南アの世界1位。ホセ・リバルタ戦、ジェリー・ハルステッド戦、カールトン・ウェスト戦、フランク・ブルーノ戦を紹介します。
ピエール・コーツァー(南アフリカ)
身長193cm:オーソドックス(右構え)
①ピエール・コーツァー 10R 判定 ホセ・リバルタ
(ヘビー級戦、1991年)
(ダウンシーン)
9R:右フックでコーツァーがダウン
10R:左フックでリバルタがスタンディングダウン
(感想:軽量級の黒人が強い南アフリカだが、ヘビー級は白人が主流(WBA王者になったゲリー・コーツィーなど)。コーツァーは南アフリカ・プレトリア出身の白人。1983年にプロデビュー。連勝だったが、バーナード・ベントン(後、WBC世界クルーザー級王者に)、オジー・オカシオ(元WBA世界クルーザー級王者)に判定負けしている(二人とは再戦し、いずれもコーツァーが勝利)。その後は中堅どころを相手に連勝中。リバルタはキューバ出身の黒人で、アメリカに移住してボクシングを始めた。実力はあるが、パワーファイターではない。マイク・タイソンには10RでTKO負け。このところティム・ウィザスプーン(元WBA王者)、ブルース・セルドン(後のWBA王者)に二連敗中。ミシシッピ州ビロクシでの一戦。足でリズムを取る両者。コーツァーが攻めの姿勢。ややアップライトで真っ直ぐ攻めるクセがあるが、ゴツいパンチでストレート、左フック、左ボディ打ち。左フックからの右ストレートといったコンビネーションも持っている。リバルタはストレート、左フックなどカウンターで迎え撃つ形。2R、左フックを食って足に来るリバルタ。4R、右フックを食ってコーツァーがたじろぐ。その後も攻めるコーツァー、カウンターのリバルタ。9R、右フックでコーツァーがダウン。10Rには逆に左フックでリバルタをグラつかせ、スタンディングカウントを聞かせる。TKOになりそうなタイミングで10R終了。判定は2-0。コーツァーが攻めの姿勢で勝利。「両者の特徴」がよく出ていた試合。コーツァーはタフだが、打たれる欠点。リバルタはパンチを当てるテクニック、鋭い左フック。しかし、自分から攻めて試合の流れを作ることができない欠点。その後もリバルタは多くの試合。しかし、ラリー・ホームズ、トニー・タッブス、ビタリ・クリチコ、ドノバン・ラドックらに敗北。引退後に自伝を出版。名のある選手と多く対戦した彼はエピソードも豊富だろう。)
②ピエール・コーツァー 10R 判定 ジェリー・ハルステッド
(ヘビー級戦、1991年)
(ダウンシーン)
8R:ワンツーで2度、ハルステッドがダウン
9R:右フックでハルステッドがダウン
(感想:リバルタ戦の次の試合。ハルステッドはオクラホマの白人。元々はスーパーミドル級で、階級を上げてヘビー級に。中堅どころを相手に多くの試合。ローカル王座を獲得しているが、グレグ・ペイジ、トニー・タッブス、ジェームズ・ダグラスといった実力者には勝てなかった。南アフリカ・サンシティでの一戦。ガードを上げて前進するコーツァー。右ストレート、右フック、左ボディ打ち。ハルステッドは距離を取ってジャブ、ストレート、ガチャガチャしたフックで応戦。3R、コーツァーの右ストレートがヒット。ハルステッドはワンツーからの左ボディ打ちで対抗。その後も攻めるコーツァー。 ハルステッドはクリンチがますます多くなっていく。8R、強烈なワンツーでハルステッドが二度のダウン。9Rには右フックでダウン。何とかクリンチでしのいで10R終了。判定は3-0。コーツァーが攻撃力で勝利。リバルタ戦と比べるとディフェンスが良くなった(ような気がする)。ハルステッドは不器用で受け身だった。その後のハルステッド。多くの試合。しかし、トミー・モリソン、レイ・マーサーらに敗北。日本で西島洋介山にも敗北。ラストファイトの相手はウラジミール・クリチコで、2RでKO負けだった。)
③ピエール・コーツァー 1R TKO カールトン・ウェスト
(ヘビー級戦、1992年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでウェストがダウン
(感想:好調のコーツァー。世界ランク上位。ウェストはバージニア州の黒人。いわゆる「かませ犬」のような存在。(パンチが無い)ジェームス・ティリスに3RでTKO負け、バージニア州王座獲得(クルーザー級)、ユーライア・グラントに4RでTKO負け、といったキャリア。バージニア州ビールトンでの一戦。攻めるコーツァー。ウェストは右ストレート、フックで応戦するが、ストレート、左ボディ打ちされる。そして斜め下からの右フックでウェストがダウン。立ったがどうやら「戦意喪失」らしく、レフェリーストップ。コーツァーが楽勝。勝っても自慢にならない相手だったが、フィニッシュのパンチは良かった。ウェストは悲しい存在。倒されるために用意された「いけにえ」。しかし、その後も多くの試合。アナクレット・ワンバ、アンドリュー・ゴロタ、アクセル・シュルツらにKO負け。負けても負けてもリングに上がる根性は凄まじいが、ダメージが心配。)
④フランク・ブルーノ 8R TKO ピエール・コーツァー
(ヘビー級戦、1992年)
(ダウンシーン)
8R:フック連打でコーツァーがダウン
(感想:カールトン・ウェスト戦の次の試合でリディック・ボウと「世界ヘビー級王座挑戦者決定戦」を行ったコーツァーだが、敗北して39勝(27KO)3敗に。再起戦の相手は同じく世界王座を目指す選手。34勝(33KO)3敗のブルーノは英国の黒人。連戦連勝で期待された過去。しかし、ティム・ウィザスプーン、マイク・タイソンにKOされて世界王座獲得ならず。タイソン戦後、ブランクを作ったが、ホセ・リバルタらを相手に二連勝中。英国ウェンブリーでの一戦。共に30歳。身長ではコーツァーが上だが、似たような戦い方。ガードを上げてジャブ。右ストレート、左フックを狙うコーツァー。ブルーノは打たれ弱さがあるため慎重で、ジャブ、細かいパンチ。ところが相手の首筋をつかんで右パンチを打つ反則を連発(ブルーノはよくこれをやる。完全にクセになっている)。レフェリーに1Rから警告される。その後も我慢比べのようなもみ合い。互いにフック、ポディ打ち。コーツァーが右目の下をカット。ディフェンスしながらの細かいパンチでブルーノがやや優勢。7R、ブルーノが右フック連打、左ボディ打ち。8R、右フックが効いたコーツァー。フック連打でロープの外にはみ出すダウン。再開後、連打でストップ。ブルーノが細かいパンチの積み重ねと反則で勝利。打たれ弱さをディフェンスでカバー。コーツァーは真っ正直なボクシング。次第にパンチが効いてしまった。その後の二人。ブルーノはレノックス・ルイスのWBC王座に挑戦してKO負け。連勝後、何と四度目の世界挑戦のチャンス(異例)。オリバー・マッコールを破ってついにWBC王者に。しかし、カムバックしてきたタイソンにアッサリKO負けで引退。引退後は精神的なトラブル。徐々に回復してきているという。コーツァーは再起戦でジョージ・フォアマンに8RでのTKO負け、引退。WBA1位にランクされていたときもあったが、最後はボウ、ブルーノ、フォアマンに三連敗。この三名はコーツァーを踏み台にして世界王者になった。)
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