2025年2月26日水曜日

「世界を目指したヘビー級⑥」マービス・フレージャー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

二世ボクサー。スティーブ・ゾースキー戦、ジェームズ・ティリス戦、フィリップ・ブラウン戦を紹介します。


マービス・フレージャー(アメリカ)

身長184cm:オーソドックス(右構え)


マービス・フレージャー 6R TKO スティーブ・ゾースキー

(ヘビー級戦、1981年)

「世界を目指したヘビー級⑥」マービス・フレージャー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペンシルベニア州フィラデルフィア出身の黒人マービスはジョー・フレージャーの息子。様々なスポーツを経験後、ボクシングを選択。兄弟や甥もボクサーに(姉も)。アマチュアで活躍(タイトルを獲得したり、後にプロで世界王者になる選手を下したり)。ニューヨークでのプロデビュー戦はTKO勝利で、これまで三連勝。ゾースキー戦はプロ四戦目。ゾースキーはウィスコンシン州出身の白人。判定負けが一つあるが、それ以外はキレイに白星を並べてきた。ただ、ローカルな試合が多い。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦(メインは「ケン・ノートン vs. ゲーリー・クーニー」の新旧ヘビー級対決。クーニーがノートンを粉砕する衝撃的な結末となった)。ピンクのトランクスのフレージャー(派手好き?)。足でリズムを取ってジャブ。ゾースキー(赤トランクス)はファイター。ダッキングしながら前進してフック攻撃。フレージャーはストレート、フックで応戦。「さすが」と言うべきか、 フレージャーはフックが巧く、テンポも良い。ゾースキーは力強いが、ディフェンスされる。接近戦が続く。3R、ゾースキーの右カウンターがヒット。良いパンチを打ち込むフレージャーだが倒せないため、足で距離を取る。ゾースキーはしつこく前進。6R、フレージャーの右アッパーなどが連続ヒットしてレフェリーストップ。タフなゾースキーはストップに不満の表情だった。フレージャーが連打をまとめて勝利。親譲りのパワフルなフックだった。しかし、ダウンを奪えず。意外にパワーがないのか、ゾースキーがタフすぎたのか。筋がいいだけに後は「倒すコツ」をつかむのみ、といったところ。ゾースキーは悪くなかったが、そこまで。その後もゾースキーは多くの試合。負けが多くなっていったが、トニー・タッブス、マイク・タイソン、ジョージ・フォアマン、トミー・モリソンらと試合できた。)


その後のフレージャー

ジェームズ・ブロード、ジョー・バグナーに勝利して全勝のままラリー・ホームズと勝負(「IBF王座戦」とする資料もあるが、どうやらノンタイトル戦だったらしい)。何と1RでアッサリTKO負け(体格・経験など「全体的なスケール」に大きな差があった)。再起三連勝でジェームズ・ティリスと対戦。


マービス・フレージャー 10R 判定 ジェームズ・ティリス

(ヘビー級戦、1985年)

「世界を目指したヘビー級⑥」マービス・フレージャー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:連打でフレージャーがスタンディングダウン

(感想:これまで31勝(24KO)5敗のティリスはベテラン。マイク・ウィーバーのWBA王座に挑戦したり、売り出し中の選手(ティム・ウィザスプーン、カール・ウィリアムスら)と戦ってきたりのキャリアだが、重要な試合を落とすことが多い。晩年のモハメド・アリのような動き、打ち方をし、パワーが感じられない試合ぶりなのが原因。フレージャーにとっては「倒される心配はない」選手で、再起ロードの相手には丁度いいのではないか? ネバダ州リノでの一戦(リングアナはエド・デリアン。フレージャーのセコンドに父ジョー。この日のメインは「ラリー・ホームズ vs. カール・ウィリアムス」のIBF世界ヘビー級王座戦。王者ホームズは試合前、控え室で余裕の表情をしていたが、大苦戦した)。足でリズムを取る両者。ティリス(セコンドのユニフォームに「ファイティング・カウボーイ」。ティリスはカウボーイだった過去)はおなじみ「フットワーク&ジャブ」、ワンツー。フックを打つが、パワーが乗らない手打ちパンチ。フレージャーもいつものように接近してフック。2R、攻めるフレージャー、応戦するティリス。そして意外なシーン。コーナー付近にフレージャーを追い込んだティリスが一気に連打。レフェリーが間に入ってスタンディングカウント。その後、ティリスはフレージャーのフックをブロックしながらガードの隙を突くパンチ。左フックを当てる巧さを披露。しかし、中途半端に足を使ったり、クリンチしたりで、フレージャーの攻めを許してしまう。10R終了。判定は3-0。フレージャーが攻めの姿勢で勝利。しかしながら、攻め方は良く言えば「一貫している」、悪くいえば「同じパターン」。ティリスはもっと積極さがあれば勝てた。共に足りないところがあるところを見せた試合だった。その後もティリスは有望株に敗れるポジション。マイク・タイソン、イベンダー・ホリフィールド、トミー・モリソンらの「踏み台」となった。)   


マービス・フレージャー 10R 判定 フィリップ・ブラウン

(ヘビー級戦、1988年)

「世界を目指したヘビー級⑥」マービス・フレージャー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ティリス戦後、ホセ・リバルタ、ジェームス・スミス(後のWBA王者)を破ったフレージャーだが、その次の相手は強烈。世界を目指す若手マイク・タイソン。何と30秒でKO負け。中堅どころに再起二連勝。そしてフィリップ・ブラウン戦。これまで18勝(10KO)2敗で、28歳。ブラウン(29歳)はルイジアナの黒人で、34勝(21KO)2敗。身長191cmでフレージャーより高い。デビューから連勝。ジミー・ヤングに判定勝ち。ゲーリー・クーニーにTKO負けで初黒星。その再起戦でフランク・ブルーノ(後のWBC王者)に判定負けで二連敗。ロドニー・フレージャー(ジョー・フレージャーの甥。マービスのいとこ)にTKO勝ち。このところマイク・ジェームソン、デビッド・ジャコといった中堅選手相手に連勝。アリゾナ州ツーソンでの一戦(リングアナはチャック・ハル)。1R、ハイペースな打ち合い。フレージャーがフック攻撃、ブラウンはアップライトスタイルからストレート、左右フック、ボディ打ちなど連打で応戦。基本的に距離を取って戦いたいブラウンは2Rからジャブ中心。ワンツーからの左フックに良さ。ところがフレージャーのボディ攻撃が効いてきたのか、早々にスタミナ切れ。打ってはクリンチ。フレージャーの攻めも単調(に見える)。そのため接近戦ではもみ合いが多い。6R、フレージャーがローブローで減点。その後もボディ攻めのフレージャー、単発な反撃のブラウン。10R終了。判定は3-0。フレージャーが攻めの姿勢で勝利。相手のスタミナ切れに助けられた印象も。その後の二人。ブラウンはマイク・ウィーバー、リディック・ボウらを相手に全敗。フレージャーはこれで引退。牧師になったが、ボクサー時代の後遺症。自分が誰なのかもわからない状態だという。)

 

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