2025年3月8日土曜日

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

キャリア後半の試合。アレクサンダー・ゾルキン戦、サムソン・ポーア戦、リッチー・メリト戦、デレク・ジェファーソン戦を紹介します。


バート・クーパー(アメリカ)

身長181cm:オーソドックス(右構え)


アレクサンダー・ゾルキン 9R TKO バート・クーパー

(北米ヘビー級タイトル戦、1995年)

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ゾルキンがタイトル初防衛。世界挑戦の経験もあるクーパー。ジェレミー・ウィリアムスに反則負けするなどこのところ勝ったり負けたりで、33勝(28KO)14敗。KO率は高いが、敗北が増えていっている。ゾルキンはロシア・モスクワ出身のサウスポー。しかも身長196cm、リーチ208cmの大型。21勝(14KO)2敗。主戦場はアメリカで、カナダやバハマでも試合。トニー・タッブスに判定で初黒星。マイク・ハンターに敗れて全米王座獲得ならず。カール・ウィリアムスに勝利。決定戦でロッキー・ペペリ(クーパーにTKO負けの過去)を下して北米王者に。クーパー戦は初防衛戦。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。やや前屈みの姿勢からサウスポーらしい右ジャブ、ワンツー、右フックのゾルキン。基本的に相手との距離を保ち、接近戦ではフック、ボディ打ち。クーパーは相手がサウスポーということで右パンチを当てようと前進。1Rから右を当て、ゾルキンはクリンチで打ち合いを避けようとする。パワーのクーパー、カウンターなど「当てるテクニック」のゾルキン。互いにボディ打ち。9R、ついに決着。クーパーが左ストレートを食って後退したところでレフェリーストップ。「我慢比べ」のような内容だった試合。ゾルキンが細かいパンチを積み重ね、最後はサウスポー必殺の武器である左ストレートで勝利。クーパーはパワーがあったが、及ばず。しかし、彼らしい試合ぶりだった。その後のゾルキン。タッブスに判定で雪辱して北米王座防衛。しかし、ヘンリー・アキンワンデのWBO王座への挑戦はTKO負け。ブランクを作り、カムバック。中堅相手に負け無しだったが、タイトル戦は無かった。)


サムソン・ポーア 4R TKO バート・クーパー

(ヘビー級戦、1997年)

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

4R:右フックでクーパーがダウン、連打でスタンディングダウン

(感想:ゾルキン戦の次の試合で後の世界王者クリス・バードに判定負けしたクーパー。31歳になり、試合をするのはキツい状況。ポーア(24歳)はトンガ出身。アメリカ在住で、アマチュアではスーパーヘビー級で王者になったことも。プロではこれまで18勝(18KO)2敗。中堅どころに勝利してきたが、アンドリュー・ゴロタにTKO負け。タイトル戦の経験はまだ無い。ミシガン州オーバーンヒルズでの一戦。クーパーに体格で上回るポーア(サイドを刈った個性的な髪型。デビッド・トゥアのような雰囲気)。ジャブからの右ストレートに良さ。左フックからの右ストレートも使う。接近戦はクーパーがフックで優勢。ポーアはクリンチ。しかし、4R。右フックでクーパーがダウン。立ったが今度は連打を浴びて背を向けたところでスタンディングカウントを取られる。再開後、連打でレフェリーストップ。ポーアが得意の右パンチで勝利。4Rに一気に畳み掛けた。クーパーは打たれ弱さが(歴戦のダメージ)。このあたりで引退した方が良いと思うが、まだまだ現役続行。勝ったポーアだが、ディフェンスにやや甘さ。その後、ジェシー・ファーガソン、デビッド・ベダーに連敗。「中堅どころには強い強打者」でキャリアを終えた。)


バート・クーパー 1R KO リッチー・メリト

(WBFヘビー級王座決定戦、1997年)

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右ボディ、左フックで2度、メリトがダウン

(感想:クーパーがタイトル獲得。マイナー王座の決定戦。メリト(27歳)はニューヨークの白人で、ニックネームは「ブル」。身長183cmでガッチリした身体。ニューヨーク州王座を獲得するなどこれまで18連勝(18KO)。どんなスゴイ奴なのか? ニューヨークでの一戦。似た体格の二人。しかし、メリトには残念なところが。ジャブはまずまずだが、ストレート、フックの打ち方、ディフェンスに問題。そのため、攻められてクリンチ。クーパーの右フックがヒット。「ガクン」となったメリトは右ボディでダウン。立ったが(立たない方がよかったかも)、強烈な左フックで二度目のダウン、完全KO。クーパーが雑なファイターを始末。ピークを過ぎたとはいえ、基本ができていない選手にはまだまだ負けない。メリトはゴツい身体で、不器用さ。それでは上に行けない。その後、メリトは中堅相手に連続KO勝利。「ローカルスター」としてキャリアを全うした。)


デレク・ジェファーソン 2R TKO バート・クーパー

(ヘビー級戦、1999年)

「世界を目指したヘビー級⑧」バート・クーパー④「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フック、連打で2度、クーパーがダウン

(感想:メリト戦の次の試合で判定負けしたクーパー。リングから遠ざかり、カムバック戦。ジェファーソンはミシガン州の黒人で、ニックネームは「D-Train」。身長198cm、リーチは208cm。ボクシングを始めたのは25歳。元々はバスケットボールをやっていたが足を撃たれ、断念(弟も負傷し、半身不随に)。アマチュアではスーパーヘビー級で王者になったり、後にプロで活躍するローレンス・クレイ・ベイ、マイケル・グラントに勝利したり。プロではこれまで18勝(17KO)1分。直前の試合はバッティングでドロー。タイトル戦の経験はまだ無い。サウスカロライナ州マウントプレザントでの一戦。意外にコンディションが良いクーパー。得意のジャブ、ストレート、フックにパワーと勢い。ジェファーソンはジャブ、ボディ打ちなどで応戦するが、打たれてたじろぐ。2R、開始早々の左フックでクーパーがダウン。激しく打ち合う両者。連打でクーパーがダウン。それと同時にレフェリーは試合を止めた。ジェファーソンが意表を突く攻めで勝利。効いてしまったクーパーは相手の猛攻に飲み込まれた。ボクサーは年齢と共にタフネス・スタミナを失う。全盛を過ぎてまでリングに上がるのは危険。その後の二人。ジェファーソンは次の試合でオベド・サリバンを破ってNABA王座獲得。しかし、デビッド・イゾンリティ、オレグ・マスカエフに二連敗。ウラジミール・クリチコのWBO王座への挑戦は2RでTKO負け。中堅どころには強かったが、世界は獲れなかった。クーパーはその後もリングへ。勝ったり負けたりだったが、ペンシルベニア州王座獲得。2002年に引退。何と2010年にカムバック。2012年までリングへ。2019年、膵臓がんで死去。53歳だった。)

 

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