「本物」の男。デビッド・ジャコ戦、ジェシー・ファーガソン戦、キムエル・オドム戦を紹介します。
カール・ウィリアムス(アメリカ)
身長193cm:オーソドックス(右構え)
①カール・ウィリアムス 2R TKO デビッド・ジャコ
(ヘビー級、1983年)
(ダウンシーン)
1R:左フック、フック連打で2度、ジャコがダウン
(感想:フロリダ州出身の黒人、ウィリアムス。友人に勧められてボクシングを始めた。なかなかの自信家で、テレビで他の選手の試合を見て「自分の方が強い」と思ったのもボクシングを選んだ理由。デビューから10連勝(8KO)。ジャコはオハイオ州トレド出身の白人。身長は何と198cm。コチラもデビューから全勝。どんな試合となるか? アトランチックシティでの一戦(リングアナはエド・デリアン、レフェリーはルディ・バトル)。足でリズムを取り、左のガードを下げた構えからジャブを飛ばすウィリアムス。相手のジャブをヘッドスリップでかわす機敏さもある。ジャコは正統派。ガードを意識しながらジャブ連打、接近してフック。ウィリアムスが斜め下からの右フック。これが効いたジャコ。左フックでダウン。立ったが、連打されて二度目のダウン。ゴングに救われたが、ラウンド終了後に棄権。ウィリアムスが快勝。「The Truth(本物の実力者)」のニックネーム通りのセンスの良さを見せた。ジャコは攻めるときのディフェンスに甘さ。そのためか、その後は勝ったり負けたり。後の世界ランカー、ドノバン・ラドックに勝利するサプライズはあったが、トニー・タッカー、マイク・タイソン、ジェームス・ダグラス、ジョージ・フォアマンといったトップクラスには敵わず。最後は連敗でキャリア終了。だが、当時の名のある選手と多く試合できた。)
②カール・ウィリアムス 10R TKO ジェシー・ファーガソン
(ヘビー級、1985年)
(ダウンシーン)
3R:右フックでウィリアムスがダウン
5R:左フックでウィリアムスがダウン
9R:右フックでファーガソンがダウン
10R:右フックでファーガソンがダウン
(感想:ジャコ戦後も連勝を続け、ジェームス・ティリスに勝利したウィリアムス。しかし、IBF世界ヘビー級王者ラリー・ホームズへの挑戦は判定負け(負けたが、ホームズを追い込んだことで評価が逆に高まった)。そして再起戦。ファーガソン(ノースカロライナ出身の黒人、28歳)はジョー・フレージャーのようなタイプで、接近しての左右フック攻撃が武器のファイター。デビューから13戦全勝(10KO)。後の世界王者ジェームス・ダグラスには2-0で勝利している。アトランチックシティでの一戦(レフェリーはラリー・ハザード)。ダッキング、ブロッキングしながら前に出るファーガソン。フック、ボディ打ち。ウィリアムスはジャブ、そして相手の接近を阻むかのようなコンビネーション(ワンツーからの左ボディ打ち、ほか)。接近戦ではボクサータイプのウィリアムスも力強い攻撃。互いのパンチがヒット。3R、ウィリアムスがワンツー、ファーガソンが左フック。そして左フックからの右フックでウィリアムスがダウン。その後、コンビネーションで手数を出すウィリアムスだが、5Rに左フックでダウン。7R、ファーガソンに疲れ。ウィリアムスがワンツー&フック。9R、右フックでファーガソンがついにダウン。10Rにも右フックでダウン。立ったが、レフェリーストップ。ウィリアムスが激戦を制して生き残った形。しかし、二度のダウン。ウィリアムスは口が半開きの状態で試合をする。そこにパンチを食らうと効くのだろう。ファーガソンは「疲れるボクシング」。ジャブが少な目で大きく振るうフック。フックはスタミナを消耗しやすいうえにブロックされやすい。その後、ファーガソンはマイク・タイソン、ジェームス・スミスに敗北。懐かしの元世界王者マイケル・ドークス、トニー・タッブスにも敗北。レイ・マーサーに番狂わせの勝利。リディック・ボウの世界王座に挑戦したが、惨敗。強さは確かにあったが、「振り回すボクシング」では限界があった。)
その後のウィリアムス
ファーガソン戦の次の試合で元WBA王者「ヘラクレス」マイク・ウィーバーに2RでKO負け。再起戦はバート・クーパーとの全米王座決定戦。王座獲得、連続防衛。マイク・タイソンの世界王座に挑戦して何と1RでアッサリTKO負け。ティム・ウィザスプーンに敗れて全米王座陥落。二線級のキムエル・オドムと対戦することに。
③カール・ウィリアムス 10R NC キムエル・オドム
(ヘビー級、1991年)
(感想:31歳になったウィリアムス。これまで23勝(18KO)4敗で、IBF10位。オドム(30歳)はインディアナ州出身の黒人。アマチュア時代に実績があり、シカゴでの大会で優勝したり、マイク・タイソンに勝利したり。プロではデビュー戦で後のWBC王者オリバー・マッコールに2-0で敗北。中堅選手に勝利。しかし、レイ・マーサー、ドノバン・ラドック、ピエール・コーツァー、ジェームス・スミスを相手に四連敗中。上位陣には敵わない状況。アトランチックシティでの一戦(リングアナはエド・デリアン、レフェリーはルディ・バトル。TV解説席にレイ・マーサー)。1Rから左フックを決めるなど激しく攻めるウィリアムス。オドムはジャブ、ストレート、左フックなどをまとめて応戦。2Rにもウィリアムスが猛攻。ジャブで相手を追い込んで左右フック、右アッパー、左ボディ打ち。オドムはブロックで耐え、ジャブ、右カウンター。ウィリアムスが優勢。オドムは打ち返すなどタフさはあるが、自分から試合の流れを作るような動きができない(元々?)。8R、オドムの左フックがヒット。しかし、ウィリアムス優勢のまま10R終了。判定3-0でウィリアムス。打たれ弱さがあるにもかかわらず、終始勢いに乗って相手を圧倒して勝利、と思ったら公式記録は「ノーコンテスト」。情報が無いので不明だが、勝利を取り消されたところからすると薬物・ドーピングがらみか? 力強い攻撃だったが、残念。オドムは真っ直ぐ攻めるところがあり、トップには立てない動きだった。その後もオドムは多くの試合。トニー・タッカー、トミー・モリソンといった実力者に勝てず、最後は「若手の踏み台」として負けまくった。)
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