2025年2月20日木曜日

「世界を目指したヘビー級③」ジョー・バグナー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

タフな白人。ブライアン・ロンドン戦、カール・ジジ戦、リチャード・ダン戦、ジョン・ディノ・デニス戦を紹介します。


ジョー・バグナー(イギリス)

身長193cm:オーソドックス(右構え)


ジョー・バグナー 5R TKO ブライアン・ロンドン

(ヘビー級戦、1970年)

「世界を目指したヘビー級③」ジョー・バグナー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:バグナーはハンガリー出身。ソ連の侵攻により祖国から脱出し、家族と共に英国へ移住。アマチュアを少し経験してプロへ。1967年のプロデビュー戦はKO負け。その後、中堅どころを相手に概ね好調。ロンドンは英国ハートルプール出身の白人。本名は「ブライアン・シドニー・ハーパー」。1955年デビューのベテラン。デビューから連勝、実力者ヘンリー・クーパーに敗北(初黒星)。英国王座&英連邦王座を獲得したが、またしてもクーパーに敗北(王座陥落)。その再起戦でフロイド・パターソンの世界ヘビー級王座に挑戦したが、KO負け。エディ・マッチェン、インゲマル・ヨハンソン、モハメド・アリ(世界ヘビー級王座戦)に敗北。このところ連敗中で、直前の試合ではジェリー・クォーリーにKO負け。英国ウェンブリーでの一戦。相手から距離を取りながらジャブを出すバグナー。接近戦ではワンツー、フック連打。相手の様子をチェックしながら、やや受け身の試合ぶり。ロンドンはジャブを使って前進し、ジャブ、ストレート連打。右ストレートからの左ジャブといったテクニックも使用。しかしながら、攻めるときのディフェンスに甘さ。接近するロンドン、応戦するバグナー。5R、バグナーが攻勢。左右フック連打。ロンドンはコーナーに追い込まれ、手が出なくなったところでレフェリーストップ。バグナーがジャブを基本としながら最後は連打で勝利。ワンツー、フックの打ち方が良かった。ロンドンは頑張るタイプだが、バタバタした攻め。これが最後の試合に。)


ジョー・バグナー 10R 判定 カール・ジジ

(ヘビー級戦、1971年)

「世界を目指したヘビー級③」ジョー・バグナー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ロンドン戦後、連勝のバグナー。ジジはウェールズ出身の白人。デビューから連勝。ローカル王座獲得。判定で初黒星。次第に勝ったり負けたりに。ジャック・ボーデルとの英国王座決定戦に判定負けするなどこのところ負けが込んでいる状況。英国ケンジントンでの一戦。似たタイプの両者。ジャブ、ストレート、フック。ボクサータイプのジジは打ち合いは避けたいらしく、足を使って距離を取ったり、クリンチしたり。攻めるバグナーがワンツー、フック、左ボディ打ちで優勢。しかし、ジジのクリンチにイラついてラフ行為。レフェリーから注意を受ける(4R)。全般的にバグナーが押し気味で10R終了。判定はPTS。ラウンド終了後にレフェリーはバグナーの手を上げた。バグナーが攻めの姿勢で勝利。ただ、相手のクリンチを崩せず。ジジはどうやらピークを過ぎていたらしく、その後、リチャード・ダンらを相手に三連続判定負けで引退。英国のローカル選手としてキャリアを終えた。)


その後のバグナー 

ヘンリー・クーパーから英国王座、英連邦王座、欧州王座を奪取。しかし、ジャック・ボーデルに敗れ、王座陥落。中堅相手に連勝後、モハメド・アリ、ジョー・フレージャーと二連戦。いずれも判定で敗れたが、タフさを証明。ジミー・エリスに勝利、欧州王座奪回。アリとの再戦(世界ヘビー級王座戦)はまたしても判定負け。その再起戦で英国王座、英連邦王座、欧州王座を懸けてリチャード・ダンと勝負。


ジョー・バグナー 1R KO リチャード・ダン

(英国、英連邦、欧州ヘビー級タイトル戦、1975年)

「世界を目指したヘビー級③」ジョー・バグナー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右ストレート、ワンツー、右フックで3度、ダンがダウン

(感想:バグナーがタイトル奪回。ダンはヨークシャー出身の白人サウスポー。英国の中堅どころを相手に試合をしてきたが、取りこぼしも。ジミー・ヤングに判定負け。「負けて強くなるタイプ」なのか、英国、英連邦王座、次いで欧州王座獲得。「ヨーロッパ代表」といったポジションでモハメド・アリの世界ヘビー級王座に挑戦したが、KO負け。バグナー戦はその再起戦となる。アリに敗れた者同士の対戦。どんな内容となるか? 英国ウェンブリーでの一戦。開始から仕掛けるバグナー。強烈な右ストレートでダンがダウン。立ったダンは右ジャブで対抗するが、バグナーは右ストレート、左フックで攻撃。ワンツーで二度目のダウン。今度も立ったダンだが、左フックからの右フックを食らって三度目のダウン、KO。バグナーが圧勝。真っ直ぐ攻める悪いクセが出ていたが、圧倒的に優勢だったためディフェンスの甘さは問題ではなかった。ダンはアリ戦に続くKO負け。コンディションが良くなかったのだろう。その後、ダンは約一年後に南アフリカ・ヨハネスブルグで再起戦。有望株カリー・ノエツにKOされて引退した。) 


ジョー・バグナー 3R TKO ジョン・ディノ・デニス

(ヘビー級戦、1983年)

「世界を目指したヘビー級③」ジョー・バグナー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:ワンツーでデニスがダウン

(感想:ダン戦の次の試合でロン・ライルに敗れたバグナー。引退したが、1980年に一試合のカムバック。1982年にカムバックし、アーニー・シェイバースにTKO負け。デニス戦は再起三戦目となる。デニスはイタリア出身。主戦場はアメリカ。1972年のデビューから連戦連勝。スコット・ルドー(後、ラリー・ホームズのWBC王座に挑戦)にも勝利したが、ジョージ・フォアマンに4RでTKO負け。ローカル王座を獲得するなど中堅どころには勝てるが、ゲーリー・クーニーにTKO負けするなど「世界を狙う選手」には敵わない。直前の試合ではドニー・ロングにTKO負け(ロングは後、新鋭マイク・タイソンに1RでKO負け)。ロンドンのマスウェル・ヒルでの一戦。攻めるバグナー。ジャブ、ワンツー、左右フック、ボディ打ち。デニスはジャブ、左フックで抵抗するが、押される。頼みのオーバーライトハンド(ケン・ノートンばり)もディフェンスされてしまう。3R、打たれるデニス。強烈なワンツーでダウン。立ったが、レフェリーに止められた。バグナーがほぼ一方的に勝利。パワー健在なところを見せた。デニスはこれが事実上のラストファイト。)


その後のバグナー

全盛を過ぎたが、まだまだ「バグナー物語」は続く。アメリカでマービス・フレージャー、デンマーク・コペンハーゲンでステファン・タングスタッドに敗北。主戦場をオーストラリアに。ジェームス・ティリス、デビッド・ベイ、グレグ・ペイジに勝利。英国でフランク・ブルーノに1RでKO負け(1987年)。1995年にカムバックしてオーストラリア王座などを獲得。1998年、ジェームス・スミスを破ってWBF王者に。ラストは1999年。リーバイ・ビラップスに反則勝ち。ゴツい身体のタフ男バグナー。長期に渡るキャリアで、多くの名のある選手と戦った。 

 

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