アリのようなタイプ。アベリー・ロウルズ戦、ジョニー・デュプロイ戦、ゲーリー・メイソン戦を紹介します。
ジェームス・ティリス(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)
①ジェームス・ティリス 10R 引分 アベリー・ロウルズ
(ヘビー級戦、1986年)
(感想:ティリスはオクラホマ出身の黒人。体を鍛えるためボクシングを始めたらしい。アマチュアで好成績(後のWBA王者ジョン・テート、グレグ・ペイジには敗北)。プロ入り。「クイック」と呼ばれるようになったが、それは早い回でのKO勝ちが多かったため。しかし、ボクサータイプであり、倒しに行くような戦いぶりではない(晩年のモハメド・アリみたいなタイプ)。それが災いしてマイク・ウィーバーのWBA王座に挑戦したときは判定負けに終わった(初黒星)。古豪アーニー・シェイバースには勝てたが、ピンクロン・トーマス、グレグ・ペイジ、ティム・ウィザスプーン、カール・ウィリアムス、マービス・フレージャー、ゲリー・コーツィー、タイレル・ビッグスといった当時のライバルにも敗北。新鋭マイク・タイソンにも敗れたが、KO負けは免れた(タイソンの連続KO記録をストップさせた)。中堅どころに二連勝して、このロウルズ戦。ロウルズはテキサス出身の黒人。デビューから連勝。マイク・ハンター(後、全米王者に)に判定で初黒星。負けはそれのみ。ラスベガスでの一戦(レフェリーはリチャード・スティール)。金色トランクスのロウルズ。派手なトランクスに負けないほど精力的な攻め。ジャブ、ストレートで接近してボディ打ち。ティリスはジャブ、ワンツー、フックで応戦。接近戦が続く。ボディ攻めのロウルズ、連打で反撃のティリス。そのパターンが続き、判定へ。結果はドロー。ロウルズはよく攻めたが、ティリスを崩せず。ティリスもまた相手を倒すようなパンチは無し。引き分けが妥当か? その後、ロウルズはオーリン・ノリス、強打者マーク・ウィリスに敗北して引退。力強いボディ攻撃に良さがあったが、ヘビー級は競争が厳しい。上に行くにはもう少しパワーが必要だった。)
②ジョニー・デュプロイ 10R TKO ジェームス・ティリス
(ヘビー級戦、1987年)
(ダウンシーン)
10R:右ストレートでティリスがダウン
(感想:ロウルズ戦後のティリス。マイク・ウィリアムス(後、『ロッキー5/最後のドラマ』に出演)、フランク・ブルーノに敗北。パンチが軽いボクシングが原因か? デュプロイは南アフリカ期待の白人で、これまで全勝。直前の試合ではデビッド・ベイ(ラリー・ホームズのIBF王座に挑戦したことがある)にKO勝ち。南アフリカ・ヨハネスブルグでの一戦(レフェリーはスタンリー・クリストドーロー)。アリっぽいボクシングのティリス。ジャブ、ワンツー、左フック。「当てるような手打ちパンチ」で威力無し。デュプロイはパワーを込めて前進。右ストレート、接近戦では連打。7Rには左フックからの右ストレートでティリスをグラつかせる。10R、右ストレートでティリスが間を置いてダウン。立ったが、猛打を浴びてレフェリーストップ。デュプロイが連勝の勢いで快勝。ティリスはヘビー級らしくない軽い打ち方。当てる巧さはあったが。その後のデュプロイ。マイク・ウィーバー(元WBA王者)に敗北、初黒星。しかし、KOで雪辱。レナルド・スナイプスにTKO負け。フランチェスコ・ダミアニと新設のWBO王座決定戦を行ったが、KO負け。パワーはあったが、トップには立てなかった。)
③ゲーリー・メイソン 5R TKO ジェームス・ティリス
(ヘビー級戦、1988年)
(感想:デュプロイ戦後のティリス。統一世界クルーザー級王者イベンダー・ホリフィールドの「ヘビー級転向一戦目」の相手を務め、5RでTKO負け。その再起戦で危険な英国の強打者と対戦。メイソンはジャマイカ出身ながら英国籍でリングに上がる黒人。「KOマシーン」といった感じの快進撃で、これまで全勝。経験のあるティリスを倒して、さらなる上昇を狙う状況。ロンドン・サザークでの一戦(TV解説席にはメイソンのライバル、フランク・ブルーノ)。例によってフットワーク&ジャブのティリス。ディフェンスしながら時折右ストレートを突き刺すように出す。メイソンはモコモコした筋肉質の身体からジャブ、ストレート、フックで攻める。接近戦。互いにパンチを当てる巧さがあるが、パワーでメイソンが優勢か? ラウンド終了後にもパンチを出すなどティリスに問題行為。レフェリーから両者に「クリーンファイト」を呼びかける警告。そして5R、攻めるメイソン。ティリスがクリンチ中にラフ行為。レフェリーはメイソンの手を上げた。ティリスが反則負け。しかし、公式記録には「TKO」とある。どうやら「反則行為」を「戦意喪失・試合放棄」と見なしたらしい(英国ルール?)。ティリスが残念な負け方。相手の強打に焦ったか? メイソンはやや動きが固かった。もう少し柔軟なコンビネーションができればよかったと思うが・・・。その後の二人。メイソンは勝ち続けたが、網膜剥離。引退を考えたこともあったが、カムバック。しかし、レノックス・ルイスに敗れて世界挑戦ならず。ティリスはその後もリングへ。アディルソン・ロドリゲス、トミー・モリソンといった次世代の選手に敗北。ブランクを作りながら2001年まで戦った。世界王者にはなれなかったが、有名選手と多くの試合。勝っても負けてもリングに上がるのが好きだったのだろう。)
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