ペンシルベニアのタフガイ。ジム・ジョーンズ戦、セドリック・パーソンズ戦、スペンサー・チェイビス戦、カルロス・エルナンデス戦を紹介します。「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」
バート・クーパー(アメリカ)
身長181cm:オーソドックス(右構え)
①バート・クーパー 1R KO ジム・ジョーンズ
(クルーザー級戦、1985年)
(ダウンシーン)
1R:右フック、左フックで2度、ジョーンズがダウン
(感想:タフな強打者だったクーパー。しかし、体格的にヘビーではキツかった。ペンシルベニア州出身の黒人。ニックネーム「Smokin'」。ジョー・フレージャーと同じで、フレージャーの指導を受けた。デビュー以来、5連勝(5KO)。ジョーンズ戦はキャリア初期の試合。ジョーンズはニューヨークの黒人。デビューから連勝だったが、このところ二連続KO負け。5勝(2KO)2敗。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはスティーブ・スモーガー。クーパーのセコンドにフレージャー)。ジャブで前進するクーパー。相手に接近して右ストレート、振りが大きい左フック(この戦い方はキャリアを通じて一貫していた。それが通用する場合もあれば、そうでない場合も)。ジョーンズは足で距離を取ってジャブ、ワンツーで応戦。攻めるクーパーだが、ジョーンズの速い連打を食ってたじろぐシーンも。右フックでジョーンズがダウン。立ったが、再開直後の左フックで完全KO。ジョーンズは試合終了後もしばらく倒れたままだった。クーパーが強打で快勝。動きの大きさが気になるが、最後は正確に強打した。ジョーンズは悪い選手ではないが、クーパーの強引な攻めに飲み込まれた。これが最後の試合に。)
②バート・クーパー 1R KO セドリック・パーソンズ
(クルーザー級戦、1985年)
(ダウンシーン)
1R:パーソンズがスタンディングダウン、左フックでダウン
(感想:連勝のクーパー(19歳)。パーソンズはカナダの黒人で、これまで11勝(7KO)2敗。ドノバン・ラドックにTKO負け後は連勝。このところアメリカのリングに上がっており、後にIBF世界クルーザー級王者になるジェフ・ラムキンに2-1で勝利している。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはジョー・コルテス)。ジャブ連打、そして右ストレートからの左フックで攻めるクーパー。パーソンズは「テクニシャン」ということだが、攻められて苦戦。左フックを食ってヨロめき、スタンディングカウントを聞く。最後は右フックからの左フックでダウン、KO。クーパーが速攻で勝利。攻めが雑なところもあったが、勢いで相手を圧倒した。パーソンズは気の毒。実力を出す前に一気にやられた。その後のパーソンズ。ヘンリー・ティルマンにも1RでKO負け。カナダの中堅どころにとどまった。)
③バート・クーパー 3R KO スペンサー・チェイビス
(北米クルーザー級タイトル戦、1986年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでチェイビスがダウン
3R:右ストレートでチェイビスがダウン
(感想:クーパーがタイトル防衛。パーソンズ戦の次の試合でレジー・グロス(かつてはホープだったが、ジェシー・ファーガソンらに敗北。後、マイク・タイソンに1RでKO負け)にTKO負けして初黒星のクーパー。再起してヘンリー・ティルマン(1984年ロサンゼルス・オリンピックのヘビー級金メダリスト)から北米王座奪取。初防衛戦は2-1の勝利。チェイビス戦は二度目の防衛戦。これまで12勝(9KO)1敗、20歳。チェイビス(21歳)はノースカロライナ出身(どうやらネイティブアメリカンの血を引いているらしい)。あの「クロンク」ジム所属で、セコンドにはエマヌエル・スチュワード。身長が193cmもあり、クーパーよりずっと大きい。ニックネームは「ウォーリアー」で、18勝(10KO)1敗。中堅どころと試合をしてきており、ミシガン州王座戦(クルーザー級)で2-1の敗北。どんな動きを見せる選手なのか? ラスベガスでの一戦(リングアナはチャック・ハル、レフェリーはカルロス・パディーリャ)。なぜかTVのテロップに「北米フェザー級王者」とされているクーパー(単なるミスだが、気をつけてもらいたい。「(TV局が)ボクシングを軽視している」ように思える)。身長差のある対決だが、クーパーはいつもと同じ。前進して右ストレート、フック。チェイビスは残念。クロンクらしいジャブを中心としたボクシングだが、パワーがまるで感じられない。右フックであっさりダウン。その後も攻めるクーパー、フットワーク&ワンツーのチェイビス。3R、右ストレートでチェイビスがダウン。10カウント、KO。クーパーが相手を追い回して楽勝。タフなクーパーにとって軽打の相手は「単なる獲物」にすぎない。チェイビスは名門「クロンク」の選手にしては残念だった。その後はミシガン州王座を獲得するなど全勝だったが、ローカルな試合ばかりだった。)
④バート・クーパー 8R TKO カルロス・エルナンデス
(ヘビー級戦、1986年)
(ダウンシーン)
4R:左フックでエルナンデスがダウン
8R:左フック、フック連打で2度、エルナンデスがダウン
(感想:北米クルーザー級王者クーパーがノンタイトル戦(86年最後の試合)。エルナンデスはキューバ出身の白人で、25歳。ニックネームは「ロッキー」。これまで17勝(12KO)3敗1分。主戦場はアメリカで、デビューから連勝。ニューヨーク州王座(ヘビー級)、ニュージャージー州王座(クルーザー級)、全米王座(クルーザー級)に挑戦して勝てず。後のIBF世界クルーザー級王者リッキー・パーキーにはTKO負け。重要な試合を落としてきた。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。ガッチリした身体でゴツいパンチを打つエルナンデス。開始から接近戦。互いにゴツゴツしたパンチで打ち合うが、パンチのキレはクーパーの方。時折、左フックを当てるクーパー。エルナンデスはワンツー、左ボディ打ち。互いにパンチを当てるなど意外な巧さがある。4R、左フックでエルナンデスがダウン。ゴングに救われる。5R、ダメージがあるエルナンデスだが、勇敢にも打撃戦を選択。マウスピースを落としながらも激しい反撃。その後、疲れが出てきたクーパーは距離を取ってジャブ。エルナンデスはあくまで攻める姿勢。8R、クーパーの右ストレートが効いたエルナンデス。ヒザを着くダウン。再開後、クリンチでしのごうとするが、フック連打で二度目のダウン、レフェリーストップ。タフな者同士の激戦はパンチの正確さ、キレでクーパー。エルナンデスはまるで古い時代の選手のように頑丈で、ゴツいパンチの持ち主だったが、当てる巧さ、ディフェンスの差で敗退。ただ、非常に勇敢。ノンタイトル戦ながら「名勝負」といってもいい迫力だった。その後のエルナンデス。ドノバン・ラドック、ジョージ・フォアマンに二連敗で引退。その後は何をやっていたのかは情報が無いため不明だが、1998年に36歳で死去。タフ男だったが、短い人生となった。)
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