2025年3月11日火曜日

「世界を目指したヘビー級⑩」ジェシー・ファーガソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

タフなファイター。キャリア終盤の試合。ロッキー・ペペリ戦、ダネル・ニコルソン戦、サムソン・ポーア戦を紹介します。


ジェシー・ファーガソン(アメリカ)

身長188cm:オーソドックス(右構え)


ジェシー・ファーガソン 9R TKO ロッキー・ペペリ

(ヘビー級戦、1993年)

「世界を目指したヘビー級⑩」ジェシー・ファーガソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:左ボディでペペリがダウン

9R:右フックでペペリがスタンディングダウン

(感想:ノースカロライナ出身の黒人、ファーガソン。海兵隊でボクシングを始めたのは22歳の時。アマチュアを経験。25歳でプロへ。リングに上がりながら建設作業員やガードマンの仕事も。デビュー以来、連勝であのジェームス・ダグラスに勝利。しかし、カール・ウィリアムスに初黒星。そして今となっては伝説のマイク・タイソン戦。タイソン必殺の「右ボディからの右アッパー」を食ってダウンした末にTKO負け。ジェームス・スミス、オーリン・ノリス、オリバー・マッコール、ブルース・セルドン、ピークを過ぎたマイケル・ドークス、トニー・タッブスにも敗北。実力は間違いなくあるが、トップには立てない。ところがレイ・マーサーに番狂わせの勝利。リディック・ボウのWBA・IBF世界ヘビー級王座に挑戦するチャンス。しかし、2RでのKOで惨敗(1993年)。ペペリと再起戦。これまで19勝(13KO)10敗。ペペリはアイオワ州出身のタフな白人。16勝(15KO)7敗1分。中堅どころに勝ってきたが、バート・クーパー、ラリー・ホームズらを相手に連敗中。ミシシッピ州ビロクシでの一戦。互いにジャブ、右ストレート。ジョー・フレージャーのようなファイトぶりのファーガソン。接近戦では前傾姿勢でフック、ボディ打ち。ペペリはショートフックで対抗するが、打たれる。パワー、パンチの伸びでファーガソン優勢。右ストレート、左ボディ打ちが効果的。ところが「のらりくらり」としたところがあり、相手を詰めきれない。ペペリはタフで「右ストレートからの左ジャブ」といった小技も持っているが、相手を圧倒するようなパワーは無し。4R、ファーガソンが右ストレートからの左フック。その後も打たれるペペリだが反撃するため、レフェリーは試合を止めることができない。8R、左ボディでペペリがついにダウン。9Rには右フックでスタンディングダウン。レフェリーはカウントの途中で試合を止めた。ファーガソンが強打で勝利。しかしながら、「彼の特徴」が。間違いなく強いが「エンジンがかからない」といった感じの動き。集中力、スタミナに問題があるのだろう。ペペリは標準レベルの選手だった印象。その後、ペペリはアレクサンドル・ゾルキン、ジェームス・ダグラス、カーク・ジョンソンに敗北してキャリアを終えた。)


ダネル・ニコルソン 9R TKO ジェシー・ファーガソン

(ヘビー級戦、1995年)

「世界を目指したヘビー級⑩」ジェシー・ファーガソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペペリ戦後のファーガソン。名のある相手と連続で対戦。レイ・マーサー(再戦)、フランク・ブルーノ、ラリー・ホームズ、ジェレミー・ウィリアムス、アレックス・スチュワート。しかし、何と全敗。引退すべき状況でニコルソン戦。ニコルソンはイリノイ州シカゴ出身の黒人。アマチュアで実績。1992年のバルセロナ・オリンピックにヘビー級で出場(メダルは獲れず)。プロではデビューから連勝後、ジェレミー・ウィリアムスにKO負け。ジョン・ルイス(後のWBA王者)を破ってIBO王座獲得。ウィリアムス戦以後は連勝で、ファーガソン戦。KO負けしたウィリアムス戦ではアマチュア的な動きだったが、この試合ではどうか? ラスベガスでの一戦(レフェリーはジェイ・ネイディ)。「クロンクジム」のニコルソンは金色トランクスで、セコンドにエマヌエル・スチュワード。1Rから接近戦。互いにジャブ。ニコルソンは右ストレート、左フック、アッパー気味の左右フック。プロらしいパワーを感じる打ち方。ファーガソンも右ストレート、フック。実にパワフルで、ニコルソンがクリンチに逃げるシーンも。次第に差が。同じようなパターンで接近してフックを狙うファーガソンに対し、ニコルソンは中間距離でジャブ、ストレート、接近してフック、ボディ打ち。ニコルソンが器用かつパワフルに試合を進める。ファーガソンは時折強いフックを放つが、試合の主導権を取るような攻めではない。しかも左目の腫れ。8R終了後、ファーガソンが目の腫れで棄権。ニコルソンが離れても接近しても強いところを見せて勝利。ファーガソンは攻めが単調で単発。これが限界か。その後のニコルソン。アンドリュー・ゴロタ、カーク・ジョンソンに連敗。中堅相手に連戦連勝後、デビッド・トゥアにKO負け。ラストファイトはウラジミール・クリチコにTKO負け。中堅どころには強かったが、トップには立てなかった。)


ジェシー・ファーガソン 8R TKO サムソン・ポーア

(ヘビー級戦、1997年)

「世界を目指したヘビー級⑩」ジェシー・ファーガソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:右アッパー、右フック、左フックで3度、ポーアがダウン

8R:フック連打でポーアがダウン

(感想:40歳になったファーガソン。これまで23勝(15KO)16敗。ポーアはトンガ出身の24歳。パワーが売り物で19勝(17KO)2敗。対戦相手は主に中堅どころで、アンドリュー・ゴロタにはTKO負け。直前の試合ではバート・クーパーをKOしている。アトランチックシティ「Trump Taj Mahal」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。スキンヘッドのファーガソン。サイドを刈った個性的な髪型のポーア。共にファイタータイプ。しかし、「パンチの質」に大きな違い。ディフェンスしながら強烈な右ストレート、左フックのファーガソン。ポーアはブロックしながらストレート、フックを出すがショートパンチで、威力ではファーガソンに劣る(ように見える)。1Rから接近戦。フックでの打ち合い。3R、攻めるポーアだが、右アッパーでダウン。これが効いたポーア。何とか反撃するが、ダウンを二度追加。勢いが落ちたポーアはその後、距離を取ってジャブ、ストレート。ファーガソンは前に出るが、元々スピードがあるタイプではないためモタモタした雰囲気も。8R、ボディ攻めからのフック連打でポーアがダウン。レフェリーはそのまま試合を止めた。新旧の強打者対決はファーガソンに軍配。コブシの強さに違いがあったようだ。その後の二人。ポーアは再起戦でデビッド・ベダーに敗北。中堅どころとしてキャリア終了。ファーガソンは次の試合でハシム・ラクマンと対決(IBFインター王座、全米王座戦)。判定負けで、それが最後のタイトル戦に。その後はオベド・サリバンに勝利したが、アンドリュー・ゴロタに判定負けで引退(1999年)。世界王者になってもおかしくない頑強なコブシの持ち主だったが、試合運びに難があったのが残念。)  

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