80年代のミドル級。ウィルフォード・サイピオン戦、カーティス・ラムジー戦、ファン・ドミンゴ・ロルダン戦を紹介します。「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」
フランク・フレッチャー(アメリカ)
身長170cm:サウスポー
①ウィルフォード・サイピオン 12R 判定 フランク・フレッチャー
(全米ミドル級タイトル戦、1983年)
(感想:サイピオンがタイトル獲得。これまで16勝(11KO)2敗2分のフレッチャー(28歳)。順調に王座を防衛。これが五度目の防衛戦。挑戦者サイピオン(24歳、25勝(20KO)3敗)はテキサス出身の黒人。アマチュアで好成績。プロ入りして連戦連勝だったが、対戦相手が死亡したり、ムスタファ・ハムショにヘンな負け方をしたり。カーチス・パーカーを破って浮上。しかし、ドワイト・デイビソン、ジェームズ・グリーンに敗れてしまう。このところ四連勝でフレッチャーに挑戦。アトランチックシティでの一戦(リングアナはエド・デリアン。会場ではフレッチャーの母ルシルが観戦)。いつものようにサウスポーのハグラースタイルで攻めるフレッチャー。右ジャブ、左ストレート、接近してフック。サイピオンは左ジャブ、右ストレート、フック、右アッパーで迎え撃つ。接近戦。フックでの打ち合い。パワーで若干、サイピオンが上回るが、フレッチャーは手数を出していく。5R、サイピオンがパワフルな攻め。当てる巧さもある。打撃戦が続くが、終盤はさすがにサイピオンに疲れ。パンチを打ってはクリンチ。12R終了。両手を上げて勝利を確信している様子のサイピオン。判定は3-0。サイピオンがパワーで勝利。フレッチャーは最後まで攻めるなどスタミナのあるところを見せたが、及ばず。元々、体格的に大きくないうえ、パワー不足。「ハグラー挑戦」目前でチャンスを失った。勝ったサイピオンはフレッチャーに代わって世界ミドル級王者マービン・ハグラーに挑戦。しかし、KO負け。その後はアイラン・バークレーにKOされるなど勝ったり負けたりに。)
②フランク・フレッチャー 8R TKO カーティス・ラムジー
(ミドル級戦、1983年)
(ダウンシーン)
8R:右フックでラムジーがダウン
(感想:フレッチャーの再起戦。ラムジー(24歳)はオレゴン州の黒人で、ニックネームは「Razor(カミソリ)」。これまで23勝(14KO)15敗5分。元々はライト級で、ロドルフォ・ガト・ゴンザレス、アンディ・ガニガンといった選手にKO負け、ドナルド・カリーに判定負け。ジョン・ムガビには1Rで倒されている。アトランチックシティでの一戦。相変わらず威勢がいいフレッチャー。攻めの姿勢で大きく右フックなどを振るう。ラムジーは距離を取りながらジャブ、ストレート。パワーはそこそこ。接近戦。互いにフック、ボディ打ち。ラムジーはディフェンスしながら慎重な態度。フレッチャーは精力的に攻撃。4Rにはパワーを込めすぎて左フックを空振りして転倒。8R、追い込まれるラムジー。右フックでついにダウン。立ったが、攻められてギブアップ。フレッチャーが再起に成功。「勝てる相手」だったが、ファイティングスピリット、フックの巧さが健在なところを見せた。ラムジーは引いたところがあり、勝てるような試合ぶりではなかった印象。その後、ラムジーはフレッド・ハッチングス、ロビー・シムズに敗北。ラストファイトはジュリアン・ジャクソンとのWBC米大陸J・ミドル級タイトル戦で、TKO負け。多くの敗北を喫したが、当時のホープ(後に世界王者になる選手も)と対戦できた。)
③ファン・ドミンゴ・ロルダン 6R KO フランク・フレッチャー
(ミドル級戦、1983年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでフレッチャーがダウン
6R:右フックでフレッチャーがダウン
(感想:ロルダンはアルゼンチンの強打者。ガッチリした身体で、タフ。アルゼンチン王座、南米王座(いずれもミドル級)を獲得。地元での試合が多いが、アメリカでも勝利。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(レフェリーはカルロス・パディーリャ。この日のメインは「ラリー・ホームズ vs. マービス・フレージャー」のヘビー級戦)。1R開始から仕掛けるロルダン。ワンツー、フックを思い切った打ち方でブチかましていく。フレッチャーは応戦するが、早くもダウン。その後も腕力とタフネスにまかせてロルダンが強引な攻撃。フレッチャーは押され気味で、3Rにはロープ外に身体が出てしまうハプニング。6R、アッパー気味の右フックが効いたフレッチャー。強烈な右フックで前のめりにダウン。立てず、KO。「ボクシングの恐ろしさ」が感じられた試合。ロルダンのハンマーのようなパンチがマトモにヒット。ミドル級にしては体格的に大きくないフレッチャーは大きなダメージを負った。その後の二人。ロルダンは次の試合でマービン・ハグラーの世界ミドル級王座に挑戦してダウンを奪う健闘を見せたが、KO負け。トーマス・ハーンズ、マイケル・ナンにもKOされて世界王座獲得ならず。フレッチャーは再起戦に勝利したが、ジョン・ムガビ、カーチス・パーカーに敗れて引退。J・ミドルなら世界王者になれたかもしれないが、当時のミドル級は「ハグラー」という厚い壁によって競争はあまりにも熾烈だった。)
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