快進撃&転落。マシュー・ブルックス戦、ジェームズ・ワーリング戦、ゲーリング・レイン戦を紹介します。
アレックス・ガルシア(アメリカ)
身長188cm:オーソドックス(右構え)
①アレックス・ガルシア 2R TKO マシュー・ブルックス
(ヘビー級戦、1992年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでブルックスがダウン
2R:左フックでブルックスがダウン
(感想:カリフォルニア州ノースハリウッド出身の倒し屋、ガルシアはメキシコ系アメリカ人。ボクサーになる前はケンカばかり。人を死なせて刑務所へ。そこでボクシングを始めた。アマチュアでは試合数は少ないが、世界選手権にも出場。プロ入り後は中堅どころを相手にKOの山。直前の試合では「巨人」マイク・ホワイトをKO。これまで26勝(21KO)1敗、30歳。世界ランキングにも入っている。ブルックス(33歳)はテキサス州の黒人サウスポーで、8勝(4KO)3敗1分。ライトヘビー、またはクルーザー級の選手で、ビンセント・ボウルウェア、アンソニー・ヘンブリック、アルフレッド・コールといった選手に敗北。テキサス州ヒューストンでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。1R、左右の構えの違いはあるが、共にジャブ、ストレート。ガルシアが左を使いながら慎重に相手に接近し、アッパー気味の右フック、左ボディ打ち。ブルックスはボクサータイプで右ジャブを使うが押される。右フックでブルックスがダウン。立ったブルックスは打ち合い、勇敢な反撃。2R、右ストレートからの左フックでブルックスがダウン。立ったが戦意喪失気味でレフェリーストップ。ガルシアが快勝。「荒っぽいKOパンチャー」かと思ったらそうではなく、しっかりとディフェンスしながら正確なパンチを入れていくタイプ。最早、「勝てる相手」と試合するのは時間の無駄。上位陣との対戦が望まれるレベル。ブルックスはやはり相手との体格差があった。ミスマッチだったとも言える。その後もブルックスはヘビー、クルーザー級で試合。ラリー・ドナルド、コーリー・サンダース、アーサー・ウィリアムスといった選手に敗北。)
その後のガルシア
次の試合でオジー・オカシオ(元WBA世界クルーザー級王者)にTKO勝ち。その次の試合は北米ヘビー級王座決定戦で判定勝ち、王座獲得。売り出し中のマイク・ウィリアムスをTKOして初防衛に成功。ところがWBCの地域王座戦でマイク・ディクソンにKO負け(左フックでダウン。ディクソンの猛烈なアタックによりレフェリーストップ。「ガルシアが負けた」というより「ディクソンのパワー、爆発力が凄まじかった」といった結果)。再起戦で元IBF世界クルーザー級王者ジェームズ・ワーリングと北米王座防衛戦を行うことに。
②アレックス・ガルシア 12R 引分 ジェームズ・ワーリング
(北米ヘビー級タイトル戦、1993年)
(感想:ガルシアがタイトル防衛。三度目の防衛戦。挑戦者ワーリング(35歳)はフロリダ州マイアミ出身の黒人。身長191cmのスラリとした身体で、これまで14勝(9KO)2敗。学生時代はフットボール。キックボクサーからプロボクサーに転向。ジェームズ・プリチャードとのIBF世界クルーザー級王座決定戦に何と1R(36秒)右ストレート一撃でのKOで勝利。二度の防衛に成功。しかし、アルフレッド・コールに判定負け、王座陥落。その再起戦でガルシアと対戦。共に再起戦となるラスベガス「Riviera Hotel & Casino」での一戦(リングアナはチャック・ハル、レフェリーはミッチ・ハルパーン)。「北米ヘビー級タイトル戦」ではあるが、北米ランキングではクルーザー級のワーリング。足を使って徹底的に接近戦を避ける作戦。ジャブ、たまに連打でポイントを取ろうとする。追い掛けるガルシアだが、身体が重そうな感じで「エンジンがかからない」といった攻め。1Rに両者がもつれ合って転倒する珍シーン。2Rに見事なコンビネーション(右フックからの左ボディ打ち)を見せたワーリングだが、全体的にパワー不足で迫力のない打ち方。その後もアウトボクシングのワーリング、右ストレートを空振りするガルシア。12R終了。両手を上げて勝利をアピールするワーリングだが、判定はドロー。両者の足りないところが出た試合。ワーリングにはヘビー級で通用するパワーはない。ガルシアは追い上げる勢いに欠ける。ヘビー級は「ボクシング界のトップ」。そんな試合ぶりでは困る。その後もワーリングはリングに上がったが、ヘビー級では活躍できず。最後はアレックス・スチュワートに判定負け、引退。その後はレフェリーとして活躍した。)
③ゲーリング・レイン 2R KO アレックス・ガルシア
(ヘビー級戦、1993年)
(ダウンシーン)
2R:左フック、連打、右フックで3度、ガルシアがダウン
(感想:ワーリング戦の次の試合。レインはメリーランド州出身の黒人。身長は178cmでヘビー級にしては小さい。ニックネームは「Freight Train(貨物列車)」(「タフで馬力がある」という意味か?)。レイ・マーサー、リディック・ボウ、トレバー・バービック、レナルド・スナイプスといった名のある相手に敗北。このところ二連敗中。フロリダ州フォート・ローダデールでの一戦。ズングリしたレイン。顔もかなりの迫力。自信に満ちた表情で強いジャブを当てる。ガルシアは慎重姿勢。共にダッキングしながらジャブ、左フックからの右ストレートといったパンチを使うが、パワーではレインが上か? 接近戦。レインがボディ攻撃。ガルシアは得意のアッパー気味フック、左ボディ打ちに良さがあるが、相手の迫力に押されている雰囲気。2R、強烈な左フックでガルシアがダウン。これが効いてしまい、連打で二度目。最後は右フックで倒れ、レフェリーは直ちに試合終了。レインが自信タップリな攻めで快勝。ジャブが強く、正確だったのが勝因。ガルシアは残念。不安感丸出しな試合ぶり。マイク・ディクソンにKO負けしてパワーファイターへの恐怖心があったのかも。その後の二人。レインは多くの試合。しかし、ラリー・ホームズ、レイモン・ブリュースターといった実力者には勝てず。ガルシアは北米戦でジョー・ヒップに敗北、ディクソンに判定で雪辱、バスター・マシス・ジュニアとの全米王座戦に判定負け。結局、世界挑戦ならず。ジャブで試合を組み立てる良い選手だったが、器用にまとまりすぎて豪快さに欠けていたのが惜しい。)
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