2025年2月5日水曜日

「ミドル級のホープ④」アレックス・ラモス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

80年代のミドル級。ダン・スナイダー戦、ウェイン・カプレット戦、ジョン・コリンズ戦を紹介します。


アレックス・ラモス(アメリカ)

身長178cm:オーソドックス(右構え)


アレックス・ラモス 6R 判定 ダン・スナイダー

(ミドル級戦、1981年)

「ミドル級のホープ④」アレックス・ラモス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ラモス(20歳)はニューヨーク・マンハッタン出身。そのためニックネームは「Bronx Bomber(ブロンクスの爆撃機)」。元ボクサーの父の指導。アマチュアで活躍。ところが1980年のモスクワ・オリンピックをアメリカがボイコットし、プロ入り。これまで五連勝(5KO)。ボブ・アラム「トップランク」に期待されている。スナイダー(27歳)はペンシルベニアの白人サウスポー。ニックネームは「ダンシング」。12勝(6KO)13敗。デビュー当初はまずまずだったが、カーチス・パーカー、バスター・ドレイトンといった実力者には敵わないレベル。ニューヨーク州シラキュースでの一戦(この日のメインはWBC世界ウェルター級タイトル戦「シュガー・レイ・レナード vs. ラリー・ボンズ」。TV解説席にマービン・ハグラー。ラモスのセコンドにルー・デュバ)。左右の構えの違いはあるが、共に慎重な姿勢で距離を取ってジャブ、ストレート。ラモスがディフェンスしながら正確なパンチ。スナイダーは受け身の姿勢で、自分から試合の流れを作るような動きではない。6R終了。判定は3-0。ラモスが丁寧な試合ぶりで勝利。相手を制圧するような激しさに欠けた(未来を暗示するかのような試合運び)。スナイダーはその後、ボビー・チェズらを相手に全敗でキャリア終了。)


アレックス・ラモス 5R TKO ウェイン・カプレット

(ミドル級戦、1982年)

「ミドル級のホープ④」アレックス・ラモス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フックでカプレットがダウン

3R:左フックでカプレットがダウン

5R:右ストレートでカプレットがダウン

(感想:連勝のラモス(トレーナーとしてジョージ・ベントンが指導)。カプレットはカナダの白人。地元で連勝、ローカル王座獲得、二度の判定負け、といった実績。どんな選手なのか? アトランチックシティでの一戦(レフェリーはジョー・コルテス)。ガッチリした体格のカプレット。足でリズムを取ってジャブを連打するなど動きと体型がJ・ウェルター時代のフリオ・セサール・チャベスに似ている。互いにジャブ、ストレート。ジャブが正確なラモス。カプレットも左フック、ボディ連打からのジャブなどバランスのいいところを見せる。2R、定評のあるラモスの左フックでカプレットがダウン。立ったカプレットは左フックで反撃。3R、右ストレートからの左フックでカプレットがダウン。ゴングに救われる。その後もラモスは左ボディ打ちなどセンスのいいパンチ。5R、右ストレートでカプレットがダウン。立ったが、レフェリーストップ。ラモスが良い勝ち方。パンチの正確さにパワーが乗っていた印象。カプレットはタフそうだったが、上手く隙を突かれた。その後もカプレットはカナダで中堅どころに勝利。しかし、デンマークでアユブ・カルレに敗北。最後はマイケル・オラジデ、バージル・ヒルに連敗して引退。)


その後のラモス 

カプレット戦の次の試合でテッド・サンダース(当時、JBウィリアムソン、マーク・ホームズらに連敗中だった)なる中堅どころにTKO負け、初黒星。JBウィリアムソン(後、WBC世界L・ヘビー級王座獲得)に勝利したが、マレイ・サザーランド(後、IBF世界スーパーミドル級王座獲得)に敗北。カーチス・パーカーに勝利して全米ミドル級王座獲得。その次の試合でジョン・コリンズと対戦。


アレックス・ラモス 10R 引分 ジョン・コリンズ

(ミドル級戦、1984年)

「ミドル級のホープ④」アレックス・ラモス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:右フックでラモスがダウン

(感想:これまで21勝(13KO)2敗1分のラモス(23歳)。コリンズ(24歳)はイリノイ州シカゴの白人。アマチュアで活躍。プロではデビューから連勝。あのオスカー・ショットガン・アルバラードに勝利したり、イリノイ州王座(ミドル級)を獲得したり。トニー・シブソンにTKO負けで初黒星。ラモス戦は再起三戦目で、31勝(27KO)1敗。シカゴでの一戦。バグパイプ奏者に先導されてコリンズ入場。セコンドはグリーンのユニフォーム(どうやらコリンズはアイルランド系らしい)。ゴング。共に正統派。ジャブ、ストレート、接近戦ではフック。互いにディフェンス。斜め上からの右フックを狙うなど器用さではラモスが上。コリンズは正統派すぎるうえ、ややコンビネーションにぎこちなさ。しかし3R。右フックがカウンター気味に入ってラモスがダウン。これがかなり効いたらしく、ラモスはその後、苦戦。4Rには右フックで反撃したものの、攻めてはクリンチ。コリンズもワンツー、左フックを振るうが、疲れが出てきてクリンチ。8R、左フックが効いたコリンズにラモスが猛然と右アッパーなどを交えた連打。その後も当てる巧さでラモス。10R終了。判定はドロー。当てるテクニックでラモスが勝ったように見えたが、シカゴはコリンズの本拠地であるうえにダウンがあった。クリンチも頻繁だったため、ドローはやむを得ない、といったところか。その後の二人。コリンズはマーク・ホームズ(ラリー・ホームズの弟)に勝利して全米ミドル級王座獲得。しかし、ロビー・シムズ(マービン・ハグラーの弟)にKOされて王座陥落。それが最後の試合に。ラモスは次の試合でジェームズ・キンチェンにKOされて全米王座陥落。カーチス・パーカー、マイケル・ナンらに敗れて世界挑戦は無し。良い選手だったが、プロらしい激しさに欠いていたのが惜しかった。)

 

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