80年代のミドル級。ノーベルト・サバター戦、アーニー・シングルタリー戦、トニー・ブラクストン戦(三戦目)を紹介します。
フランク・フレッチャー(アメリカ)
身長170cm:サウスポー
①フランク・フレッチャー 10R 判定 ノーベルト・サバター
(全米ミドル級王座決定戦、1981年)
(感想:フレッチャーがタイトル獲得。フィラデルフィア出身の黒人フレッチャー(伯父(または叔父)、兄弟もボクサーの「ボクシング一族」)。マービン・ハグラーがミドル級の「絶対王者」だった頃の選手。ハグラーと同じサウスポーだが、身長は大きくない。ニックネームは「アニマル」。精力的な戦いぶりだが、荒々しさよりもテクニックと連打で勝負。デビュー当初に判定負け。パワーファイターのウィリアム・ケイブマン・リーにTKO勝ち。これまで11勝(9KO)2敗1分。これが初のタイトル戦。サバターはプエルトリカン。主戦場はニューヨーク。デビューから全勝。コチラもまた初の王座戦。アトランチックシティでの一戦(リングアナはエド・デリアン。会場ではフレッチャーの母ルシル、サバターの妻(?)ジュディが観戦。ルシルが息子の試合を熱く応援する姿はおなじみの光景)。ジャブを使いながら前進するフレッチャー。左ストレート、接近して左右フック攻撃。サバターは足を使って距離を取りたいらしく、ジャブ、右ストレート。接近戦。互いにフック、ボディ打ち。ディフェンスしながらフレッチャーが相手の隙を突くパンチ。サバターのパンチがヒットするシーンもあるが、ひるまず攻撃。打ち合いが続く。フレッチャーは斜め下からのフックが効果的であるが、右目が腫れていく(目が腫れやすい弱点)。攻めるフレッチャー、応戦するサバター、のパターンで10R終了。判定は3-0。フレッチャーがジョー・フレージャーばりのフック攻撃で勝利。ただ、目が腫れやすいのが気になる。サバターは右ストレートに良さがあったが、押され気味だった。その後、サバターはアレックス・ラモス、デビッド・ブラクストン、ジェームス・シュラー、アイラン・バークレーといった当時のホープに敗北するなど勝ったり負けたりに。)
②フランク・フレッチャー 8R TKO アーニー・シングルタリー
(全米ミドル級タイトル戦、1981年)
(感想:フレッチャーがタイトル初防衛。挑戦者シングルタリーはサウスカロライナ州レイクシティ出身の黒人。これまで24勝(7KO)2敗。相手は中堅どころが多く、直前の試合は前世界ミドル級王者アラン・ミンターが相手で、英国で判定負け(ミンターはそれがプロ最後の勝利となった)。アトランチックシティでの一戦(リングアナはエド・デリアン)。左右の構えの違いはあるが、似たタイプ。ジャブ、ストレート、接近戦でフック。1Rから打ち合い。互いのパンチが当たるが、フックを接近戦で当てる巧さはフレッチャーが若干、上か? 右目が腫れていくシングルタリー。7R終了後にドクターストップ。フレッチャーがねちっこい接近戦を仕掛けて勝利。目が腫れることが多いフレッチャーだが、右目が少し塞がっていた。一方、よく頑張ったが敗北のシングルタリー。次の試合でトーマス・ハーンズに判定負け。ラストファイトはIBF世界スーパーミドル級初代王座決定戦。マレイ・サザーランドに判定負けだった。)
③フランク・フレッチャー 12R 判定 トニー・ブラクストン
(全米ミドル級タイトル戦、1982年)
(感想:フレッチャーがタイトル防衛。二度目の防衛戦は因縁の相手。挑戦者ブラクストンはバージニア州ヒースビル出身の黒人。あのドワイト・ムハマド・カウイの弟で、デビュー当初にフレッチャーと二度戦い、一勝一分。実力者クリント・ジャクソンにも勝利している。アトランチックシティでの一戦(レフェリーはトニー・ペレス。ブラクストンのセコンドにルー・デュバ)。左右の構えの違いはあるが、共に足のスタンスを広く取ってジャブ、ストレート。ブラクストンはずんぐりした兄ドワイトとは違ってスリムな体型。しかし、バタついた動き。バランスに問題があり、攻撃と防御が分離。そのため攻められるとディフェンス一辺倒。しかも、右フックの振りが大きいなど攻撃の正確さに欠く。フレッチャーはハグラーに似た動き。フットワークを使いながらテンポ良くストレート、フック、ボディ打ち。しかし9R。ブラクストンのワンツー、左フックがヒットしてフレッチャーがピンチ。何とか反撃。その後も攻撃の正確さ、テンポの良さで全体的にフレッチャーが試合をリードしたまま12R終了。判定は3-0。ブラクストンが残念だった試合。フレッチャーもハグラーを意識したような動きだったが、ハグラーほどのパワーは無し。その後の二人。ブラクストンはアーニー・シングルタリー、カーチス・パーカーに連敗して引退。兄のように世界王者になることはできなかった。フレッチャーはクリント・ジャクソン、ジェームズ・グリーンを相手にさらに二度の防衛。世界挑戦の資格は十分、といった状況だったが・・・。)
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