2025年2月6日木曜日

「ミドル級のホープ⑤」ロビー・シムス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

80年代のミドル級。トニー・チャベリーニ戦、マイク・ティンレイ戦(再戦)、デニス・ミルトン戦を紹介します。


ロビー・シムス(アメリカ)

身長178cm:スイッチヒッター(両構え)


ロビー・シムス 5R TKO トニー・チャベリーニ

(ミドル級戦、1983年)

「ミドル級のホープ⑤」ロビー・シムス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:黒人ボクサー、シムス。兄はあのマービン・ハグラー(親が離婚したため兄弟で名前が違う。シムスは母親の姓)。ニュージャージー州出身だが、マサチューセッツ州に移住。ペトロネリ兄弟のサポートを受け、兄マービンと共にトレーニング。アマチュアからプロへ。これまで15勝(12KO)2敗1分。デビューから連勝。強打のタフ男ジェームス・グリーンに勝利したが、ボビー・チェズ、クリント・ジャクソンに敗北。マレイ・サザーランドと引き分けて、このチャベリーニ戦。チャベリーニはミズーリ州カンザスシティの白人サウスポー。39勝(26KO)7敗3分。中堅どころに勝利してきたが、ベニー・ブリスコ、シュガー・レイ・レナード、ウィルフレド・ベニテスに敗北。このところ勝ったり負けたり。ミドル級にしては身長が低め(173cm)。マサチューセッツ州ウースターでの一戦。共にサウスポー。シムスはフットワークを使いながらワンツー、フック。チャベリーニは右ジャブを使いながら前に出て左パンチ(ストレート、フック)を狙う。接近戦では互いにフック、ボディ打ち。シムスがディフェンスと正確なパンチで優勢。チャベリーニは悪い選手ではないが、動きの機敏さに欠けて打たれる。5R、反撃に出るチャベリーニ。しかし、逆に打たれてレフェリーストップ。シムスが攻撃の正確さで勝利。ただ、兄貴とは違って「豪打」の持ち主ではない。チャベリーニは頑張ったが、そこまで。これが最後の試合に。)


マイク・ティンレイ 10R 判定 ロビー・シムス

(ミドル級戦、1984年)

「ミドル級のホープ⑤」ロビー・シムス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:チャベリーニ戦の次の試合でティンレイに2-1で敗れたシムス。続くテディ・マン戦では2-1で勝利したが、ダウンを食うピンチに。後の三階級王者アイラン・バークレーにTKO勝利。ローカル王座獲得。そしてティンレイと再戦。ティンレイはニュージャージー州出身の黒人。中堅どころと戦ってきた。これまで16勝(6KO)2敗1分で、TKO負けが一つある。シムスに勝利後、ダグ・デウィット(後、WBO世界ミドル級王者に)に敗北、ローカル王座獲得。どんな動きを見せるか? アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはトニー・ペレス)。共に24歳。手数が多いティンレイ。左を細かく出して右ストレート。シムスは足で距離を取って右カウンター狙い。接近戦ではフックの打ち合い。積極的に先手を取るティンレイ。ストレート、フック。当てるテクニックもある。シムスは当てる巧さ、ディフェンスのテクニック。しかし残念なことにパワー不足で、受け身。時折、中途半端にオーソドックスにスイッチ。10R終了。両手を上げて勝利を確信している様子のティンレイ。判定は3-0。ティンレイが積極さで勝利。シムスはタフネス、パワーに不安があるためか、控えめなところがある。それが結果となって表れた。その後のティンレイ。アイラン・バークレーに2-1で敗北(WBC米大陸ミドル級王座戦)、マイケル・ナンに3-0の敗北。最後はトニー・ソーントンに3-0で敗北(全米ミドル級王座戦)で引退。実力者相手にタフなところを見せたが、大きな王座は獲れなかった。)


デニス・ミルトン 10R 判定 ロビー・シムス

(ミドル級戦、1989年)

「ミドル級のホープ⑤」ロビー・シムス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ティンレイ戦後、ダグ・デウィット、ジョン・コリンズ(全米ミドル級王座戦)、ロベルト・デュランに勝利したシムス。しかし、スンブ・カランベイ(WBA世界ミドル級王座決定戦)、デウィット(再戦。WBO世界ミドル級王座決定戦)に二連敗。一定の実力はあるが、不安定なキャリア。そんな状況で新鋭ミルトンと勝負。ミルトンはニューヨーク・ブロンクスの黒人。ニックネームは「マジシャン」(手品の仕事もやっているらしい)。アマチュアで好成績。プロでは中堅どころだが、後の世界王者ジェラルド・マクラレンを破って浮上。その次の試合でシムスと対戦。アトランチックシティでの一戦(ボブ・アラム「トップランク・ボクシング」。レフェリーはルディ・バトル)。距離を取ってジャブを打つミルトン。シムスはジャブ、ストレートで追う。接近戦では互いにフック。ミルトンは打つときはまとめて連打するタイプ(ワンツーからの左フック、ほか)。手数を出すが、「一発のパワー」はそこそこ。シムスはいつものように隙を狙うボクシングだが、相手の手数に押される。また、連打を仕掛けるシーンもあるが、クリンチで阻止されてしまう。時折、左フックを当てるミルトン。右カウンター、右ストレートからの左ジャブといったテクニックも披露。10R終了。判定は3-0。ミルトンが連打で勝利。ただ、ガチャガチャした連打は「数打ちゃ当たる」といった感じのもので、洗練されたボクシングではなかった印象。シムスは「激しさ」に欠ける短所が出た形。その後の二人。勢いに乗るミルトン。次の試合でマイケル・オラジデに勝利。そして待望の世界挑戦。しかし、WBC世界ミドル級王者ジュリアン・ジャクソンに何と1RでKO負け。続くバーナード・ホプキンス戦、ブランク後のアーロン・デービス戦にも敗れて三連敗で引退。シムスはイギリス期待の「ダーク・デストロイヤー」ナイジェル・ベンにKO負け。結局、世界王者になれず。素質的には世界を獲ってもおかしくない実力を持っていたが、相手が強かったり、試合運びに難があったり。兄ほどの強さがなかったのが残念。)

 

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