2025年1月28日火曜日

「パナマの軟体サウスポー」イラリオ・サパタ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

二階級制覇王者。シャープな右ジャブが武器。ヘルマン・トーレス戦、アマド・ウルスア戦、ハビエル・ルーカス戦を紹介します。


イラリオ・サパタ(パナマ)

身長169cm:サウスポー


イラリオ・サパタ 15R 判定 ヘルマン・トーレス

(WBC世界J・フライ級タイトル戦、1981年)

「パナマの軟体サウスポー」イラリオ・サパタ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:サパタがタイトル防衛。パナマシティ出身のサパタ。動きが柔軟で、「軟体動物」などと呼ばれたことも。ケンカ好きの少年時代。当時「最軽量級」だったJ・フライ級はまだまだ層が薄く、早い出世。ファン・グスマン(具志堅用高に王座を奪われた男)に判定勝ち、アルフォンソ・ロペス(元WBA世界フライ級王者)に敗北(初黒星)、フレディ・カスティーリョ(後、WBC世界フライ級王者に)に判定勝ち。12戦目で中島成雄を判定で下し、WBC世界J・フライ級王座を獲得。トーレス戦は七度目の防衛戦。トーレスは後にこの王座を獲るメキシカンで、日本でもおなじみの存在に。当時はメキシコ王者(J・フライ級)で、アマド・ウルスア、ルペ・マデラらに勝利した実績。パナマシティでの一戦(リングサイドではWBA世界フェザー級王者エウセビオ・ペドロサ(パナマ)が観戦。レフェリーはトニー・ペレス)。ガードを上げてサウスポースタイルから速いジャブを出すサパタ。トーレスは1Rから右フックをヒットさせ、快調な滑り出し。その後、アウトボクシングのサパタ。トーレスはなぜか慎重姿勢で手数が少ない。右パンチを出すが単発で、ディフェンスされてそれっきり。6R、サパタがローブロー。終盤はトーレスが手数を増やし、右を当てるシーンも。サパタはディフェンスしながらジャブ、フックで応戦。15R終了。判定は3-0。エキサイティングな試合ではなかったが、サパタが闘牛士のようなアウトスタイルで勝利。地元のファンを喜ばせた。トーレスは積極さに欠けた。後、トーレスは張正九に三度敗北。ようやく王座決定戦でWBC王者になったが、初防衛に失敗。実力はあったが、試合運びに難があった印象。)  


アマド・ウルスア 2R KO イラリオ・サパタ

(WBC世界J・フライ級タイトル戦、1982年)

「パナマの軟体サウスポー」イラリオ・サパタ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フック、右フックで2度、サパタがダウン

(感想:ウルスアがタイトル獲得。サパタの九度目の防衛戦。挑戦者ウルスアはメキシカン。身長は156cmで小柄だが、その分、ガッチリした身体。パワフルなフックを思い切って振るタイプ。ヘルマン・トーレスに勝利したが、王座(メキシコJ・フライ級タイトル)を懸けた再戦はTKO負け。実力者相手に敗北しながらもトーレスからメキシコ王座を奪ってこの初の世界挑戦。パナマシティでの一戦。この試合のサパタは実に積極的。攻める姿勢でジャブ、左ストレート、右フック。ウルスアはジャブ、右ストレート、左フックで対抗。その戦いぶりはアルフォンソ・サモラによく似ている。2R、サパタの左ストレートがヒット。しかし、右フックからの左フックでサパタがダウン。立ったサパタ。攻める姿勢で前へ出るが、右フックで二度目のダウン。今度は立てず、KO。ウルスアが思い切りのいいパンチで快勝。サパタを粉砕。なぜサパタは強打者相手にこんなに攻めの姿勢だったのか? 「エキサイティングな勝ち方」をファンから求められていたのかも。その後のウルスア。初防衛戦で友利正に敗北。再起戦で張正九に敗北。その後は敗北が多くなっていった。どうやら強いときとそうでないときの差が大きかったようだ。)


イラリオ・サパタ 15R 判定 ハビエル・ルーカス

(WBA世界フライ級タイトル戦、1986年)

「パナマの軟体サウスポー」イラリオ・サパタ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:サパタがタイトル初防衛。友利からWBC王座を奪回したサパタだが張正九に敗北、王座陥落。階級を上げ、王座決定戦でWBA王座獲得(二階級制覇)。これが初防衛戦となる。挑戦者ルーカスはメキシカン。デビューから連勝。フレディ・カスティーヨに連敗(カスティーヨは後、短期間だったがWBC世界フライ級王者に)。ガブリエル・ベルナルにKO負け。その後は連勝。直前の試合ではファン・エレラ(元WBA世界フライ級王者)にTKO勝ちしている。パナマシティでの一戦。ルーカスはサパタより背が高い。共にサウスポーで、似た戦い方。ダッキングしながら右ジャブ、左ストレート。サパタが独特の左ストレート(打つときにヒジが曲がる)、左ボディからの右フック。距離を取りながら手数。連打してはまた距離を取る作戦。ルーカスはシャープなパンチを打つが、逃げられる。7R、ルーカスの右フック、左ストレートがヒット。9R、攻めるルーカスにサパタはクリンチ&フットワーク。その後もルーカスはワンツーからの右フックなどで前進。サパタはジャブ&フットワーク。15R終了。判定は3-0。逃げ回ったサパタが勝利。ジャブが評価されたと思われるが、王者らしくない試合。ルーカスは王者を追ったが、詰めきれず(残念)。その後の二人。ルーカスは北米フライ級王座を獲得する活躍。ブランクを作りながら2001年まで戦った。サパタは穂積秀一、ドディ・ボーイ・ペニャロサらを相手に防衛成功。フィデル・バッサに敗れ、王座陥落。世界王者としてリングに上がったのはそれが最後となった。) 

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