ペンシルベニアの黒人。ウィリー・デウィット戦、カール・ウィリアムス戦、トニー・フリランギ戦、ローレン・ロス戦を紹介します。
バート・クーパー(アメリカ)
身長181cm:オーソドックス(右構え)
①バート・クーパー 2R KO ウィリー・デウィット
(ヘビー級戦、1987年)
(ダウンシーン)
1R:右フック、右ストレートで2度、デウィットがダウン
2R:右フック、連打で2度、デウィットがダウン
(感想:北米クルーザー級王者クーパー(21歳)。これまで15勝(12KO)1敗。カナダでノンタイトル戦(87年、初試合)。デウィット(25歳、身長189cm)はカナダの白人で、15勝(11KO)1分。1984年、ロサンゼルス・オリンピックではヘンリー・ティルマンに敗れ、銀メダル。プロでは中堅を相手に無敗。カナダ王座(ヘビー級)を獲得、防衛している。カナダ・レジャイナでの一戦。身長差がある二人。クーパーはいつもと変わらず。ダッキングしながら前進して右ストレート、フック。デウィットは正統派。ジャブ、ワンツー。左のテクニックを使う。接近戦では互いにフック、ボディ打ち。しかしながら、両者には「パンチの質」に違いが。黒人特有の加速するパンチを打つクーパー。デウィットはディフェンスしているが、ジャブを食う。右フックでデウィットがダウン。立ったデウィットにクーパーは猛攻。デウィットのワンツーをブロックし、右ストレートで二度目のダウンを奪う。1Rはゴングに救われたデウィット。2R、右フック、恐ろしい連打で二度のダウンでKO。クーパーが凶暴な勝利。「ボクシングの恐ろしさ」を感じる結末。うつぶせに倒されたデウィットは鼻から激しく出血し、エラい目に遭った。その後のデウィット。地元でカナダ王座の防衛に専念。敗北はクーパー戦のみで引退。引退後は弁護士になってカネ持ちな暮らしをしているとか。)
②カール・ウィリアムス 8R TKO バート・クーパー
(全米ヘビー級王座決定戦、1987年)
(ダウンシーン)
1R:左フックカウンターでクーパーがダウン
(感想:ウィリアムスがタイトル獲得。クーパーがヘビー級に挑戦。ウィリアムス(26歳)はフロリダ州出身の黒人。ニックネームは「The Truth(本物の実力者)」。これまで17勝(13KO)2敗。IBF世界ヘビー級王者ラリー・ホームズに挑戦して判定負け。元WBA王者「ヘラクレス」マイク・ウィーバーに2RでKO負け。その再起戦でクーパーと決定戦。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーは元ヘビー級選手のランディ・ニューマン)。ボクサータイプのウィリアムス。足でリズムを取ってジャブ。クーパー(黒いトランクス。後ろ姿がマイク・タイソンにソックリ。ウィリアムスとしては「仮想タイソン」といったところか)はいつものように攻めるが、左フックをカウンターで食って早くもダウン。その後もウィリアムスは左のガードを下げた構えからテンポ良くジャブ、ワンツーからの左フック。ただ、打たれ弱さがあるため、無理な打ち合いは避ける。クーパーは攻めるがディフェンスされたり、クリンチされたりで攻撃が単発に。ウィリアムスがアウトボクシングで優勢。6Rには右カウンター、フック連打、右フックでクーパーを圧倒。7Rにもクーパーは打たれ、このラウンド終了後に棄権。ウィリアムスが定評のあるジャブ、コンビネーションで勝利。クーパーは残念。ウィリアムスには打たれ弱さという弱点があるため勝つチャンスはあったが、当てさせてもらえなかった。ウィリアムスはウィーバー戦でのKO負けでディフェンスをより重視するようになったのだろう。その後のウィリアムス。全米王座を連続防衛後、タイソンの世界王座に挑戦。何と1RでTKO負け。結局、アゴの弱点を克服することはできなかった。)
③バート・クーパー 4R TKO トニー・フリランギ
(北米クルーザー級タイトル戦、1988年)
(ダウンシーン)
4R:右フックでフリランギがダウン
(感想:クーパーがタイトル防衛。ウィリアムスに敗れたクーパー(22歳)が保持する北米王座の防衛戦。挑戦者フリランギ(27歳)はトンガ出身。主戦場はアメリカ。戦績が素晴らしく、39勝(36KO)1敗2分。「WAA」なる団体のヘビー級王座戦でTKO負け、ベテランのジミー・ヤングとドロー、オーストラリアのローカル王座(ヘビー級)獲得。中堅どころと戦ってきた。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(ジョージ・フォアマン、後の世界王者オーリン・ノリス、マイケル・ナンが登場した興行。リングアナはチャック・ハル、レフェリーはトニー・ギブソン)。1R開始から積極的なクーパー。ジャブを連打しながらワンツー、接近してフック連打。ボクサータイプのフリランギはガードしながらジャブ、ワンツー、フック。パンチの打ち方は良いが、ブロックされる。クーパーが勢いとパワーで優勢。4R、フリランギは右パンチをヒットさせたが、逆に左フックからの右フックでダウン。立ったがダメージ深く、レフェリーストップ。クーパーがパワーで勝利。ヘビー級に挑戦するほどのパワーを持つクーパーにとってクルーザー級のボクサータイプは脅威ではない。ただ、フリランギは良いストレートを打っていた。その後、フリランギは二連続KO負けで引退。ラストファイトの相手はジョージ・フォアマンだった。)
その後のクーパー
エベレット・マーティンに判定負け、北米王座防衛、ネート・ミラーに敗れて北米王座陥落、ジョージ・フォアマンに敗北、オーリン・ノリスに勝利して北米ヘビー級王座獲得、レイ・マーサーに敗れて北米王座陥落、リディック・ボウに2Rで惨敗。
④バート・クーパー 8R TKO ローレン・ロス
(ヘビー級戦、1991年)
(ダウンシーン)
8R:右フックでロスがダウン
(感想:25歳のクーパー。ロス(26歳)はテネシー州の黒人。アマチュア時代、ライトヘビー級で数々の大会優勝経験。ニックネームは「ボス」。これまで17勝(12KO)1敗。相手は中堅どころで、王座戦の経験はまだ無い。アラバマ州バーミンガムでの一戦。共にジャブ連打。ロスは手数で勝負するタイプ。左フックをボディからアゴへ。器用ではあるが、パワーが乗っていない打ち方。ただし、右ストレートに良さ。クーパーはロスの軽いパンチをディフェンスしながらストレート、フックで攻める。足を使ってジャブ、ワンツーのロス、パワフルなフックのクーパー。ディフェンス&パワーでクーパー優勢。8R、コーナー付近に追い込まれたロスが右フックでうつぶせにダウン。ダメージ深く、10カウント。試合終了後もしばらく倒れたままだった。クーパーがタフなパワーで勝利。ロスはヘビー級では通用しない戦いぶり。これが最後の試合に。2013年、48歳で死去。強盗をやって射殺された。)
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