キャリア後半の試合。ジェリー・ジョーンズ戦、オジー・オカシオ戦、ジミー・リー・スミス戦、メルビン・フォスター戦を紹介します。
カール・ウィリアムス(アメリカ)
身長193cm:オーソドックス(右構え)
①ジェリー・ジョーンズ 10R 判定 カール・ウィリアムス
(ヘビー級、1992年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでジョーンズがダウン、右フックでウィリアムスがダウン
3R:右フックでウィリアムスがダウン
(感想:このところイマイチなウィリアムス。直前の試合はTKO勝利。ジョーンズはメリーランド州出身の黒人。身長194cmで、サウスポー。これまで11勝(8KO)4敗。レイ・マーサー、ブルース・セルドンに敗れている中堅どころだが、マイケル・ベントをKOしたことがある(ベントは後、WBO王者に。ジョーンズ戦はデビュー戦だった)。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはルディ・バトル)。1R、スリムで足が長いジョーンズ。足のスタンスを広めに取ってジャブ、接近してフック。頻繁にスイッチする忙しいボクシングで、意表を突く戦い方。しかし、バランスが悪く、突っ込みすぎたところに右フックを食ってダウン。攻めるウィリアムスだが、逆に右フックでダウン。立ったが、さらに右フックでピンチ。ラウンド終了後にはコーナーを間違える。その後もボクシングの巧さでは上回るウィリアムスがジョーンズのガチャガチャしたフックを食うパターン。3R、右フックが効いてウィリアムスがダウン。どうやら左のガードの低いところを狙い打ちされている様子。それでも攻めるウィリアムス。左右フック、左ボディ打ち、右アッパー。しかし、ジョーンズはブロック・クリンチしながらしぶとく打ち返す。10R終了。判定は3-0。ウィリアムスの残念なところが出た試合。正統派すぎるところ、打たれ弱いところ。相手の思い切ったパンチに手を焼いて、そのまま敗北。ジョーンズとしてはウィリアムスが打たれ弱いだけに「一発のチャンスがある」という気持ちで諦めることなく戦い抜くことができたのだろう。しかしその後、ジョーンズはアレックス・ガルシア、マーク・ウィリスらを相手に全敗。最後の相手はアディルソン・ロドリゲス(ブラジルの星)で、2RでのTKO負けだった。)
②カール・ウィリアムス 10R 判定 オジー・オカシオ
(ヘビー級、1992年)
(感想:ウィリアムスがジョーンズに敗れた再起戦。オカシオはプエルトリコのベテラン。これまで23勝(12KO)11敗1分。ラリー・ホームズのWBC王座に挑戦してKO負け。階級を下げてWBA世界クルーザー級王者に。王座陥落後は王座返り咲きを目指してイベンダー・ホリフィールドの世界クルーザー級王座に挑戦してTKO負けしたり、ヘビー級で苦戦したり(レイ・マーサー、タイレル・ビッグス、ブルース・セルドンらに敗北)。体格的にヘビー級では苦しいが、パワーが売り物。アトランチックシティ「Trump Taj Mahal」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはトニー・オーランド)。ジャブ、ワンツー、フックのウィリアムス。手数は出すが相手のパワーを警戒しているのか、打ち合いは避けたい様子。オカシオは距離を詰めてフック攻撃。しかし、スタミナが続かない。そういった二人の戦いぶりからクリンチが多い試合に。ジャブ、ディフェンスのウィリアムス、攻めてはクリンチのオカシオ。10R終了。判定は3-0。特に意味が無かったように見えた試合。ウィリアムスはアゴに不安があるのだろう。そういう状況でリングに上がっても凡戦になってしまう。オカシオはもうリングに上がるべきではない。次の試合でアレックス・ガルシアにTKO負けして引退。)
③カール・ウィリアムス 3R TKO ジミー・リー・スミス
(ヘビー級、1992年)
(ダウンシーン)
3R:右フックでスミスがダウン
(感想:オカシオ戦の次の試合。スミスはミネソタ州の黒人で、これまで10勝(6KO)2敗。元WBA王者ティム・ウィザスプーンには1RでKO負けしている。コネチカット州マシャンタケットでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。似たスタイルの二人。足でリズムを取り、左のガードを下げた構えからジャブ。そして接近してフック攻撃。しかしながら、器用さではウィリアムス。ジャブ、連打で相手を追う。スミスは受け身。右ストレートとフックにパワーを込め、2Rには連打するが粗い攻めをディフェンスされる。3R、ウィリアムスが猛攻。右フックでスミスがロープ際でダウン。立ったが、さらに連打を浴びて前屈みになったところでレフェリーストップ。ウィリアムスがディフェンスに気を配りながら精力的な攻めで勝利。スミスはパワーを込めてウィリアムスのアゴを狙ったが、空転。その後、スミスはロッキー・セコースキーと四回戦で再起戦を行い、判定勝ち。それが最後の試合となった。)
④メルビン・フォスター 10R 判定 カール・ウィリアムス
(ヘビー級、1995年)
(ダウンシーン)
8R:左フックでウィリアムスがダウン
(感想:スミス戦の次の試合でトミー・デューク・モリソンにTKO負けしたウィリアムス。続くフランク・ブルーノ、アレクサンダー・ゾルキン戦もTKO負けで、26勝(20KO)8敗に。三連敗の状況でフォスター戦。フォスターはワシントンD.C.出身の黒人で17勝(13KO)1敗1分。身長はヘビー級にしては小さい178cm。アマチュア王者からプロへ。あのミッチェル・グリーン(マイク・タイソンとのストリートファイトでおなじみ)を下してニューヨーク州王座獲得。しかし、古豪トレバー・バービックに判定負けで初黒星。再起二連勝でウィリアムス戦。ペンシルベニア州ブッシュキルでの一戦(TV解説席に世界ランカーのブルース・セルドン。この試合の後、トニー・タッカーを破ってWBA王者に)。身長差のある対決。共にジャブ。フォスターは強気の姿勢。ウィリアムスのアゴを狙ってストレート、フック。ウィリアムスは全盛を過ぎた。ジャブ&クリンチで相手の勢いを封じようとする。2R、フォスターが連打で攻め、左フックを決める。3R、クリンチが多いウィリアムスだが、絶妙な右カウンターをヒットさせる。これが効いたらしくフォスターは慎重姿勢に。4R、ウィリアムスがホールドで減点。7R、フォスターの粗いパンチがヒット。8R、左フックでウィリアムスがダウン(当たりは浅め。腕力でなぎ倒したようなダウンだった)。その後も右ストレートで攻めるフォスター。ウィリアムスはジャブ&クリンチ。10R終了。判定は3-0。フォスターが思い切りのいいパンチで押し切って勝利。ただ、不器用な攻め方だった印象。ウィリアムスは3Rの右カウンターに良さ。しかし、そこまで。その後の二人。フォスターはマイケル・モーラー、ジミー・サンダーに敗北。負けが込むようになっていった。ウィリアムスは中堅どころと試合。ラストファイトは1997年10月で、TKO負け。2013年、ガンで死去(53歳)。優秀な選手だったが、ボクサータイプで「ガラスのアゴ」。ヘビー級で勝ち抜くには厳しい条件だった。)
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