2025年1月29日水曜日

「長身のウェルター級」ミルトン・マクローリー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界ウェルター級王者。ハーンズの同僚。コリン・ジョーンズ戦(初戦)、ジール・エルビリア戦、ルイス・サンタナ戦を紹介します。


ミルトン・マクローリー(アメリカ)

身長183cm:オーソドックス(右構え)


ミルトン・マクローリー 12R 引分 コリン・ジョーンズ

(WBC世界ウェルター級王座決定戦、1983年)

「長身のウェルター級」ミルトン・マクローリー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:「金色トランクス」でおなじみ「クロンクジム」所属。スラリとした体型の選手が多いジムだが、マクローリーはアウトボクサータイプ(「パワー型」のトーマス・ハーンズとは雰囲気が違う)。ランディ・シールズ、ロジャー・スタンフォードらを相手にこれまで全勝。ジョーンズは英国の白人。個性派カークランド・レインに勝利、英国・英連邦・欧州王座(全てウェルター級)獲得、といった実績。残すターゲットは世界王座のみ。WBC世界ウェルター級王座が空位となったのはシュガー・レイ・レナードが網膜剥離のため王座を返上したことによるもの。WBA王座はドナルド・カリーが獲得。新WBC王者となるのは? ネバダ州リノでの一戦(ドン・キングの興行。レフェリーはオクタビオ・メイラン)。伸びるジャブ、長い右ストレートのマクローリー。ワンツーをダブルで連打する。ジョーンズはパワーを込めるタイプでジャブ、踏み込んで右ストレート、左フック。ディフェンスはマクローリーがスウェー、ジョーンズはブロックを使う。手数が多いマクローリーだが、ハーンズとは違ってパワーが感じられない「軽いボクシング」。ただ、フットワークはハーンズにソックリ。ジョーンズは左フックを空振りするなど攻撃の正確さに欠ける印象。終盤。左ボディ打ちで攻めるジョーンズ。マクローリーはフットワーク&ジャブ。まるで「レナード vs. ハーンズ」の初戦のような展開。最終ラウンド終了。両陣営が勝利をアピール。判定はドロー。手数のマクローリー、攻めたジョーンズ。ドローは妥当なところだったかもしれないが、マクローリーのパワー不足は残念。その後、改めて決定戦が行われ、マクローリーの判定勝ち。負けたジョーンズは後、マクローリーのライバルであるドナルド・カリーの世界王座に挑戦して4RでTKO負け。それが最後の試合に。)


ミルトン・マクローリー 6R TKO ジール・エルビリア

(WBC世界ウェルター級タイトル戦、1984年)

「長身のウェルター級」ミルトン・マクローリー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:左フックでエルビリアがダウン

(感想:マクローリーがタイトル防衛。二度目の防衛戦。挑戦者エルビリアはフランス・パリ出身。フランス王座、次いで欧州王座(いずれもウェルター級)を獲得。当時、全勝だったニノ・ラロッカを破り、世界ランク浮上。その次の試合でマクローリーに挑戦。デトロイトでの一戦(レフェリーはカルロス・パディーリャ)。おなじみ金色トランクスのマクローリー。スラリとした身体(足が長い)から長いジャブ、右ストレート。左ボディからの左フックといった長いリーチを生かしたパンチも印象的。エルビリアは残念。動きのスピードに欠け、攻撃も単発。ただ、右パンチには威力が感じられる。4R、マクローリーがサウスポーにスイッチして器用なところを見せる。6R、右ストレートからの左フックでエルビリアが間を置いてダウン。立ったが、連打されてレフェリーストップ。ストップに納得いかないエルビリアは「続行可能」をアピールするが、時すでに遅し。マクローリーが長いパンチ、機敏な動きで勝利。エルビリアは動きが緩慢。まるでマクローリーが地元で快勝するために用意された「いけにえ」のようだった。その後、エルビリアは再起戦でパブロ・バエズに敗れて引退。)


ミルトン・マクローリー 3R TKO ルイス・サンタナ

(J・ミドル級戦、1985年)

「長身のウェルター級」ミルトン・マクローリー「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでサンタナがダウン

(感想:三度目の防衛に成功した世界王者「アイスマン」マクローリー(23歳。25勝(20KO)1分)がノンタイトル戦。サンタナ(25歳)はドミニカ人。後にテリー・ノリスから妙な勝ち方(反則)でWBC世界J・ミドル級王座を奪って話題になる男。マクローリー戦の時点では連勝中で、26勝(21KO)2敗1分。これから上を狙う状況。マイアミビーチでの一戦。マクローリーのセコンドには「クロンク」のエマヌエル・スチュワード。1R、共にジャブ。振り回す左右フックが武器のサンタナは粗い前進。右ストレート、左フックで攻める。マクローリーは距離を取りながら右ストレートからの左ジャブといったテクニック。右ストレートからの左フックでサンタナがダウン。2R、マクローリーがワンツーからの左フックといった連打をまとめてはまた距離を取るパターン。サンタナは思い切った打ち方。ところがこのラウンド終了後に棄権。負傷(肩の脱臼)したらしい。マクローリーが拍子抜けの勝利。サンタナは豪快さはあったが、パンチの振りが大きいため隙があった。また、肩を痛めたのはそのためだと思われる(武器が逆に徒となった)。その後のマクローリー。カルロス・ツルヒーヨ(パナマ)相手にKOで四度目のWBC王座防衛。しかし、その次の試合でドナルド・カリーと世界ウェルター級王座統一戦を行い、惨敗。マイク・マッカラムのWBA世界J・ミドル級王座への挑戦はTKO負けに終わり、それが最後の世界戦に。「プロとしての激しさ」に欠けていたため思ったほど活躍できなかったが、長く伸びるパンチには見応えがあった。)  

 

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