80年代のミドル級。ダン・スナイダー戦、エリシャ・オベド戦、フランク・テート戦ほかを紹介します。
カーチス・パーカー(アメリカ)
身長173cm:オーソドックス(右構え)
①カーチス・パーカー 3R TKO ダン・スナイダー
(ミドル級戦、1978年)
(ダウンシーン)
3R:フック連打でスナイダーがダウン
(感想:ペンシルベニア州フィラデルフィア出身の黒人パーカー。アマチュアで実績。プロではこれまで五連勝。スナイダーもペンシルベニアの選手で、白人サウスポー。ニックネームは「ダンシング」。デビューから連勝だったが、フランク・フレッチャーにTKO負けするなどこのところ負けが目立つ。フィラデルフィアでの一戦。アウトボクサーのスナイダー。フットワークを使いながら右ジャブ、左ストレート。パーカーはファイター。左を使いながら前進し、思い切りのいい右ストレート、接近戦では左右フック。距離を取りたいスナイダーはクリンチしながら左ストレートからの右フックなどで反撃を試みる。3R、ロープ際でのフック連打でスナイダーがついにダウン。立ったが、レフェリーストップ。パーカーが闘争本能で勝利。スナイダーはテクニックで勝負したかったようだが、パーカーの勢いに飲み込まれた。その後もスナイダーはリングへ。しかし、バスター・ドレイトン、アレックス・ラモス、ボビー・チェズらを相手に多くの敗北。)
②カーチス・パーカー 7R TKO エリシャ・オベド
(ミドル級戦、1979年)
(ダウンシーン)
6R:右フックでオベドがダウン
7R:右フックでオベドがダウン
(感想:連勝のパーカー。オベドはバハマ・ナッソー出身の黒人。1967年デビューのベテラン。北米J・ミドル級王座獲得後、あのミゲル・デ・オリベイラからWBC世界J・ミドル級王座獲得。王座陥落後はアユブ・カルレに敗北、WBC王座返り咲きに失敗、などピークを過ぎた感があるが、地元バハマで連勝中。フィラデルフィアでの一戦。5Rからの映像。似た体格、打ち方の二人。オベドは既に打たれたらしく、右パンチを打ってはクリンチする苦しい状況。パーカーはワンツー、フックで勢い。接近戦では互いにフック、ボディ打ち。6R、前に出るオベドだが、右フックを狙い打ちされてダウン。7Rにも同じような右フックでダウン。立ったが、大きなフックで連打されてレフェリーストップ。パーカーが若さで元世界王者を仕留めた試合。パーカーに自信をつけされるために組まれたカードだったのだろう。その後もオベドは多くの試合。ボビー・チェズに敗れるなど勝ったり負けたりだったが、1988年までリングに上がった。)
その後のパーカー
連戦連勝。全米ミドル級王座を獲得。しかし、ドワイト・デイビソンとの新鋭対決に判定負け、初黒星。さらにムスタファ・ハムショ、ウィルフォード・サイピオンとのライバル対決に敗れて三連敗。その後もハムショとの再戦、ジョン・ムガビ、アレックス・ラモスらに敗北。一定の実力を保ちながらピークを過ぎていっている印象。そしてマイケル・オラジデに2-1の敗北。
③フランク・テート 10R 判定 カーチス・パーカー
(ミドル級戦、1986年)
(感想:オラジデに敗れた27歳のパーカーが新鋭と再起戦。テート(21歳)はミシガン州デトロイト出身の黒人。不良少年だったが、「クロンクジム」入門。1984年のロサンゼルス・オリンピックで金メダル獲得(ライトミドル級)。プロではこれまで全勝。アトランチックシティ「Trump Plaza Hotel」での試合(リングアナはエド・デリアン)。開始からパワフルなパーカー。速いジャブ、右ストレート、フックで攻めの姿勢。パンチにはキレもある。テートは距離を取って迎え撃つ作戦。右カウンター、ワンツーからのアッパー気味フックで応戦。右ストレートからの左ジャブといったテクニックも使用。精力的に前に出るパーカー、応戦するテート。10R、連打での打ち合い。パーカーのマウスピースが落下。10R終了。判定は3-0。テートがコンビネーションで勝利。タフな相手を倒せなかったが、手数を多く出していた(後、IBF世界ミドル級王者に)。パーカーは強かった。ミドル級は競争が激しい階級の一つ。余程強くないと生き残れない。)
④カーチス・パーカー 5R 負傷判定 フィリップ・モアフィールド
(ミドル級戦、1987年)
(感想:これまで28勝(21KO)8敗のパーカー。テート戦から一年以上間を空けて復帰戦。モアフィールドはミシガン州の白人で、16勝(13KO)1分。どんな動きを見せる選手なのか? アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはスティーブ・スモーガー)。体格で上回るモアフィールドが体力で押す。ワンツー、接近してゴツゴツしたショートフック。馬力で攻めるが、攻めるときのディフェンスに甘さ。パーカーはジャブ、力強いフック。1Rから接近戦が続くが、パンチを当てるのはパーカーの方。ディフェンスしながらフック。モアフィールドは打たれて後退。4Rに珍シーン。パーカーを挑発するモアフィールドだが、ジャブを連続で食らう。5R、パーカーが右フック連発。モアフィールドはフックで反撃するが、左眉あたりから出血。このラウンド終了後、負傷判定となり、3-0でパーカー。攻められながらもパーカーがディフェンス&フックで勝利。中堅相手にはまだまだ強いところを見せた。モアフィールドはやはりガードに難。その後、ドワイト・デイビソン、リンデル・ホームズ、ジェームス・トニーといった実力者に敗北。勝ったパーカーも次の試合でマイケル・ナンにKOされ、引退。間違いなく強かったパーカー。しかし、アメリカのミドル級は実に競争が熾烈だ。)
0 件のコメント:
コメントを投稿