打ち方のサベージ。ジャブ、右ストレートにパワーを込める。右ストレートを決めて攻めるサベージだがディフェンスに甘さがあり、ガチャガチャした真っ直ぐな攻め。フックで反撃するクーパー。左フックでサベージがダウン。立ったが今度はフック連打で二度目のダウン、KO。クーパーがよくわからない選手を粉砕。サベージはまるで古い時代の選手のような雑な動きの選手。隙だらけだった。) 

 

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