2025年2月8日土曜日

「ミドル級のホープ⑦」ジェームス・キンチェン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

80年代のミドル級。オデル・ハドリー戦、ラルフ・モンクリーフ戦、ティム・ウィリアムス戦、クリストフ・ティオーゾ戦を紹介します。


ジェームス・キンチェン(アメリカ)

身長176cm:オーソドックス(右構え)


ジェームス・キンチェン 10R 判定 オデル・ハドリー

(ミドル級戦、1982年)

「ミドル級のホープ⑦」ジェームス・キンチェン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:鍛えられた体で見た目がいかにも「黒人の強豪」といった感じだったキンチェン。テキサス州マッキニー出身。ニックネームは「The Heat」。アマチュアで活躍後、プロへ。デビュー以来、無敗で21勝(18KO)1分。WBCランク15位。年齢は25。ただ、相手は中堅どころばかりで、王座戦の経験はまだ無い。ハドリー(22歳)はニュージャージー州出身の黒人。身長が188cmもある。コチラもデビュー以来、無敗で12勝(9KO)1分。相手は中堅どころで、王座戦の経験はまだ無い。共通点が多い二人の勝負。ミズーリ州セント・ジョゼフでの一戦(ドン・キングの興行。会場ではキンチェンの父エルトン、ハドリーの両親が観戦)。アフロヘアー&ヒゲのキンチェン。胸の筋肉が鍛えられた感じでカッコいい。ハドリーは実にスリム。左のガードを下げた構えからジャブ、ストレートを飛ばす様はまるでウェルター級時代のヒットマン・ハーンズ。右ストレートにパワー。しかし、左フックの威力はそこそこ。ジャブ、ワンツーでアウトボクシング。キンチェンはパワフルなフックを振るうが、ハドリーの長身に苦戦。4R、ハドリーの左フックがヒット。その後も攻めるが、パンチが当たらないキンチェン。ジャブ、右カウンターのハドリー。互いにディフェンス。噛み合わない展開。キンチェンのボディ打ちがローブローになるシーンも(10Rほか)。10R終了。判定は3-0。キンチェンが攻める姿勢とパワーで勝利。右ストレートからの左ジャブといったテクニックも披露。判定のアナウンスを聞いて大喜びしていた。映像ではハドリーのアウトボクシングの方が良かったように見えたが、パンチが軽かったのかも。その後のハドリー。この敗北で自信を失ったのか、以後は勝ったり負けたり。マーク・ホームズ(ラリー・ホームズの弟)に敗れたのが事実上のラストファイトに。ハーンズのような活躍ができなかったのが惜しまれる。)

                                                 

ジェームス・キンチェン 10R 判定 ラルフ・モンクリーフ

(ミドル級戦、1982年)

「ミドル級のホープ⑦」ジェームス・キンチェン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

10R:左フックでモンクリーフがダウン

(感想:無敗のキンチェン。モンクリーフ(32歳)はオハイオ州クリーブランド出身の黒人。1972年デビューのベテラン。これまで19勝(12KO)6敗。対戦相手は中堅どころで、王座戦の経験は無い。アーニー・シングルタリー(後、IBF世界スーパーミドル級王座挑戦)とは一勝一敗。ニュージャージー州マカフィーでの一戦(リングアナはエド・デリアン)。スリムなボクサータイプのモンクリーフ。ジャブ、左フック、ワンツー。パワーはそこそこで、ディフェンスされてしまう。キンチェンはダッキングしながら力強いパンチ。しかし、フックを空振りするなど攻撃の正確さに欠ける。時折互いのパンチがヒットする展開で10R。フックを当てるキンチェン。モンクリーフは右ストレート。そして、左フックでモンクリーフがダウン。立ったが、KO負け寸前のピンチ。最終ラウンド終了。判定は3-0。キンチェンが攻撃力とディフェンスで勝利。しかし、攻めながらも判定までいったように、攻撃が雑なのが残念。モンクリーフは右ストレートは良かったが、全体的にパワー不足。その後もスンブ・カランベイ、マイク・マッカラムら実力者に敗北したが、マイケル・オラジデに勝利。ブランクを作りながら2000年まで戦った。)


