2025年2月7日金曜日

「ミドル級のホープ⑥」ダグ・デウィット「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

80年代のミドル級。ホセ・キニョネス戦、ロビー・シムス戦(再戦)、ダン・シェリー戦を紹介します。


ダグ・デウィット(アメリカ)

身長175cm:オーソドックス(右構え)


ホセ・キニョネス 3R TKO ダグ・デウィット

(ミドル級戦、1987年)

「ミドル級のホープ⑥」ダグ・デウィット「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:右フックでデウィットがダウン

(感想:タフな白人ファイターだったデウィット。オハイオ州ヤングスタウン出身でニューヨーク育ち。ニックネームは「Cobra」。コブラのように鋭いパンチを打つから、ではなく、ヘビを飼うのが趣味だから、とのこと。「練習嫌い」という評判があるが、デビューから中堅どころを相手に良い戦績。しかし、ロビー・シムズ、ミルトン・マクローリー、トーマス・ハーンズに敗北。ただし、「判定負け」であり、KOはされていない。これまで27勝(17KO)4敗3分。キニョネス戦はハーンズに敗れた再起戦となる。キニョネスはプエルトリカン。22勝(17KO)6敗2分。フレッド・ハッチングス、スンブ・カランベイに敗北後、決定戦でWBC米大陸ミドル級王座獲得。TKOで王座陥落後、プエルトリコ王座獲得(ウェルター級)。判定で二連敗。そしてデウィット戦。連敗から抜け出すことができるかどうか、といったところ。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはフランク・カプチーノ)。共に25歳。速いジャブ。デウィットは左フックをダブルで打ち込むなど左パンチが武器。左右フックでボディを叩く巧さもある。キニョネスは右ストレートからの左フックなどをパワフルに振るう。接近戦。フックでの打ち合い。共に思い切りがいい打ち方のためスリリングな雰囲気。2Rに右ボディからの右アッパーを見せたデウィットだが、3Rに悲劇。強烈な右フックをカウンター気味に食らってダウン。立ったが、レフェリーストップ。タフガイのデウィットがワンパンチKO負け。なかなか強烈で、タイミングのいいパンチだった。キニョネスは思い切った打ち方をしており、勝つチャンスはあった。その後のキニョネス。連勝後、マイク・ティンレイに敗北。最後はスラニ・マリンガ、ナイジェル・ベンらに四連続KO負けで引退。良いパンチを打つ男だったが、ミドル級は実に競争が厳しい。)  


ダグ・デウィット 12R 判定 ロビー・シムス

(WBO世界ミドル級王座決定戦、1989年)

「ミドル級のホープ⑥」ダグ・デウィット「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:デウィットがタイトル獲得。キニョネス戦後、トニー・ソーントンに勝利して全米ミドル級王座を獲得したデウィット。しかし、スンブ・カランベイにKOされてWBA世界ミドル級王座奪取ならず。その再起戦でWBO王座の初代王者決定戦に出場。当時、WBOは設立されたばかり。「王座の権威」など無い状況。「世界王座戦」ではあるが「サバイバル戦」のような雰囲気。シムスは黒人スイッチヒッター(両構え)で、29勝(21KO)5敗2分。兄はあのマービン・ハグラー。セコンドにはペトロネリ兄弟。実力はあるが、兄ほどのパワー、タフネスは無い。デウィット戦はカランベイとのWBA王座決定戦に敗れた再起戦となる。また、デウィットには過去に3-0で勝利しており、兄マービンのように世界王者になるチャンスがある。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはジョー・コルテス)。ダッキングしながら伸びのある右ジャブ、左ストレートのシムス。デウィットはジャブ連打、右ストレート。接近戦では互いにボディ打ち。シムスはフックを当てる巧さがあるが、中途半端に足を使って距離を取ったりする消極さ、慎重さがある。デウィットは接近してフック連打、得意の左右フックボディ打ち。3R、連打で攻めるデウィット。その後も打ち合い。互いのパンチがヒットし、リングサイドのハグラーは弟を熱く応援。しかしながら、手数でデウィット。12R終了。判定は3-0。デウィットが積極さで勝利。実力的には互角だったが、シムスは消極さで負けた。ボクシングはケンカではないが、「闘争心に欠ける選手」はトップには立てない。シムスは結局、世界王者にはなれなかった。) 


ダグ・デウィット 10R 判定 ダン・シェリー

(スーパーミドル級戦、1992年)

「ミドル級のホープ⑥」ダグ・デウィット「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マシュー・ヒルトン(カナダ。元IBF世界J・ミドル級王者)をTKOで下してWBO王座の初防衛に成功したデウィット。しかし、次の相手は強烈。英国期待の「ダーク・デストロイヤー」ナイジェル・ベンにKO負け。ブランク後、カムバック。タイロン・フレージャーとの再起戦はドロー。そして、この試合。これまで32勝(19KO)7敗5分。シェリーはカナダ・オンタリオ出身で、18勝(8KO)3敗。主戦場はアメリカ。中堅どころを相手に連勝し、カナダ王座(ミドル級)獲得。全勝のままクリス・ユーバンクのWBO世界ミドル級王座に挑戦したが、妙な負け方(反則勝ちを狙って失敗した、という説が濃厚)。オーティス・グラント、ナイジェル・ベンに連敗して、このデウィット戦。バージニア州モンティチェロでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはアーサー・マーカンテ・ジュニア。デウィットのセコンドにあのエミール・グリフィス)。まるでモデルのような端正な顔のシェリー。足で相手から距離を取りながらジャブ、右ストレート。接近戦ではフック連打。打ち終わったらまた距離を取ったり、クリンチしたりでデウィットの反撃を阻止。デウィットは左のテクニックを使って前進するが、相手のスタイルを崩せない。噛み合わない展開が続く。10R、シェリーがスリップダウン(フットワークの使いすぎ)。10R終了、判定は2-1。攻める姿勢でデウィットが勝利。得意の左フック、右アッパーが時折ヒットしていた。シェリーは微妙。「打たせずに打つ」を実行したつもりなのだろうが、プロとして必要なファイティングスピリットに欠けていた。その後の二人。シェリーはビンセント・ペットウェイ(全米J・ミドル級王座戦)、ビニー・パジェンザ(IBOスーパーミドル級王座戦)に敗れ、引退。チャンスを多くもらったが、生かせなかった。デウィットは次の試合でジェームズ・トニーに敗れ、引退。タフネス、ボディ打ちなどに良さがあったが、本物のトップクラスには敵わず。WBO王座を獲れただけでも良かったのではないだろうか?) 

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