エド・デリアン

「ミドル級のホープ⑦」ジェームス・キンチェン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

その後のキンチェン

後のIBF世界スーパーミドル級王者マレイ・サザーランドに勝利、全米ミドル級王座戦でアレックス・ラモスにKO勝ち。その次の試合でジェームス・シュラー(北米ミドル級王座戦)に判定負けで初黒星。バスター・ドレイトンに勝利、アイラン・バークレー、ファン・ドミンゴ・ロルダンに敗北。ラリー・マスグローブなる中堅選手にも敗北。


ジェームス・キンチェン 12R 判定 ティム・ウィリアムス

(カリフォルニア州ライトヘビー級王座決定戦、1988年)

「ミドル級のホープ⑦」ジェームス・キンチェン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

11R:右フックでウィリアムスがダウン

(感想:キンチェンがタイトル獲得。中堅どころには勝つが実力者同士の対戦では苦戦が続くキンチェン。調子が出ない状態だが、階級を上げてどんな動きを見せるか? ウィリアムスはサウスカロライナ出身の黒人。軍人としてアマチュアのリングに上がった過去。プロではロビー・シムズとドロー、アレックス・ラモスにTKO勝ち(カリフォルニア州ミドル級王座戦)。コチラも階級を上げての挑戦。カリフォルニア州サンディエゴでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。共に足でリズムを取りながらジャブ。ウィリアムスは右パンチにパワーを込めるタイプで、ワンツーなどを使う。キンチェンは意表を突くタイミングでストレート、フック。左フックをボディからアゴへ打ち込むコンビネーション。2R、キンチェンがフック連打。その後もディフェンスしながらパワーでキンチェンが攻める。11R、右フックでウィリアムスがダウン(手首の部分が当たったようなパンチ。カウントを取られるウィリアムスは不満の表情)。その後もキンチェンが攻める姿勢で12R終了。判定は3-0(TV映像では「2-0」とあった)。勝利したキンチェンだが、KOできず。力強いパンチを打つが、なぜか相手を倒せない。「追い込む攻め」ができていないのかも。ウィリアムスは右フックカウンターなどに良さがあったが、キンチェンにディフェンスされてしまった。その後のウィリアムス。カリフォルニア州ミドル級王座戦で勝利したり、ナイジェル・ベンにKO負けしたり。キンチェンとの再戦も3-0で敗北。ラストファイトは後のWBA世界スーパーミドル級王者フランク・ライルズにKO負け。一定の実力はあったが、トップには立てなかった。)


クリストフ・ティオーゾ 10R 判定 ジェームス・キンチェン

(スーパーミドル級戦、1989年)

「ミドル級のホープ⑦」ジェームス・キンチェン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ウィリアムス戦後、北米スーパーミドル級王座を獲得するなど連勝だったキンチェンだが、トーマス・ハーンズ戦(WBO世界スーパーミドル級初代王座決定戦)に敗北(ダウンを奪ったが、勝てず)。再起戦でティオーゾと勝負。ティオーゾはフランスの白人。ロサンゼルス・オリンピックではライトミドル級で銅メダル獲得。プロではこれまで全勝。フランスのイッシー・レ・ムリノーでの一戦。距離を取りながらジャブ連打、ワンツー、振りが少し大きめの左フックのティオーゾ。キンチェンは攻めの姿勢でストレート、フック。クレバーなティオーゾは打ち合いを避け、当てる巧さで勝負。パワーを込めるキンチェンは時折右パンチをヒットさせるが、攻めをかわされてジャブを食う。8R、ティオーゾの右カウンターがクリーンヒット。その後も同じような展開で10R終了。同時にティオーゾは両手を上げて勝利をアピール。判定は3-0。ティオーゾがジャブ、右カウンターで勝利。エキサイティングな試合ぶりではなかったが、フランス人らしいアウトボクシングだった。キンチェンはパワーがあるにもかかわらず、敗北。攻め方に問題があるようだ。その後の二人。ティオーゾは韓国の白仁鉄をKOしてWBA世界スーパーミドル級王者に。キンチェンはバージル・ヒルのWBA世界L・ヘビー級王座に挑戦して1RでTKO負け。チャールズ・ウィリアムスのIBF世界L・ヘビー級王座に挑戦して2RでTKO負け。チャンスに恵まれたが、世界王者にはなれなかった。) 

0 件のコメント:

コメントを投稿